見出し画像

6歳までにインターナショナルスクールに通って身に付く英語力とは。

『インターナショナルスクール』

この言葉を聞いて、どんなことを想像するでしょうか。

「インターナショナルスクールに子どもを入れれば、子どもはすぐに英語力を身に付けられる!」

というイメージ、ありませんか?

実際、インターナショナルスクールには、

「私が英語に苦労したから、インターナショナルスクールに早くから子どもを入れて、苦労なく英語を習得させてあげたいのです。」

という親御さんがとても多いです。

私達親世代の中には、

「中学・高校の6年間英語を学んでも、話せるようにならなかったではないか!

文法ばかりやらせて!

英語環境で会話を中心にやれば、きっと今頃自分も英語がペラペラだったはずなのに!」

という思いを持つ方も、少なからずいるはず。(なにを隠そう、私もその1人でした。)

だからこそ、

『インターナショナルスクールや早期親子留学など、耳が良いといわれる幼児期(6歳まで)に英語環境に入れることこそ、英語習得に繋がる』

と思うことがあると思います。

が、実はそれは”誤った思い込み”と言わざるを得ません。

どんなに早く英語環境に入れたとしても、それが「=使える英語力」に直結するわけではないのです。

※ここで言う”使える英語”とは、日常会話だけではなく、ビジネスや大学で学んだり、研究するのに苦もなく使えるくらいの言語力を指します。

なぜ、そんなことが言えるのか。

それは私自身がインターナショナルスクールキンダー(幼稚園部門のこと)で約6年程働いてきた実体験があるからです。

今回はお恥ずかしながら私の英語レベルも交え、

「インターナショナルスクールキンダー(以下、インター)に通って培われる英語力とはどれくらいか。」

に焦点を当てて、お伝えいたします。

少しでも、インター入園後の「こんはなずじゃなかった・・・」を減らせることを願って。

英語力0からのスタート。3年間で英語力は”ある程度”つく。

実は私の英語力は、インター入社時は0に等しいものでした。

英語は話せるようになりたいとは思いつつも、海外が好きで旅行に行く程度で留学経験もなし。

そんな私がインターに入れたのは、英語力ではなく、インター勤務の前に、6年間日本の学校法人幼稚園で働き、主任兼担任をしていた経験を評価していただいたからでした。

つまり、私はインター入社時、

”3歳の年少さんとまったく同じ英語レベル0からのスタートだった”

のです。

まったく何も分からないところから始まった、私の英語生活。

それでも1ヶ月を過ぎたころには、外国人の先生が言っていること、求めているサポートをある程度把握して、動けるようになっていたり、ある程度コミュニケーションを取れるようになっていました。

もちろん同期(!?)の3歳の年少さんたちの誰よりも早く。

その成長ぶりは同僚の日本人バイリンガルの先生が驚いて褒めてくれるほど!

・・・なんていうとカッコイイですが、その理由は単純明快。

私は母語である日本語が(当たり前ですが)既に確立されていたため、言語混乱も文化的混同も起こらず、ちょっと積み上げるだけでよかったからです。

※同期の子ども達(9割日本人)の中には、言語混乱を起こしたり、3年間ほとんど英語を発しない子がいたり、できない子というレッテルを貼られてしまったりと、苦しい3年間を過ごす子もいました。

そして、

「Grammar(グラマー/文法)なんて大嫌い!英語環境にいれば、自然に英語なんて話せるようになる!」

と思っていた私の中にも多少、これまでに学んだ文法や単語が残っていたことと、使用言語、カリキュラム、生活スタイルは違えども同じ幼児教育業界だということも大きかったです。

そんな私が1日8時間、週5日、つまり週40時間英語に触れている生活をしていれば、勉強せずとも3年間である程度コミュニケーションは取れるようになりました。

「なぁんだ、やっぱり英語環境にいれば自然に英語力が身につくじゃないか!」

と思われたかもしれません。

しかし、私の英語レベルはいわゆる、『子ども英語』と呼ばれるレベルにしかならなかったのです。

おそらく、年齢で言えば”英語圏の5歳児(年長さん)レベル(もしくはそれ以下)”くらいではないかと思っています。

「ん?でも、5歳児レベルだったら3歳からインターに通っている子どもの場合は良い事なんじゃないの?」

と思われたかもしれません。

が、私が5歳児レベルになったのは、前述したように日本語という一言語をしっかり確立し、言語混乱などがなかったからです。

まだ一言語も確立していない6歳までの子では、インター卒園時に英語圏の5歳児レベルに達さないことも往々にしてあるのです。

一例を挙げると・・・

私は日本語を母語とする子どもたちが、

・母語環境の幼稚園で3年間過ごした場合の成長発達

・母語環境ではないインターで3年間過ごした場合の成長発達

どちらも観てきています。

母語環境で育った子は、5歳児(年長さん)になると、友達とトラブルが起きた時に先生の援助がなくとも、自分達で話し合って解決することがほぼほぼ、できるようになります。(6歳までの成長発達はどの国でも同様です。)

が、インターの子は卒園間際になってもそれができる子がほとんどいませんでした。

これはつまり、同じ5歳児/年長さんという年齢でも、母語環境で過ごすか否かによって言語発達に差が生じるということ。

インターの子は母語環境で3年間過ごした子と比べると、何事も幼い傾向にありました。

※他にも要因はありますが、今回は英語力/言語に絞ってお伝えしています。

このことからも、言語混乱が生じると、多少なりとも発達に遅れが生じてしまい、英語力が、英語を母語とする5歳児と同じレベルに達しないことがあることが分かります。

「インターに通えば、絶対に6歳までに日本語も英語も、どちらも現地の同年齢の子ども達と同じくらい扱えるようになる!」

わけではないのです。

むしろ言語混乱により、卒園時期になってもどちらの言語も幼いまま、なんてこともあります。

そして卒園後、日本の小学校に進学すれば、英語と触れる時間が短くなるため、一気に英語は忘れていきます。

もしインターの小学校に進学させたとしても、「使える英語力」を身に付けるには、本人の意欲がないと難しい(もしくは母語を英語にするしかない)のです。

その理由は、その後の私自身の英語力でお話しします。

その後の3年間で、”子ども英語”がどうなったか。

インターに入社してから3年間、まったく勉強せずに”子ども英語”を確立した私。

その後転職し、もう1社、別のインターを経験します。

その頃には英語にほぼ抵抗はなく、英語力も多少上がり、ほぼコミュニケーションに不自由を感じることなくその後の3年間も過ごしていきます。

合計約6年、英語環境であるインターで働いた私の英語力はさぞかし上がっているだろう!と思いきや・・・

『子ども英語から脱しませんでした。』

その理由は簡単。

『伝わることにあぐらをかいて、まったく勉強しなかったから』

です。

そうです。

この6年で難しいことは分からなくとも、日常会話は普通にできてしまったため、学ぶことをしなかったのです。

日常会話/コミュニケーションに不自由しないといっても、外国人の方からすると、子どもと話している感じだったと思います。

もし、貴方が外国の友人にカタコトの日本語で話をされても、

・温かく見守ってくれたり

・察して、「こういうこと?」と代弁してくれたり

・ボディランゲージを使ったり

しますよね?

まさにそんな感じで、外国人講師の方の優しさでコミュニケーションが成り立っている部分が大きかったのです。

そしてそんな環境で私はついに実感します。

「確かに英語環境にいれば英語には慣れるけれど、自分で(文法や単語を含め)勉強しないと”使える英語力”は身に付かない」

と。

使える英語力を身に付けるには。

おそらく、たわいもない会話をするには、問題ない英語力を身に付けることができた私。

けれど、

・ビジネスで使える英語か?

・論文が読めるor 書けるか?

・流暢に扱えるか?

と問われたら、はっきりNoと答えます。

日本語環境で考えてみても、5歳児以下の日本語力が、ビジネスで使えるかと問われれば、Noですよね。

おそらく、

“インターに子どもを通わせて英語力を身に付けさせたい!”

という場合には、私のような中途半端な英語力ではなく、ビジネスにも学習にも使える英語力を求めている場合が多いかと思います。

でも、使える英語力を身に付けるには、英語環境にいるだけではダメなのです。

つまり、

”使える英語力習得を求めてインターへ子どもをいれるだけでは、親が期待した英語力は身に付かない”

といえるのです。

もちろん私のように、英語環境にいるだけでもある程度は理解し、話せるようにはなります。

けれど、その先の英語力は、

『自分で意欲を持って学ばないと手に入らないもの』

なのです。(母語を英語にしたい場合は除く)

このことは、

・日本に長くいても、日本語が流暢ではない外国人の方がいること

・英語圏に留学しても流暢に英語を話せない人がいること

からも分かります。

「でも6歳までインターで積み重ねたものがあるはず!」

と思われるかもしれませんが、言語は使わないと忘れます。

前述したように、6歳までインターでその後日本の小学校へ進学した場合には、子どもは驚く程のスピードで英語を忘れていきます。

英語を残す&更に伸ばすためには、かなり計画的な戦略をとらないといけません。

また、その後インターに進学したとしても、日本語があやふやになったり、”日本人として”の核が育ちにくくなったりする可能性もあり、「こんな成長は想定していなかった」という事態になるおそれもあります。(実際、こんなはずでは・・・と相談に来られるクライアントさんもおります。)

使える英語力を身に付けさせるために、6歳までにできること。

世界で活躍するための、”使える英語力”は、

「インターや留学など、英語環境に早くから入れることで身に付く!」

わけではありません。

『自分から英語に興味を持って学ぶ』

から身に付くのです。

6歳までにインターナショナルスクールという英語環境の中にいても、身に付く英語力は案外脆いもの。

自らの意思で学んでこそ、英語力は使える英語力に成長し、定着するのです。

私のように英語環境にいることに甘んじてしまっては、使える英語力は身に付きません。

では、使える英語力を身に付けるために、6歳まで(もちろんそれ以降も)にできることはなんでしょうか。

それはいかに、

『学習意欲に繋がる興味の種を蒔けるか』

ということです。

繰り返しになりますが、使える英語力は本人が興味をもって自ら取り組まないと身に付きません。

だからこそ、早くから英語環境に入れるよりも、子ども本人が、

・好き!

・楽しい!

・もっと知りたい!

と思える(=自らの学習意欲に繋がる)環境を整える(興味の種を蒔く)ことの方が大事なのです。

この意欲は何も英語だけに留まりません。

全ての学習意欲は「好き/楽しい/もっとやりたい」から始まるのです。

一見、英語に直結しないように見えることを、好きだというかもしれません。

けれど全ての「好き」は多角的に見れば全ての学習に繋がってくると私は考えています。

自分の「好き」を世界に発信したくて、英語を学ぶかもしれません。

自分の「好き」をもっと極めたくて、英語を学ぶかもしれません。

何がどこに繋がるのか、誰にも分からない。

だからこそ不安になるかもしれませんが、だからこそ、子どもは無限の可能性に溢れているのです。

大人の都合で子どもの可能性を枠にはめることのないよう、子どもの「好き/楽しい/やりたい」を大切にしていってください。

それが『世界で活躍できる本物の使える英語力』にも繋がるのですから。

子ども&貴方の可能性は無限大!

いいなと思ったら応援しよう!