中部地方の石造物②:英林塚宝篋印塔(朝倉孝景の墓)
名称:英林塚宝篋印塔
伝承など:朝倉孝景の墓
所在地:福井県福井市城戸ノ内町 一乗谷朝倉氏遺跡内
戦国の城下町の遺構として知られ、近年町並みなども復元・整備された福井の一乗谷朝倉氏遺跡内には、朝倉氏ゆかりの石造物がいくつかあり、その代表格がこの英林塚宝篋印塔である。
館跡の背後の山腹にあり、現在は覆屋に収められている。
宝篋印塔は一乗谷朝倉氏初代の朝倉孝景の墓とされ、彼の法名から英林塚と通称されている。
室町時代の作で、北陸地方の典型的な宝篋印塔の形式であるが、これは当初から朝倉孝景の墓として造立されたわけではなく、江戸時代になってから心月寺(朝倉家の菩提寺で現在は一乗谷から福井の旧城下に移っている)の僧が古石塔を転用して孝景の墓塔に当てたものである。
なお、一乗谷朝倉氏遺跡にはもう一基の宝篋印塔があり、それが館跡の東南隅の旧松雲院墓地内にある石塔である。
宝篋印塔は朝倉義景の供養塔であり、基礎に没年が刻まれているが、石塔自体は江戸時代前期の寛文年間に福井藩主・松平光通によって造立されたものである。
宝篋印塔は石廟に納められているが、これは北陸地方によく見られる形式である。