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それがあなたのキスならば

信頼できない語り手たちは日々是街を行く。トリックと呼ばれるべきなのはむしろ、信頼できる語り手の方だろう。

いつまでもあなたを信じられないのは私が私を信じていないからでしょうか。きっともうずいぶん前からここは、私が強くなりさえすれば、何もかもがうまくいく世界なのでしょう。

私を愛し、私も心の底から信じていた人がくれた、私に刻まれた言葉たちが、いかに貧しく、またかの人自身を苦しめ歪ませ貶めるものであったか。そんなことばかりに目を覆われている日々が続きます。だから私は君に会えません。

いつか君は、優しさってなんでしょうか、と聞きましたね。それはたった一人で居ることから始まるのだと思います。みんなを大切なたった一人として抱きとめることが出来るのは、たった一人で居る人だけ。君はどうでしょうか。本当は、どうでしょうか。

あなたの答えがどんな色をしていようと、そのようにそこにいるあなたを、その日の私がきっと抱きとめるでしょう。



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