青野芹 Seri Aono

2003~06年に有史以前の架空の文明を舞台とする超長編歴史大河小説を書いていました。その後ハタ!と筆を置き、シングル母としてちょっと不思議な仕事(スピ系)をしながら事業主として奔走。15年経過し子も成人。満を辞して続きを書くことに。失われた文明、太古フェミニズム、宗教・思想。

青野芹 Seri Aono

2003~06年に有史以前の架空の文明を舞台とする超長編歴史大河小説を書いていました。その後ハタ!と筆を置き、シングル母としてちょっと不思議な仕事(スピ系)をしながら事業主として奔走。15年経過し子も成人。満を辞して続きを書くことに。失われた文明、太古フェミニズム、宗教・思想。

最近の記事

マーラの名のもとに。

アトランティス小説です。まったくの空想という訳ではなく、ヒーラーとして仕事をしてくる中で、たくさん見てきた人類の歴史の物語を 「the Genesis -- 地球と人類ソウルの10億年の神話」としてまとめて、手作り書籍で販売しています。そのたくさんの、無数の物語の中で、こちらの小説はアトランティス末期の主に女性性、女性たちの鎮魂のために書いています。普段は有料コンテンツとして別サイトで書き下ろしているものですが、冒頭部分を今回は、掲載させていただきます。 https://ww

    • 自己紹介

      黄金期と言える昭和の、先生方の少女漫画は本当に文学的で哲学的で、ヨーロッパが香る素晴らしい作品がたくさんありました。1973年生まれの私は、まさにちょうどその時代の恩恵を受けた世代で。本屋さんで「ベルばら」のコミックを見つけて、ぱらぱらした時の衝撃は今でも覚えていて。当時は小学校2年生くらいだったかな。ちょうどアニメでも放送された時期と前後していたかと思います。 巨匠、と言えるような先生方の、それも歴史超大作が大好きで、まさにそれで育った。つながるのか、テレビでは時代劇や大

      • 作品について

        こんにちは。読んでいただきありがとうございます。少し解説、言い訳?するようではありますが、最近書いたものではないので、執筆の背景について付記しておきたく記事を書いてみました。 この小説は、執筆時期などを自分でも忘れてしまっていたので今回、古いデータを探してみましたら、2002年に書いていたよう。一連のシリーズものなのですが、1995年から書き始めて、何らかのスイッチが入り、2002年にそれらのシリーズで足りていないエピソードを補完するべく、幾つか作品を書いたうちの一つが、こ

        • 「水の男」 第三話

          「カズキ」と、低音の響きの良い声と共に揺り動かされ、見ていた夢の世界から引き上げられた和樹は、不満そうにゆっくりと瞼を上げた。和樹の寝起きの悪さに慣れてきていた秋一は、その顔をじっと覗いて、相手が現実世界に意識を戻すのを気長に待った。  「あんだよ。」壁や天井の白い空間に浮かぶ秋一の姿に安堵を覚えながら、和樹はゆっくりの睫毛のブラインドを上げたり下げたりした。  「ちょっと出掛けてくる。夕方帰って来なかったら、一人で何か食べててくれよな。」  未だ神経の目覚めが悪く、ろくに反

          「水の男」 第二話

          「なかなか似合うじゃないか。」  海賊姿を中澤に褒められた和樹は、照れくさそうな顔をしてホールに立った。週に四日のサードマウンテンでのバイトは、範子に完全な誤解を受けた秋一の誕生日の、次の日から始められた。他のバイト学生と殆ど口をきかないという欠点はあったが、和樹はそれなりに勤まっていた。  「ねえ、あの遊園地、今度行こうよ。」  店からの帰り道、「みなとみらい」の観覧車を差して、和樹は言った。  「勘弁してくれ。男二人で遊園地なんて。」レザージャケットのポケットに両手を入

          「水の男」 第二話

          「水の男」 第一話

          範子の部屋---渋谷区某所の、比較的恵まれた場所に建つ、女性専用マンション。  女の話声を聞きながら、閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げると、ベッドの脇のテーブルに、ペデイキュアの瓶が、蓋を開けたままの状態で置かれている。まずい、と和樹は思った。慌てて身体を起こすと、案の定、彼の両足の爪は、透明なピンク色の光沢を放っていた。舌打ちしながら立ち上がり、床に放られていたテイーシャツを拾いながらキッチンに向かった。四畳しかない狭いキッチンでは、折り畳み式のパイプ椅子に股がった範子が、

          「水の男」 第一話