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スペイン語が下手な人の特徴

30年前、スペイン語の通訳といえば人数も少なく、月収が80万円を超えていることもしょっちゅうありました。ところが、今や、時給980円(群馬県の会社、昨年発見)、時給1100円(三重県の会社)というありえない体たらくです。なぜこのようなことが起こっているのかは、別の記事をご覧ください。

今回は、スペイン語を話す人、パッと聞いていて「うまそう」「ペラペラじゃん」と日本人が勘違いしそうな話者の特徴についてお話をしたいと思います。

私はこれまでの職場で、普通考えられないような幼児語を話すスペイン語通訳というのを何人も見てきました。それで「通訳と名乗る?」というレベルの持ち主です。

学校でスペイン語をきちんと統計的に学び、第三者機関の判断に委ねていない(つまりなんの試験も受けたことがないということ)人がほとんどの場合それに当てはまると思います。また、学校に行ったことがあっても、さほど厳しいチェックを受けない学校、例えばバカンスシーズンに、英語圏の人や日本人に対し「ちょっとスペイン語を勉強してみたらどう」的な学校、そういう学校では、多少生徒が間違っていてもスルーします。

結果、社会に出て、通訳の世界に出てくると、恐ろしいほど雑なスペイン語を話しているのです。これは同業者としては正直許し難いレベルなのです。そして、日本の会社は「私たちはそれが正しいかどうかわからないからしょうがない」といい、そのまま雇用し続けている。そんなことは、あってはならないのです。本当は。

しかし現実問題として、私は日本の有名な大企業に所属する通訳で、おそらく英語で言えば英検4級程度しかないだろうと思われる通訳を見てきました。セレモニーでの通訳のぐだぐだな様子も横で聞いてきました。

スペイン語の場合、習った国によって若干の差はありますが、スペイン語の文法は全世界共通です。RAEが制定し、各国でそれに沿った教科書で国語の授業が行われています。アルゼンチンだからいいんだ、コロンビアだからスペインとは違うんだという人ほど、めちゃくちゃなスペイン語を話しています。

しかし周りのスペイン語話者からすれば、ペラペラじゃん!と思えてしまうのです。

もう一つの大きな問題は、スペイン語圏の人は英語を話せるかどうかでその人の教育レベルがある位程度わかります。英語を全く話せないメキシコ人はたくさんいます。しかし英語がしっかりと話せる人だっています。その違いの「大部分」はやはり中卒、高卒、大卒なのです。(これをもって彼らを差別しているのではなく、現実です)

私たち日本人は、スペイン語ネイティブではありません。スペイン語は基本的に外国語なのです。であれば、基礎はきちんとしていないと、その人自身のレベルを判断されてしまうのです。現地の人からスラングばかり教えられ、それが面白くてスラングから入り、現地の人にもまれてスペイン語を覚えましたという人は、通訳という仕事には不向きです。

日本にいる外国人の日本語通訳もそうです。「アニメが好き」で入ってくる人は、丁寧語、謙譲語など敬語を使い分けられないばかりか、上役の前で「それでさ」と平気で出てしまうのです。しかしそれがなぜダメなのかよくわかっていない。説明ができない。


では本題に入ります。私が多くの日本人の「スペイン語通訳」と名乗る人たちと話していて、その人のレベルを推測できるいくつかの要素をお伝えします。

1、como〜, como este〜, así como〜と、comoを多用しすぎる人。

 スペイン語ネイティブは、そんなにcomoって使いませんよ…。英語のwellと勘違いしているのか、時間稼ぎのために言っているのかわかりませんが、これはメキシコ人、スペイン人もよく日本人通訳に指摘することです。気をつけましょう。

2、アクセント記号をつけない人。

 たまに、「アクセントなんて現地の人だってつけないよ」と誇らしげに言う人がいます。大きな間違いです。私は誰かが文章を書くときに、アクセント記号をつけない人を軽蔑します。どういう感覚かと言うと、「が」が「か」、「ざ」が「さ」となっていたら、違和感ありませんか?そもそもアクセントと記号をつけない人は、なぜそこにアクセント記号が必要なのかを説明さえできないと思います。

3、hをつけない人。

 これはネイティブに多いのですが、ha、has、he、hay、ha deなどのhをつけない人。スペイン語ではhを発音しないので、ネイティブのスペイン人やメキシコ人、ペルー人なども、つけないで書く人が結構います。ネイティブでさえそうなのに、ネイティブじゃない私たちがいい加減な書き方をしてはいけません

4、語尾にnoを多用する人。

 これは私も使ったりはしますが、自信がない人に非常に多いかもしれません。何を言っても最後に「 〜,¿no?」 と言う人。

5、動詞を言わない人 (重症です)

これは「現地で、ストリートでスペイン語を勉強しました」という人に多いのですが、日本人が日本語を話す時って結構動詞を言わないことがあるんですね。日本語の特徴でもあります。その感覚なのかわかりませんが、動詞を言わず、名詞と形容詞だけいう。さらにその時の形容詞が性数一致していない

正直、聞いていて不快です。横で聞いていて、何が言いたいんだかわからないのです。横で聞いていると、いつ?それがどうしたの?と突っ込みたくなってしまう。スペイン語ネイティブは、たとえちょっといい加減な人であっても動詞はほぼ必ず言ってますよ。よく聞いてください。

スペイン語を勉強すると、初めにつまづくのは動詞の変化の多さです。英語より多い。主語によって形も変わってしまう。ですが、必ず語尾に共通の規則性があって、それを面倒くさいと思う人は、スペイン語やラテン語系をやめて、英語を勉強すればいいのではないでしょうか。そういう人は、きっと3人称単数現在にsもつけないと思います。

申し訳ないのですが、「スペイン語通訳」と名乗り、報酬をある程度得るのであれば、上記の5つの悪癖はやめませんか?いかに、丁寧に話していないか、訳していないかということで、こういう癖が身についてしまうと、直すのが大変です。

同業者への苦言は、なるべくしたくはないのですが、上記をなんとも思っていない人が最近多すぎると感じるので、あえて文字にしてみました。