大根仁監督がかつて佐久間宣行Pにかけた言葉、そして「ドラマとアドリブトークが融合」した『トークサバイバー』の誕生
『ゴッドタン』の人気コンテンツの一つに、「キス我慢選手権」がある。初回は2005年12月であり、そこから2018年まで不定期で放送されていた。
内容としては、セクシー女優が様々な手口でキスを迫ってくるが、それを劇団ひとりら芸人たちがひたすらアドリブ演技を駆使して我慢するというものである。
この企画は回を重ねるごとに、劇団ひとりとみひろたち出演者による「アドリブ演技合戦」になっていき、話題を呼んで2013年には『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』、翌2014年には『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ』として映画化もされることになった。
「アドリブ演技」だけで、なぜ一本の映画が制作できるのか。「キス我慢選手権」の魔力について、劇団ひとりは次のように語っている(*1)。
「もう終わった瞬間に思うんですよ。『なんでこんなことができたんだろう』って。『これが俺の力?』って、本当に思うの。で、自分で見返しても、『俺なんでこんなことできたんだろう?』って思うし」
「自分でも思いますもん。俺も、これカメラがどこから撮ってるかもわかってない。動線も分かってないのに、『なんでこんなことができる?なんでこんなセリフが噛まないで言えるの?』って」
キス我慢選手権の壮絶な舞台裏
「アドリブ演技」だからこその、スタッフ側の苦労もある。佐久間はその制作の壮絶な舞台裏について、次のように語っていた(*2)。
「劇団ひとりがどう動くか分からないから、たとえばカメラマンが1~10カメあるんだけど、3カメを最初の位置に配置してるけど…実はアクションがあるから、2カメいるけど、1カメ、2カメ、3カメをカメラアシスタントが、坂道を走って、裏側を走って、バケツリレーしないと間に合わない、とかあるんですよ」
「劇団ひとりが、初っ端で予想外の走り方とかするから、うわーってなった瞬間に、カメアシがバケツリレーで後ろで運んでたんだけど、俺の中継車には『4カメの奴がコケたぞ!』って『間に合わねぇぞ!止めろ!』って、怒鳴り合い(笑)」
「『そっち走ったら音、録れねぇぞ!誰が止めんだ?』って、ずっと続いてて。劇団ひとりが『ここで良いこと言うかもしれないから』って、おぎやはぎが良いなぁって言うから、『ここは4カメで勇気をもってズームしよう』って(笑)ズームするんだけど、何も言わないから、『戻りまーす』って(笑)」
立ち位置も、動線も決まっていないため、カメラの配置一つをとっても大変な苦労があったという。また、リハーサルにも10日間の日程を要したという。
「10日間前くらいから、それぞれのシーンに役者さんを呼んで、仮想劇団ひとりを立てて、1回、台本を覚えてもらってやった後、『この後、劇団ひとりが銃を奪ったパターンやりましょう』とか」
「何パターンかやった後、『今度はいきなり殴ってみてよ』って言ったりして。『殴ったらどうします?マキタスポーツさん』って(笑)そういう風に。役者陣が、『殴ったら、久保田くんが後ろから押さえつけようぜ』って話をずっとしてるんです」
「予測不能」な劇団ひとりのアドリブ演技がメインであるからこそ、通常の台本通りに制作が進められる映画以上の苦労がそこにはあったという。
大根仁監督の言葉
この『ゴッドタン』キス我慢選手権の映画化について、YouTube動画「『地面師たち』× 『トークサバイバー!』スペシャルコラボ」の中で、映画監督・大根仁監督は次のように語っていた。
「『トークサバイバー』で言えば、さっき言おうと思って言い忘れたんだけど。佐久間君のこの手のパターンっていうか、この形式って昔やってた、『ゴッドタン』のキス我慢から始まってるじゃない?」
「『キス我慢』最初に見た時に、アドリブとフィクションと色々と混ざってるあの感じを最初に見た時、俺、すぐ電話したよね。『佐久間君、これ最高だよ』って」
さらに、このエピソードに続いて、『ゴッドタン』佐久間宣行プロデューサーは、次のように語っている。
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