アメリカにおける永住権の取得方法・注意点を解説
海外に滞在する際、国や滞在期間によってはビザが必要になります。
アメリカでも、就労や留学など、滞在目的や期間に合わせたビザを発給してますが、滞在期間の制限がない永住権を希望する方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、アメリカの永住権の取得方法や注意点などを解説します。
アメリカのビザや永住権について知ろう
アメリカのビザには、非移民ビザと移民ビザの2種類があります。
・非移民ビザ:特定の目的のために一定の期間、アメリカへの滞在が許可されるビザ
商用・観光ビザ、就労ビザ、学生ビザ、交流訪問者ビザなど
・移民ビザ:アメリカに移住するためのビザ
この記事では、移民ビザの一種である永住権についてご紹介していきます。
永住権(グリーンカード)
永住権カード(Permanent Resident Card)は、アメリカでは、通称グリーンカードと呼ばれています。
由来は永住権カードが発行され始めた頃は緑色だったため、グリーンカードと呼ばれるようになりました。
*アメリカは国の情勢や政権が代わると、移民に対する政策や、ビザに関する条件が変わる可能性があります。
永住権を取得するとどうなるの?
永住権を取得すると、アメリカ市民とほぼ同様の、以下の恩典を得られます。
・滞在期限がなくなります。
・職種・業種を問わず就労が可能になります。
・業種の制限なく、起業や独立をしやすくなります。
・アメリカ市民と同様の手続き・学費で学校に通えます。
・各種社会保障を受ける権利が得られます。
・永住権を取得してから5年経過後、アメリカ市民権(アメリカ国籍)を取得できます。(*1)
*1:手続きは永住権取得後、4年9カ月から始められます。アメリカ市民と結婚して永住権を取得した場合は、継続移住2年9カ月後から手続きができます。)
ただし、選挙投票など、政権への参加はできません。
永住権を取得する方法
永住権を取得するためは、大きく分けて4つの方法があります。
・アメリカ市民や永住権保持者との結婚
アメリカ市民、もしくは永住権保持者の配偶者が申請者のスポンサーとなります。
そのため、スポンサーが申請者をサポートするための経済力があるかどうかが、重要な審査対象となります。
もし、経済力が不十分であれば、スポンサーの親などを「ジョイントスポンサー」にすることが可能です。
何よりも大前提として、永住権目当てではなく純粋な結婚であることを証明する必要があります。
・アメリカへの投資
アメリカの企業や国家プロジェクトなどへの投資により、永住権の取得が可能になります。
最低投資額(*2)は1.8億USドル(2019年に1億ドルから引き上げ)、目標雇用地域(TEA・Targeted employment area )では、90万USドル(50万USドルから引き上げ)です。
*2:2021年3月現在の情報です。この先、再び変わる可能性があります。
参考URL:Official Website of the Department of Homeland Security
・雇用ベース
アメリカの雇用主がスポンサーとなり、永住権を申請する方法です。
スポンサーはアメリカ国内で求人広告を出したり、労働局へ申請者のLabor Certificate (LC) の承認を申請をするなどの、手続きをとる必要があります。
また雇用主は、労働局が設定した賃金レベルに従わなくてはなりません。
つまり、雇用主に賃金の支払い能力があるかどうかも問われます。
・移民多様化ビザ抽選プログラム(Diversity Visa (DV) Lottery)
歴史的にアメリカへの移民数が少ない国の人々に、移民ビザを発給するプログラムです。
DVプログラムの受付け期間は、例年秋ごろの約1カ月間で、応募する際に費用はかかりません。抽選はコンピューターで、無作為に当選者を選出します。
当選者は、シンプルながらも厳正な条件を満たす必要があります。
応募方法や、その年度の受付け期間やDVビザの発給数、対象外となる国などは、アメリカ合衆国・国務省のホームページで確認することができます。
参考URL: Travel.State.Gov U.S. DEPARTMENT of STATE — BUREAU of CONSULAR AFFAIRS
永住権を申請する際の注意点
近年、アメリカの永住権申請に必要な書類が増えています。
また、申請料の大幅な変更や手続きの複雑化、さらには申請中であっても移民に対する政策が変わる可能性もあります。
費用はかかりますが、不明な点や心配なことがあれば、アメリカの移民法に強い弁護士に相談することをおすすめします。
取得後に注意する点
永住権はアメリカに住む人のためのものなので、通常、米国を継続して1年以上離れると、永住権を放棄したと見なされます。
また、1年以内であっても、続けて180日を超えて国外に滞在するときは、「Re-entry Permit(再入国許可証)」を申請することをおすすめします。
継続180日以上アメリカを離れた後、Re-entry permitが無い状態で入国する際に、審査官から多くの質問を受けることがあります。
さらには審査官の判断により、永住権をはく奪される可能性もありますので、アメリカを長期間離れるときは注意が必要です。
その他、永住権の更新、条件付き永住権は条件を取り除く手続きなどもしなくてはいけません。
まとめ
アメリカの永住権は移民のためのビザであり、アメリカ市民権ではありません。市民権を得るためには、永住権を取得後、市民権取得のための手続きが必要になります。
アメリカ市民権を持たない外国人が(*3)、アメリカの滞在期限がなく、自由に就労できる永住権は、とても魅力的です。
永住権の取得方法はいくつかありますが、多くの人にアメリカへの移住のチャンスを与えてくれるDV抽選プログラムは、移民の国と呼ばれるアメリカらしいプログラムといえるのではないでしょうか。
アメリカの永住権を取得するには時間と労力がかかります。時には弁護士に助けを求めることも考慮しましょう。
*3:日本の国籍法は、単一国籍が原則ですから、外国の国籍と日本の国籍を有する人(重国籍者)は,22歳に達するまでに(20歳に達した後に重国籍になった場合は,重国籍になった時から2年以内に),どちらかの国籍を選択する必要があります(国籍法14条1項)。選択しない場合は,日本の国籍を失うことがありますので注意して下さい。
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