日野田ゆり

誰かに見せるのが恥ずかしくてしまっていたメモを置いています。だいたい詩と日記の間です。

日野田ゆり

誰かに見せるのが恥ずかしくてしまっていたメモを置いています。だいたい詩と日記の間です。

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もうこれ以上少しも世界が複雑にならないでほしい 秋の匂いをキンモクセイの匂いと言わないでほしい 大事なことはみんな忘れてしまったくせに ずっと、ぜんぶがさみしいくせに

    • 天秤(じゃないよ、きっと)

      いつも私が主語の歌ばかり もっとあなたのことを歌いたいのに 私は強くなりたい 誤解しないで あなたが好き あなたがうたう歌が あなたを救う歌が  人は死ぬまでの全ての時間をおぼえている

      • 火事もっと起きろ 洪水で何もかも流されろ 地震でぐちゃぐちゃになれ 燃え盛る火のなかに優雅な足取りで突っ込んで死なない

        • 格好

          気味が悪い きみがわるい 簡単に悪意を口にすればいい 君がくだらない人間になるところが見たい 空を見上げたとき額をさらりとすべり落ちていく前髪に憧れる 生まれたことの喜びに満ちて 世界がつぶつぶでできていることの美しさを知って また許せない夜が来る

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          白い花

          この人に、私のこれまでとこれからを全部あげなければと、本気で思ったことがある。そして、挫折したこともある。私はそんなに強くも賢くもなく、かの人もまた同じだった。お互いが求める通りの愛情を届けることは、とても難しかった。それでも確かに、私たちだけの永遠と呼べる瞬間があった。私は絶対にそれを忘れない。 あの人が、すっかりそれを忘れてしまっている姿を見ても、私は驚かない。あのときもずっとそうだったから。忘れっぽいということはとても哀しいことだと思った。驚かないけど傷つきはする。傷

          誉れ

          ひとりであるとかそうでないということとかは最早どうでもいい ただひたすらにままあるままとしかありえないからだをふつかも洗っていない ひそやかな寝息が聴こえる 果てはまだ 減るものでもない広々としたからだを僻地のひとみに映したくないしさわれないままさわりたい 皮脂べたつく日はるか誠を歌いたい はなさないで 表音文字ばしりループからバイパス どこにあるのそれ知らない初・ハート へこたれないで ここにいて 愛おしい人はそうやって滑走路から夢見るままにとびたってしまって ヘリウム風船

          you

          私が奪ったものはたくさんある。その中には本当は私が奪っていないものもたくさんあるのだけれど、私にそれを弁明する術などない。自分に届けられる恨みの量が問題なのであるからして。 いつだって、君の持ってるものが欲しかったわけじゃない。

          私たちは遠くに行けない

          私たちは遠くに行けない  何もかもがここにあるから 私の体も、足音も、汗の匂いもここにあるから 取り返しのつかない過ちに、いつまでも変わらない弱さに、理由なんかない 何もかも ここにあるだけだから

          私たちは遠くに行けない

          ブルーベリーボム

          おかしくなった 形  ハートビート ハートビート 昼をほおばって 夜をむさぼって ハートビート ハートビート 混じりっけ だけが 僕のすべて ハートビート ハートビート うずくまるベルト 下手な加減 さあ着いたよ 窓から放り投げられる 緑のビニールシート にくるまれた お前

          ブルーベリーボム

          駅前の唄

          来世は悪人じゃありませんように スズメは純朴だ ツバメは勤勉だ カラスは正直だ  私にもひとつわけておくれ  たったひとつでいい ほんのちょっぴりでいい その領分を熱っぽく血肉で満たす美しい生き物よ

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          あなたおとな?ノンアダルトの信条は今日も鋭く宙を裂く。歪んだギターで夜へ引きずり込まれる。夜行バスがすごい速さで停滞した空気を運んでいるから好都合です。窓ガラス割っちゃいましょうか。ねえ。こっち向いて。私の瞳のまっすぐさに慄いてよ。声のかさつきにときめいてよ。低音域で凶悪に転がって可憐、已んぬる哉。 --- 友人が作る音楽に寄せて ところで先ほどから夜行バスが不安定に揺れています。

          それがあなたのキスならば

          信頼できない語り手たちは日々是街を行く。トリックと呼ばれるべきなのはむしろ、信頼できる語り手の方だろう。 いつまでもあなたを信じられないのは私が私を信じていないからでしょうか。きっともうずいぶん前からここは、私が強くなりさえすれば、何もかもがうまくいく世界なのでしょう。 私を愛し、私も心の底から信じていた人がくれた、私に刻まれた言葉たちが、いかに貧しく、またかの人自身を苦しめ歪ませ貶めるものであったか。そんなことばかりに目を覆われている日々が続きます。だから私は君に会えま

          それがあなたのキスならば

          世界とゼロ距離

          俺はとにかく この気持ちはとにかく 切ねーの ずぞぞぞぞ ダッサ ダサいのよね しかしだね セツネーとしか言いよーがないんだな あそ ずぉ みんなってほんとに居るのね 居ますが 居ないと思ってたんだよ  はよう食えって うん \うみゃー/ お、俺の切なさに共鳴した猫が鳴いておるな ずぞぞぞぞぞ

          世界とゼロ距離

          女の子は誰でも

          全部が全部、自由な女の子になりたいだけだったらどうしよう。人はその心のドキドキするままにドキドキする権利が欲しいだけなんだ。

          女の子は誰でも

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          ドキドキしちゃって、いいですか なんにもなくても生きていけるのに

          一輪車、ぞっとするほど手放し

          今日の夕日はこらえきれない金色、身を壊すほどの怒りの電力、すごい圧力で抑え込んで、放たれるまばゆい優しさ。あなたによく似てる。見送って図書館に入る。 探索。あなたのことを考えているときだけ聴こえる音楽。あなたのことを考えているときだけ鼻腔を伝う匂い。私の中をどれだけ行脚しても五感は錆びつくばかり。転校生になりたい。 外は涼しいね。会いに行かないテはないね。知覚できない1秒と1秒の隙間に心はある。一昨日の夜に散歩しましたよ。うちの町にまだ知らない公園がありましたよ。

          一輪車、ぞっとするほど手放し