東北地方の石造物⑲:中尊寺釈尊院五輪塔

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名称:中尊寺釈尊院五輪塔

伝承など:なし

所在地:岩手県西磐井郡平泉町平泉 中尊寺


奥州藤原氏三代の遺体が安置される、中尊寺の中心的建造物とも言うべき金色堂の奥にある釈尊院の墓地には、在銘最古の五輪塔がある。

空風輪は欠損しているが、ほぼ完全な形が残るこの五輪塔は、平安時代末期の仁安四年銘がある。

平安時代の在銘五輪塔は日本国内に四基しか事例がないが、この釈尊院の五輪塔はその中でも最古の銘文を持ち、極めて貴重なだけでなく、日本の中世石造物の中でも重要な意義を持つ石塔である。

銘文は地輪の下の反花座の側面(三枚目)にあり、通常五輪塔の銘文は地輪や水輪に刻まれることを考えれば異例で、その銘文の位置の不自然さから、古来追刻と見る説もあったが、形式から見ても初期五輪塔と考えて違和感なく、差し当たり当初からあった銘文と見て問題ないだろう。

中尊寺の中でもかなり奥まった場所にあることから考えても、造立には奥州藤原氏(当時の当主は三代・藤原秀衡)が関わったと思われる。

なお、釈尊院五輪塔の拝観には事前に中尊寺に問い合わせて許可を得る必要がある。


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