新科目「歴史総合」入門(3)新しい国際秩序と大衆化
20世紀初め、1つ目のしくみである「近代化」に、さらに2つ目のしくみ「新しい国際秩序」と「大衆化」が加わります(注)。
この転換のきっかけとなった第一次世界大戦は、先ほどの帝国主義がエスカレートしたことにより起きた総力戦でした。
総力戦とは、国が国内のすべてのヒト、モノ、カネを動員しなければ勝つことのできなくなった、まったく新しい形の戦争のこと。
1つ目のしくみが持っていた「ひとつにまとめようとする力」がアップデートされ、人々が”自発的”に参加しようとする仕掛けが、いろんな形でほどこされるようになります。
「近代化」のしくみにより、従来みられたような身分や階級がなくなり、都市には大勢の人々が農業以外の職業に就くようになっていました。
大勢の都市民をうまく動員できれば占めたものですが、当時の欧米諸国や日本では、都市に住む人口が増え、「数」を武器にしたデモや騒ぎが革命に発展する動きもおきていました。
そこで国は、都市に出現した新たな人間集団である「大衆」をコントロールしようと、マスメディアや娯楽・レジャーを通したプロパガンダをあれこれ工夫されていきます。当然「そこからのがれようとする力」も働くわけですが、1つ目のしくみの時代よりも、逃れることはむずかしくなりました。
欧米諸国や日本が、アジアやアフリカに広大な植民地をもつ体制も、相変わらずつづいています。1929年の世界恐慌を機に、自分の国が生き延びるために、各国で「人々の自発的な参加を求める力」がパワーアップし、ドイツやイタリアではファシズム、日本は軍国主義、ソ連はスターリニズム、アメリカは民間経済に国が首をつっこむ修正資本主義の体制が生まれました。
いずれも、国民の福祉や健康に関心をはらうとともに、
国外問題を武力によって解決しようとする傾向が強く、結果的に二度目の総力戦である第二次世界大戦が勃発してしまいました。
第二次世界大戦が終わると、ドイツ、イタリア、日本などの枢軸陣営は崩壊しましたが、世界はソ連陣営とアメリカ陣営の2つの世界に引き裂かれることになります。両者は政治体制も経済体制も真逆ですが、「経済成長」を通して理想の社会を実現しようとする点では一致していました。
こうして「人々の自発的な参加を求める力」の目的は、戦争から経済成長へと横滑りして温存されていくことになります。
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