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イギリス旅)グリニッジ②天体観測で経度を割りだせるのか(割りだせない)
世界の経度0度を示す本初子午線の存在で有名なグリニッジを訪れています。前回の記事では、航海の海上では自船の東西の位置(=経度)を見つけるのが困難なこと、グリニッジの天体観測でそれを見つけようという試みが始まったことをお伝えしました。さてその試みは成功するのでしょうか(成功しない)
王宮の街、グリニッジ
そもそもグリニッジは王室とゆかりのある地でした。テューダー朝のヘンリ8世、その2番目の妻との子であるエリザベス1世が生まれたのもグリニッジです。
冒頭の画像の真ん中にあるのが「クイーンズハウス」と呼ばれる建物です。ジェームズ1世の妻のために建てられた、「パラディオ様式」と呼ばれる、ヴェネチアのルネサンスでの古代ギリシャ・ローマ建築のエッセンスをもった建築家パラディオの作風が、当時のイングランドで爆発的にはやりました。その先駆けです。
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天文台の誕生
ここにチャールズ2世の命により、1675年に天文台が誕生しました。月や星の位置を丹念に調べて記録し、現在の位置と照らし合わせることで、海上でも自分の位置が割り出せるのではないかというアイデアに基づいています。
セントポール大聖堂の設計で知られる、クリストファー・レーンが設計したのが「オクタゴンルーム」と呼ばれる六角形の部屋です。天体望遠鏡を窓から出して観測が進められました。
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客人訪れる、そして失敗
ここを訪れた人物の中でも有名なのは、ロシアのピョートル大帝です。初代天文台の館長を務めたジョン・フラムスティードとともに、太陽や金星を観測しました。
ピョートル大帝は西欧諸国への大使節団を組織して訪問しつつ、自らは一随行員の姿で同行し、積極的に西欧文化を吸収していきます。ロシアのツァーリズムを完成させました。
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もっとも、この六角形の天文台はすぐに使われなくなります。理由は建物が南北に垂直に立てられておらず、天体観測に不適だからです。初歩的なミスを犯しました。
ハレー彗星でおなじみ、第二代館長ハレー
第二代の館長になったのが、ハレー彗星の発見でおなじみのハレーです。南北に垂直の線に沿って望遠鏡を設置して天体観測をしました。
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歴代の館長がそれぞれの南北の線に基づいて観測をしました。天文台には今でもそれぞれの線が3つ並んでいます。
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ハレーによる生命保険
ハレーはロンドンでもうひとつの発明をしました。それは生命保険の基礎です。当時住民の死亡記録を詳細に残していたドイツのブレスラウ(現在のポーランドのシレジア)の街のデータを使って統計解析し、人間の需要も統計データの死亡表を作りました。これは生命保険料の計算の前提となります。
天体の観測も保険料の産出も数学の知識が不可欠です。こうした貢献をハレーは残しました。