北関東の石造物⑳:宝篋山宝篋印塔
名称:宝篋山宝篋印塔
伝承など:忍性造立のモニュメント?
所在地:茨城県つくば市 宝篋山山頂
筑波山麓の小田は、鎌倉時代中期に忍性が東国に招かれてまず最初に入った場所であり、東国における真言律宗布教の一大拠点になった場所である。
小田を見下ろす場所にある宝篋山は、小田山とも三村山とも呼ばれるが、現在の呼称は山頂に宝篋印塔が建てられたことに由来する。
この宝篋印塔は、忍性が布教のために小田に極楽寺を建立したのと同時期に造立したものと考えられている。
無銘ながらその様式は奈良の額安寺や観音院の宝篋印塔とよく似ており、鎌倉時代中期の作と推定され、関東における宝篋印塔の最初見事例として極めて貴重である。
石造美術としても独特の風格のある塔で、この地域一帯を見下ろすことの出来る宝篋山山頂に置かれたことから、忍性による真言律宗の布教のための一大モニュメントとして造立されたのであろう。