三大空想的社会主義者

"三大空想的社会主義者とは、近代的な社会主義思想をはじめた、シャルル・フーリエ、アンリ・ド・サン＝シモン、ロバート・オウエンらのことを指して言う言葉です。

そもそも社会主義とは資本主義に反対してより公平な社会を目指す思想・運動・体制のことですが、空想的社会主義という言葉は、定義が難しく、特定の社会の仕組みや政治運動をさすというよりも、広い意味で社会主義の理想像としてとらえるのがよいと考えられます。

先に述べた3名を紹介します。

フランソワ・マリー・シャルル・フーリエ

フランソワ・マリー・シャルル・フーリエ（1772.4.7～1837.10.10）は、フランスの哲学者、倫理学者、社会思想家です。

フーリエはフランスのブサンソンの裕福な商人の家庭に生れますが、幼い時から商業そのものに対する批判感があったと言われています。さらに1793年のリヨン包囲の混乱に巻き込まれ、投獄され、財産のほとんどを失います。

その後も苦労の中で様々な思想、著作を生み、のちのフーリエ主義運動が生まれます。

アンリ・ド・サン＝シモン

アンリ・ド・サン＝シモン（1760.10.17～1825.5.19）はフランスの社会主義思想家です。

高位の貴族の末裔としてパリに生まれ、宮廷人として教育と軍事訓練を受け16歳でアメリカ独立戦争に参加します。しかし彼の関心は主に産業と商業の諸問題にあり、フランス革命などの混乱と苦難の中で、彼の社会主義学説は認められませんでした。

ロバート・オウエン

ロバート・オウエン（1771.5.14～1858.11.17）はイギリスの実業家、社会改革家、社会主義者です。

人間の活動は環境によって決定されるとする環境決定論を主張し、先進的な教育運動を展開した教育家という側面もあります。

また、協同組合の基礎を造り、労働運動の先駆けとなった人物で、「イギリス社会主義の父」と言われています。

これらの３名はいずれも社会主義の礎となる思想を育んだ人物です。「空想的」という言葉から否定的な印象がありますが、マルクス主義的な科学的社会主義に対比されるものであって、否定的な意味合いはありません。

つまり、彼らはマルクス主義以前の社会主義思想者であり、同時に多くの社会主義思想の土台であると言えるでしょう。"