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「ハケンアニメ!」の脚本家・政池洋佑さんが語る、バズを生み出す「設定力」とは?
今回は、日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した「ハケンアニメ!」の脚本を手掛けた脚本家・政池洋佑さんを招いて対談しました。
自らを「設定フェチ」と評するほど、エンタメの「設定」に惹かれこだわり抜いている政池さん。
「豊臣秀吉がタイムスリップとしてスタートアップで働く」といった面白い設定を考え企画する政池さんの、エンタメへのこだわりや愛をとことん語っていただきました。
クリエイターとして「自分が面白いものを作る」ことの重要性も説いていて、全クリエイター必見のインタビューです!
政池洋佑さん
構成作家から脚本家へ転身し、脚本した「ハケンアニメ!」では日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞。他にも「晩酌の流儀2」「秀吉、スタートアップ企業で働く」「春は短し恋せよ男子。」「シガテラ」「スナイパー時村正義の働き方改革」が民放連ドラマ部門最優秀賞受賞を受賞するなど、多くの作品で受賞している。
Twitter:https://twitter.com/masaizokuzoku
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仕事の鬼ではなくリフレッシュの鬼になる
セカイ監督:政池さんは同時並行でいくつもの仕事を進めているイメージがありますが、今は何本くらい抱えているんですか?
政池さん:着地していないものも含めると、10本は超えると思います。
セカイ監督:そんなにできるんですね!
政池さん:元々構成作家をやりながら脚本もやっていて、その中で連ドラを書いたりもしていました。当時は週4徹夜の生活だったので、時間がない中で集中することには慣れていましたね。あとは、人よりも「集中するための努力」はしていると思います。
セカイ監督:どんな努力をしているんですか?
政池さん:めちゃくちゃありますが、一つ挙げるなら「とにかく場所を変えまくる」ことです。やっぱり場所を変えながら仕事をすると、アイデアがどんどん出てくるんですよね。シェアオフィスを2つ借りつつ、カフェも転々としたりしています。
セカイ監督:わかります。同じ場所にずっといると時間が経つのが早く感じるし、たくさん移動した方が充実感もありますよね。
政池さん:そうそう。そのおかげで何本も掛け持ちできているのはありますね。他には、シェアオフィスの近くにジムがあるので、1時間だけサクッと筋トレしてから働き始めるとか。「仕事の鬼ではなくリフレッシュの鬼になる」ことは昔から心がけています。
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脚本家はChatGPTをどう使う?
セカイ監督:そういえば、政池さんはChatGPTを使っていますか?
政池さん:めちゃくちゃ使ってますよ。
セカイ監督:どんな使い方をしているんですか?構成だけ考えてもらったり、中身まで考えてもらったりと、いろんな使い方があると思いますが。
政池さん:構成や中身よりも、展開を考えてもらっています。「こういう設定だったらどんな展開が考えられますか?」と入力して、5パターン返ってきたら、その中から面白そうだと感じたものを残したりします。前提として、まずは自分で考えますけどね。全力で考えて、「もう一回アイデアを広げたいな」というときにChatGPTで壁打ちするイメージです。
セカイ監督:なるほど。僕の場合は、事例を出してもらいますね。例えばアイスのCM作るとなったら、過去にウケたアイスのCMの事例をいくつか出してもらいます。どこの会社がどんなCMを作っているのか教えてもらう感じです。
政池さん:そんな使い方もあるのか。面白い!なんでその企画がウケたのかを抽象化して、落とし込めたら別の企画になるだろうし。
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求めるのは「設定の面白さ」
セカイ監督:政池さんは企画を作ることもあるんですか?
政池さん:ありますね。最近だと、テレビ愛知さんから「愛知県を舞台にした話を考えてほしい」と言われて、「豊臣秀吉がタイムスリップとしてスタートアップで働く」という企画を3行で送ったら通りました。今後は、オリジナルの企画をどんどん作れる脚本家になれるといいなとも思っています。
セカイ監督:なるほど。両方やるということですね。
政池さん:ただ、自分の気持ちが乗れない企画もあるので、基本は自分が得意な内容のものを受けるというルールは決めてます。
セカイ監督:どんなものが得意なんですか?
政池さん:僕、設定フェチ・ログライン(要約)フェチなんですよ。とにかく設定が面白いものを考えたいんです。設定が面白いと、ベタなことをやってもウケるんですよね。なので、設定が面白いテーマが来たらワクワクします。
セカイ監督:設定大事ですよね。そうすると、仕事をする相手の基準もいろいろあると思いますが。「設定が面白そう」という点を重視するんですか?
政池さん:そうですね。最近は大きな作品もやらせてもらっていますが、売れてない頃からとにかく自分が好きなことばかりをやっていました。今は仕事も増えてきたので、これからはもっと自分にしか書けない話を書いていこうと思っています。元々映画プロデューサーやドラマプロデューサーになりたかったので、自主企画的なことをしていきたいな、と。
セカイ監督:めちゃくちゃいい生き方してますね。
政池さん:専門学校や日芸などを出ている人は、多分当たり前のように映画とかを自分たちで作ってると思うんですが、僕は普通の4大卒なのでやったことがないんですよね。40歳くらいになって初めて自主映画を作ったら、めちゃくちゃ面白かったんです。
セカイ監督:僕は「いかにネットでウケるか」を考えているのですが、ネットは瞬間風速は強いけど本質的なものはウケないんですよね。設定でウケたものは映画なら名作になる可能性があっても、ネットだとそうもいかない。僕が「ネットウケの切り口」を考えて、政池さんに本質を突く設定を考えてもらうといいものができる気がします。
政池さん:たしかに、両方求められる時代かもしれないですね。
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脚本家になるためのルートを増やした
セカイ監督:脚本家のお仕事をする上で、「今思えばこうしておけばよかった」と思うことはありますか?
政池さん:強いて言えば、「もうちょっと自分を信じて、早く脚本家にベットしてもよかった」とは思います。構成作家もやって週4徹夜していた時代があったけど、そんなにやらなくてもよかったかもしれません。とにかく脚本が好きなので、もっと早くやっていれば今よりもっと早く結果が出て、自分が行きたい場所に行けたかもな、なんて思っていたりします。もちろん、今いる場所もすごくありがたい場所ですよ。
セカイ監督:そういう風に思っているんですね。結構フリーで仕事を受けられていると思うのですが、はじめのうちはどこから仕事をいただいて、どうやってキャリアを築いていったんですか?
政池さん:とりあえず生きていくために、最初は構成作家をやっていました。構成作家の方が受け皿が広くて稼ぎやすいんです。構成作家として稼ぎながら、脚本家になるためにコンクールに出したり弟子入りしたりという2本柱でしたね。
セカイ監督:脚本家に弟子入りってあるんですね!
政池さん:結構ありますよ。このように、できるだけ脚本家になるためのルートを増やしておくといいと思います。
セカイ監督:僕も1本の動画を、見出しを変えて全部のSNSに出します。YouTubeでは10万回再生だったものが、Twitterでは1000万回再生いったり、SNSごとに全然数字が違うんですよ。いろんなところに種を撒いておくと、ここがダメでも別の場所で上手く行ったりしますよね。
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自分が「面白い」と思ったものが刺さると自信になる
セカイ監督:政池さんが脚本を務めた「ハケンアニメ!」が大ヒットしましたが、政池さん自身ヒットすることは想定していましたか?
政池さん:ヒットというか、多くの人に愛されるようになったという意味では成功した作品ですね。でも、アカデミー賞の優秀作品賞や、優秀脚本賞をいただくまでになるとは思っていませんでした。
セカイ監督:本当にすごいですよね。それを経て、「こういうのが世間的にウケるんだな」とかはわかったりしたんですか?
政池さん:わからないです。でも、自分が「面白い」と思うものが世の中に刺さったことは自信になりましたね。今後も、自分が「面白い」と思うものを信じて作っていけばいいんだなと思いました。
セカイ監督:間違いないですね。でも、過去に自分が面白いと思った作品でウケなかったものってあったりするんですか?
政池さん:ありますよ。僕も面白いと思い、実際ドラマ部門の最優秀賞も受賞した作品でもそうでした。「最愛」や「仁」、「逃げ恥」とかも獲った賞なので、仕事も増えて人生が変わると思ったんですが全くでした。そのドラマが特定の地域でしか放送されなかったのも理由の一つだと思っています。だから、ある程度見られる場所に置くことが大事だなと思いました。見られない場所にしか置けていないのなら、見られる工夫をすることが必要ですね。
セカイ監督:知らなかったです。結構オリジナルの作品を作られているんですね。
政池さん:でも、今はオリジナルの作品ってあまり通らないんですよ。本当はやりたいことがたくさんあるんですが、行き過ぎた設定はテレビドラマでは受け入れられなくて。そこの出し方を試行錯誤しているところです。
セカイ監督:やりたい企画をYouTubeに出すのはどうですか?やりたいこともそうですけど、「このアイデア出したらウケそうだな」と思うのに、案件が来なくて保管してるものってあるじゃないですか。面白いけど出せていないネタは、自主企画としてYouTubeに上げておくのもアリだと思うんですよね。それを見た企業さんから、「こういう作品作りたいです」と依頼が来るかもしれないし。
政池さん:確かに。そのYouTubeを、企業さんに見てもらえるフィールドまで高められたらそれもアリですね。
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「面白い」のハードルを上げろ
政池さん:でも、あんまりYouTubeにアップしすぎると、パクられちゃう可能性もありますよね。
セカイ監督:たしかに。TikTokを見ているとわかるように、SNSってパクリ文化ですからね。でも、SNSによって文化が少し違うんですよね。TikTokだとパクって当たり前だけど、YouTubeだとちょっと怒られたりします。
政池さん:「水曜日のダウンタウン」とか、テレビ番組をパクってるYouTuberさんは怒られないんですか?
セカイ監督:YouTuber同士で同じところからパクると怒られます。多分、テレビ側は放置しているので怒られないですね。
政池さん:なるほど。でも、「水曜日のダウンタウン」を作っている超一流のクリエイターの脳を真似るというのは、面白さを学ぶという点ではすごく良いですよね。僕はアシスタントに「面白いハードルを上げろ」といつも言っていて。いろんな作品を見て、それが面白いか面白くないかの判断ができるようにならないといけない。そういう審美眼を持つことで、自分の作品を作るときに「これ面白くないな」みたいな違和感を高めることができると思います。
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今回のインタビューはYouTubeでもご覧いただけます!
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3. 他には真似できない圧倒的な企画力
時代的に何が求められていて、どんな企画がウケやすいのか。トレンドや親しみのあるフォーマットを取り入れながらも、意外性のある作品制作に定評アリ。
この記事を読んで、セカイ監督のことが少しでも気になった方は以下のHPもぜひご覧ください!
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