続・時代劇レヴュー⑬:織田信長(1994年)

タイトル:織田信長

放送時期:1994年1月2日

放送局など:テレビ東京

主演(役名):高橋英樹(織田信長)

原作:山岡荘八

脚本:志村正浩


1973年に放送されたNHKの大河ドラマ「国盗り物語」は、司馬遼太郎の同名小説を原作とするものであるが、ドラマ版の方は前半で一方の主人公・斎藤道三が退場するため、実質的な主人公は織田信長となっている。

このドラマで信長役を演じたのが高橋英樹で、ドラマが好評であったこともあって信長は彼の当たり役となった。

しかしこのドラマでの信長のイメージがかなり鮮烈であったため、高橋はイメージの払拭を目的に、これ以降は信長役のオファーをすべて断っていたと言う。

その高橋が、再び信長役を演じることになったのは、主役ではないが1992年の1月3日にテレビ朝日で放送された長編時代劇「徳川家康・最後の勝利者」であり(「時代劇レヴュー⑤」参照)、その二年後にテレビ東京で放送された「織田信長」では、今度は「国盗り物語」以来およそ二十年ぶりに主役で信長役を演じることになった。

高橋英樹にとって二度目の信長役で主演となった本作は、テレビ東京が毎年1月2日に放送していた「12時間超ワイドドラマ」(後の「新春ワイド時代劇」の第十六弾(オリジナル作品としては十五作目)で、山岡荘八の同名小説を原作に、織田信長の生涯を六部構成で描いている。

特に前半は、山岡荘八の原作に忠実であるが、桶狭間の戦いが終わった所で全体のおよそ半分を使ったせいか、後半の展開はかなり駆け足となり、史実と異なる部分も多く見られた(例えば、姉川の戦いの直後に小谷城が落城して浅井長政が自刃し、三方ヶ原の戦いや足利義昭の追放のエピソードはその後で登場する)。

また、クライマックスの本能寺の変では、明智光秀(演・小野寺昭)自ら前線に立って切り込み、寺に火を放ち自刃する直前の信長と光秀が対峙すると言うやや過剰な演出も見られた(流石にTBSの「太閤記」のように、信長と光秀がチャンバラするシーンはないが 笑)。

自ら信長役を「解禁」したせいか、全体的に高橋英樹が信長役を「楽しんで」演じているような印象で、高橋主演の時代劇の「桃太郎侍」よろしく、幾分オーバーな演技が目立ったような気がする(それはそれで面白くて見ごたえがあるけど)。

なお、同じ山岡荘八の小説を原作とし、同じ志村正浩が脚本を担当したためか、随所で前々年の「徳川家康」と同じ台詞が登場する(今川義元役の名和宏は、「徳川家康」でも同じ義元役を演じた)。


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