続・時代劇レヴュー⑫:独眼竜政宗(1987年)

タイトル:独眼竜政宗

放送時期:1987年1月~12月(全五十話)

放送局など:NHK

主演(役名):渡辺謙(伊達政宗)

原作:山岡荘八

脚本:ジェームス三木


NHKが放送する所謂大河ドラマの第二十五作目の作品であり、大河ドラマの黄金期の象徴的な作品で、現在に至るまでなお人気の高い作品の一つである。

大河ドラマは第二十一作目の「徳川家康」以降、路線を変更して所謂時代劇作品を作らず、近現代史を舞台にした作品を三作連続で放送したものの、視聴率的には苦戦したために再び時代劇に路線を戻すが、その復帰第一作が本作であり、NHKの期待通り高視聴率を叩き出し、大河ドラマ復権に大いに貢献した(2020年現在、平均視聴率では歴代トップの作品で、最高視聴率でも第三位の記録を持つ)。

本作は東北地方の戦国大名で、「独眼龍」の異名で知られる伊達政宗の生涯を描いた作品であり、政宗役を務めた渡辺謙の知名度を一躍高め、彼の出世作としても名高い。

政宗の誕生から死までを余す所なく描いているために、どうしても所々で惰性になってしまう箇所もあったが、流石にヒットメーカーのジェームス三木が手掛けた作品だけに、全体的にはまとまっていて出来は良い。

また山岡荘八の『伊達政宗』を原作としているものの、ジェームス三木のオリジナルの部分も多く、山岡作品特有の説教臭さと無理のある人物設定は比較的薄められていた(徳川家康が他のジェームス三木作品に比して善人だったり、人取橋の戦いの後で虎哉宗乙が政宗を激しく叱責するシーンなど、山岡荘八の原作の影響が比較的色濃く出た箇所もある)。

評価が高い一方で、特に政宗と敵対する最上義光を必要以上に悪辣な人物に描いたことで地元・山形県から不満の声が挙がったり(山形は政宗の最初の居城である米沢城がある県でもあり、山形県は当初観光客の増加を期待したが、結果として仙台を中心とする宮城県に観光客が集中したことへの不満もあったらしい)、また現在でも最上義光のファンからは受けが悪いらしいが、ドラマである以上主人公を美化し、敵対する人物を悪く描くのは他の作品でも広く見られることであるから、個人的にはそこまで気にはならなかった(むしろ原田芳雄演じる最上義光は、前半では岩下志麻演じる保春院と並んでかなり存在感を放っている)。

ただ、後年のジェームス三木の手掛けた作品と異なり、史実との相違があるのも事実である(史実との相違と言うわけではないが、個人的には白石宗実が史実で活躍の割に本作では全然目立っていないのが不満である)。

本作も大河ドラマならではの贅沢なキャストを揃えているが、とりわけ精彩を放っていたのが西郷輝彦扮する片倉小十郎景綱で(私自身が片倉景綱が好きと言うこともあるが)、他の映像作品も含めて最も片倉景綱にはまっていたと思う。


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