ネタバレ全開研究 「探偵はバーにいる」(小説)東直己 ~嫌いじゃないけれど
詳細に研究していきます。
ネタバレ全開で行きます。結末を知りたくない方はここで左様なら。
また会う日までお元気で。
どちらかといえば面白かったし
どちらかといえば好きなのだけれど
ちょっと突っ込みたくなるところが多々ありました。
でもどうして私はそこがよくないと思ったのか、と考えることは有益なことでした。
もう一度言いますが嫌いではありません。
シリーズ別の作品も読みます。
総評 2.5点(5点満点)★★☆
(1:怒りを覚えた 2:つまらない 3:まあおもしろいかも 4:とても面白い 5:死ぬまで忘れない)
テーマ △ 被害者の工藤、デートクラブの女たち、ハル特筆すべき情熱はなし
キャラクター 〇探偵、やくざ、高田、ホームレス、呼び込み、医者。魅力的だが生かし切れていない
ロケ地 ◎ススキノが舞台というのが最大の魅力
構成 〇
トリック △
文章 ◎
よかったところ
すすきのが舞台であること。酒の描写。人間の真実がときどき。
感想
●「いい女」が出てくるが出てくるだけで作品の中で機能していない。美恵子という恋人がいて、「インポで有名だ」(実際そうなのか恋人一人だけを愛する潔癖な男なのかよくわからないが)というのが作者の課した枷かもしれないがヒロインは拍子抜けだった。同情するよりもそんな男に引っかかってバカじゃないのと軽蔑してしまう。
「いい女」の恋人は殺された工藤。いい女が惚れるぐらいだから読者が納得できるぐらいいい男でなくてはいけないがこの人物造形はうまく行っているとは思えない。
絵本の出版を夢見るデートクラブ経営者だが「風俗経営しているが心は純粋な男」ではなく「絵本作家をしているがしていることは風俗経営という薄汚い男」という印象が勝ってしまう。
子どもと性というのは組み合わせが最悪だ。実際に経験した印象だが、小学生の関係者は親も教師も性に関して神経質でちょっとしたことに拒否反応を示す。子どもと性は同居できないのだ。
工藤と言う男に全く共感できなかった。彼の造形ははっきりと失敗だと思う。
●麗子の部屋を調べたとき、札幌で手に入るすべての新聞があり、どれもジョイシャトーの乗っている記事が外側にしてあった。そのことで麗子の失踪とジョイシャトーが関係があることに気づくがこれは甘い。
預金通帳から麗子が売春をしていることが推測できた。新聞記事を集めていた。……それだけで関係があるとは確信できないだろう。
自分とは直接関係なくとも、同じ業界の事件やとても気になった事件(たとえば加古川女児殺害事件など)の関係記事をいくつも集めて読むということはよくあることだ。
●記者松尾と接触した時に、通りで立っていた男が麗子の家の近くで視界に入ったものと同じ男だった。
このことから探偵は自分が狙われていることを知る。なぜ狙われているのかはわからない。
サスペンスを盛り上げるが、理由を知ってがっかり。結論にはそんなことはしねーだろと思った。
●麗子はハルが行動を起こすと思って関係各所に兵隊をつかって見張らせていたが、たくさんの人間を長い時間拘束させるわけで多大なお金が費用になる。
いくら親友とはいえ麗子がモンローのためにそこまでするとは思えない。
そういうことをする人がいるかもしれないが「そういう事情だったらそこまでするかもね」と思わせなければいけない。
保護してもらいたいなら警察でいい。そもそもやくざにチクるのではなく、シャブを持っているのだから警察に訴えればいい。
そうすれば別れさせられる。
●22、23でつまづいた読者は多いのではないか。
探偵は忍び込んだデートクラブのシーンで初めてモンローが登場する。探偵は彼女と以前からの知り合いだったがその説明がないから「モンローって誰なんだ」自分に読み落としがあったのかと疑う。まずここで置いてけぼりを食らう。
探偵は「居酒屋ちいちゃん」に急ぎたがっていたが「ケラー」「フラミンゴドリームス」など酒場がたくさん出てくる。「ちいちゃん」はモンローの行きつけの店でそこに行けば何か情報が得られると考えたわけだが、その説明をすぐにしてくれないものだから、それはどういう意味を持った場所なのかわけが分からなくなる。
少年少女団に襲われる。彼らがなぜそこで現れたのか理由があり最後に明らかにされるのだが、私は初めて読んだ時なんというご都合主義かとしらけてしまった。作者にしてみたら読者にしらけたテンションのまま読み進ませるのは得策ではない。「彼らがここで現れたことには、なにか理由がある」と読者に知らせる必要があったと思う。
なぜ説明を後回しにするのだろう。「この人は誰だろう、この店は何だろう」ドキドキしながら読み進めていき、理由が分かってああスッキリ、となるとでも作者は思っているのだろうか。ならない。ああそうですか、という結果にしかならないことを焦らされるのは読む気をなくすだけだ。
あらすじ
・大学の後輩の恋人麗子が行方不明になったので探してほしいという依頼をうける。
・ラブホテル、ジョイシャトーで工藤と言う男が殺されたという記事を読む。
・麗子の部屋を探っていた時に新聞記事が集められていたことから探偵は麗子とジョイシャトー事件が関係あるとにらんだ
・工藤の恋人はいい女だった。ピンサロのバーテンをしていた。なぜそんなやつが売春婦を呼んだのだろう。なぜ女を呼んでそしてなぜ殺されたのだろう。
・探偵はゲームセンターで少年少女団たちと乱闘になる。彼らの中に探偵をつけていた男がいた。なにか裏がある。
・ジョイシャトーに派遣したデートクラブに忍び込むとモンローがいた。逃げられた。
・なぜか少年少女団に襲われた。
・モンローのいきつけの「居酒屋ちいちゃん」を訪ねたあと岡田に襲われそうになる。最後に女を呼んだ客と同じ名前だ。
・岡田はモンローを連れてくるように兄貴のハルから命じられた。麗子の家と「居酒屋ちいちゃん」で探偵を見た。探偵が何かを知っていると思って揺さぶろうとしたそうだ。
・デートクラブの女の子たちの家を訪ねまわる。
・桐原からハルと組とのトラブルについて聞く
・シャブを食らったハルがオヤジさんの店を襲う。
・ハルのアパートを訪ねると岡田が死んでいた
・大学時代の先生がモンローに手を出して脅された。先生になりかわって現場に行きハルと接触。ハルと決闘になりハルが工藤を殺したことを知る。
・糸を引いていたのは麗子だった。モンローに同情しハルに愛想をつかせるため、ヤクザに密告し、客を脅させようと仕組んだのだった。
詳細研究
【オープニング どんな人間なのか、どんな世界で生きているのか】
ちょっと昔、風俗営業法が変わる前、ソープランドがトルコと呼ばれ、エイズがアメリカのホモだけがかかる原因不明の奇病だった頃、俺はススキノでぶらぶらしていた。
(現代のコンプライアンスでは問題あり。格好いいけれど)
1
表現 冬の札幌
冷たい突風が真正面から吹きつける。俺は思わず顔をしかめた。色とりどりの光の下に散らばっている客引きたちが各々片手にビラの束を持ち。片手でジャンバーのヘリを掻き合せ、悲鳴に近い声を出す。
表現 夜の街について
不景気であればあるほど、この手の店は賑やかなのだ。
(階段を降りる俺に向かって。)
上の方から客引きの声が追いかけてくる。俺は背を向けたまま左手をあげた彼に見えたかどうかは分からない。まあ、多分、俺の後ろ姿には目もくれていなかっただろう。
表現 酒
彼はそんな御託をならべながら、俺の前におしぼりとピースの缶、胃腸薬の大箱、水を注いだタンブラーを置く。俺は箱から胃腸薬を二袋だし、口を切った。岡本はオールドファッションドグラスに氷を落とし、辛口の特性ラスティネイルを作り始める。ニヤニヤ笑いながら。
ススキノの街。客引きたちとあいさつ。
バーテンダーを背に買ったので嫌味な雰囲気。
先輩と声をかけられる。
【麗子探しの依頼を引き受ける】
2
ハラダ 学生
恋人の諏訪麗子が行方不明。
用語
名前の知らない短期大学。スケタン
彼女は4日前にいなくなった。
美人でもブスでもかわいくも醜くもないが、その顔に浮かんでいる微笑みは知恵が足りないように見えるのは仕方ないにせよ、素直な良いものだった。
3
新聞記者の松尾に電話をする。スケタン関連の事件は聞かない。
原田
相変わらず頼りない声を出す。この子供は、例えば麗子が2、3人の不良高校生に回されて原始林の中に捨てられて。野犬の餌になっているというような事態を想像してのたうちまわっているのかもしれない。
4
原田に呼ばれて彼女の部屋を訪れる。
六年前からの手紙がしまわれているが、それほど多くはない。
父親からのバレンタインのお礼の手紙。
預金通帳。
表現 女の子のこれまでの人生がなんとなくわかる
原田は素直にテレビの横の壁にぶら下がっていた、平べったい水色のカンガルーをもってくる。腹のあたりだけが触れていて、その中にハガキや封書が詰め込んである。結構な量だが、一番古い消印は六年前のものだ。六年間にこれだけだとすると、麗子とその仲間たちは郵政省の乗客ではないらしい。ほとんどが女の子からの年賀状や旅先からの絵はがきの類高校時代の年賀状を札幌のアパートまで大切に運んで来る。娘というのは一体どういう青春を生きているんだろう?友情を大切にしているのか、それとも友達の数が極端に少ないのか?
30通ほどあった年賀状を調べ、消印がもっとも新しいもの。つまり今年の年賀状(それにしても今年もすでに生姜。から一年近く経過しているというのは、いささかショックだ。この分じゃ30を超えるのもあっという間だろうな)から、札幌に住んでいる女の子の住所や電話番号を書き写した。
三通まとめてあった封書は父親からのものもので、残りはダイレクトメールや月賦で買ったミニコンポの引き落としの通知とか、ほとんど利用してないらしい。クレジットカードの明細などだ。特に不審を感じさせるようなものはない。父親からの封書の一番新しい日付は、今年の2月22日、父親は。この上差して見る限り、娘にあまり手紙を書かないタイプらしい。そういえば母親からの手紙は一通もない。
まあ、今は電話で用が足りるからな。
「そろそろ眠る時間なんだ」と言って去っていく
5
フラミンゴドリームでいっぱいやる。カフェバー。
表現。酒。
俺はカウンターの左端に座った。ジャックダニエルズを満たしたストレートグラスがほとんど俺の前に現れる。俺はこの先のストレートを12オンスタンブラーになみなみと注いで飲むのが好きなのだが、ここではこうして飲む。マスターの好みなのだ。
表現 酒に酔う
俺の前で無心に何の屈託もなく回転しているプレイヤーのターンテーブルを眺め、後頭部のあたりで酔いの感覚が少しずつ広がっていくのを楽しんでいた。
カウンターの隅で女が泣いている。ホワイトレディを飲んでいる。
同棲している美恵子から電話。
博打がルーティンになっている。
美恵子は美容師。
カウンターの女は後ろ姿しか見せなかった。
6
42歳のサラリーマンを捕まえてショウコというホステスがツケのために断る。困っていると穏やかに教えてあげる。
中学校の教頭先生が25万円請求された3万円まで落としてやれるだろう。俺の手数料と合わせて25万円が6万円になる。
結局、トランプ遊びをしに行くことになるのだろう。昨日の分も含めて20万は稼ぎたいものだ。
表現、すすきの町。
ベランダに行き、カーテンを開けた。俺はここからの眺めが気に入っている。右側にススキノの雑居ビルが立ち並び、その中を細い川が流れる。両側に裸木がひっそりと佇んでいる。その向こうに中島公園が今は冬がれている。正面から左側にかけてホテルが林立し、合間合間に旅館や料亭が青や赤いトタン屋根を見せる。料亭は上から見下ろすとみすぼらしいものだ。その彼方に豊平川が両側にクルマを走らせて横たわっている。しばらくぼけっと景色を眺めてから俺はゴミや空き瓶や食いかすやを靴で蹴散らしながら次の間に行き、ベッドに腰を下ろした。
24時間営業の喫茶店モンデに行く。
新聞を読むジョイ・シャトー、ホテルで発見された男の刺殺死体に関し決めてはない。
→新聞記事でジョイ・シャトー事件について知る。関わることになるとはこの時は思っていない。
7
銀行に行く。麗子の通帳を機械に入れる残高は583万円。
一日につき2万円から5万円の入金がある。
会計事務所の鈴木に電話をする。2万とか3万という日銭をガボガボ貯金してるとすれば、お前何だと思う?
8
麗子の部屋にあった年賀状の娘たちの家に電話をする。
バカっぽい。
→(女の子を小ばかにした表現はちょっと古いんじゃないかな?)
実家に電話をする。母親が出る。同じサークル。少女漫画とアニメ同好会をやっている北海道大学の原田と申します。忘年会の日程の打合せをしたい。
9
表現。女性のアパート。
クリーム色のドアを開けると、お決まりのユニットバスだ。これも掃除が行き届いている。水色のカバーとマットで飾った洋式トイレ。水色のペーパーフラワーを乗せた水槽。洗面スペース浴槽、水色の花びらのシールでふちを飾り付けた大きな鏡、シャンプーのリンスだの部屋。なんとかだのかんとかクリームボディ。なんとかだのかんとかだのが並んでいるうんざりした。しかし、とにかく順々にこなしながら。靴を片付けている原田と色々話した。覚醒剤の形跡なし、ヤクザやチンピラとの付き合いも無し。その他いろいろ。
表現。探す。
俺は続いて部屋の中を本格的にかき回してみた。小一時間ほどかかったが、注射器も暗号表もドクロ弾からの脅迫状も大麻の種も小型無線機も下山事件の真相を録音したテープも金の延べ棒もピストルも政治家の恥ずかしい写真も出てこなかった。
表現。部屋から新聞が出てきた。
泥酔した職員。47歳が麗子の恋人なのかもしれない。小学五年生が麗子の恋人なのかもしれない。北見で集団暴言合戦をした連中に何らかの関わりがあるのかもしれない。そういう可能性は完全に否定できないし、あるいは紙面に何らかの記事が載ってなかったせいで、失踪者という可能性ももちろんある。
部屋には朝日、毎日、読売など手に入るすべての新聞が揃っていた。どの新聞もジョイ・シャトーの記事が一番外に向けられていた。それで探偵はこの事件と麗子が関係があると睨んだ。
→記事を読んでいただけじゃ思わないだろう。根拠の持ち方が弱い。
【ジョイ・シャトー事件と麗子は関係があるとにらんだ】
10
松尾が記者クラブにいた。昼飯を食べる。
さっき麗子の部屋を出て鉄の階段を下りたとき、この男によく似た人影が視界の片隅で動いたような気がする。
→「狙われていることに気づく」ことでサスペンスを盛り上げる。
この男は誰なのか。麗子の家で見張っていた(これをハルだと間違えたということか?)
→ハルが動くかもしれないと関係各所を兵隊に見張らせていた。
→モンローならわかるがなぜ麗子の部屋を見張らせるのかわからない
→たくさんの人間を長い時間使うということはお金がかかる。そんなことに麗子はお金を使うような人間なのか?
◎疑惑で盛り上げて結論を知ってがっかり
表現 松尾のファッションを馬鹿にする。ギャグ
ビロードの黒いジャケットシンクのセーター、黒いコールテンのスラックスを身に着けている。セーヌの湖畔でシャンソンを歌うのが夢なのだろうか?
松尾に事件を聞く。
死体が発見されたのは金曜日の午後3時30分頃602号室。被害者は工藤恵吉、28歳。凶器は鋭利な刃物。めった刺しではなく。背骨前の動脈切断。
マジックミラーで客が入ってくる姿をおばさんが見ている。工藤が来たのは2時12分。2時16分に外に電話をしている。2時23分、外線から電話が入る。女は部屋に入る。2時37分。この部屋から再び外に電話。2時56分に再び外に電話。3時7分に男が来た。チンピラタイプ。20代半ば。170cmやせ型だった。602号室のドアが開いたのが3時7分3分後にもう一度ドアが開いた。フロントの前を女が走って出て行った。チンピラ風が急いで出たのが3時18分。それで死体発見。死体発見したのは3時32分。
工藤はピンサロでウェイターをやっていた。
メンバーズカード、フラミンゴDreamsとベイシティブルース。
松尾は結婚して子供もいるが、基本的には同性愛者なのだ。
工藤は良い家のボンボンだった。職場連中とも付き合いがない。
11
表現、札幌の街。
冬の空は冷たく澄み渡っている。
宮の森は円山に連なる高台だ。札幌の市街地と周辺の住宅街。その遠くに広がっている郊外の原野が一望の下に見渡せる。ビルの群れは夕暮れの黄ばんだ光に力なくてらされている。寒かった。
坂道の両側に冬囲いをした庭がならび、建坪50から100余りのしゃれた家がその奥にひっそりとしている人通りはない。
工藤の家を訪れる。
誰も出てこないわよ。女が立っていた。
→いい女だが物語に関わってこない。
表現、女。
女は小豆色の長いコートで、ほっそりとした体を包んでいる。無造作に縛ったベルトのあたりのくびれ方に、俺は思わずうっとりと見入ってしまいそうになった。黒く豊かな髪が柔らかく波打って尖った白い顔を縁取っている。大きな瞳とすんなり伸びた鼻筋。悲しげな頬とが作り出す端正な顔立ちは素晴らしかった。だが、俺が一番気に入ったのは、コートのポケットに突っ込んだ両手の肘が作るきちんとした角度の冷たさだった。年齢は俺と同じぐらいだろう。とてもやつれているように見えるのは痩せているせいばかりではないようだった。
俺はベランダを眺めた。人の気配は全くない。確かに息子を亡くしたばかりの老夫婦の住処だった。
女の後ろ姿はフラミンゴドリームで見たものに似ていた
【協力者佐々木(おやじさん)の登場】
12
表現80。薄汚れた都会。
俺は堤防に立ってすすきのの方を眺めた。暮色が川面まで降りている。その向こうにビルが群れている。景色は薄汚れていた。根雪になるまではどこもかしこもくすんでいる。だが俺まで不景気な気分になる必要はない。夜がくれば汚れは消えるものだ。
佐々木を尋ねる。
いいタチが入ったんで食わしてやる。64歳。十年ほど前に奥さんを亡くした。大手ホテルの総支配人。小さなおでん主体の居酒屋。
ひろというのは、暴走族をしていた子分。
女子大生が帰ってこないと写真を渡す。
表現。人間の心理。84
大手のシティーホテルには多分止まらないでしょう。高い天井におびえると思うんですよ。
冒険譚を勝手に想像する。
13
客引きたちが石油缶で作った焚き火を囲んで何やら話している。俺の性的不能は有名だ。
42歳の課長を呼び出す。クラブのつけ。82万円で非常に困っていると脅す。変な名前の暴力バー。支店長と話をつける。
オヤジさんの店に行く。ぽん引きたちと話をする。
【フラミンゴドリームで美女と接触する】
14
13階建てのビルに。フラミンゴドリーム。
表現ビリヤードをするマスター。93
マスターはこの時間、一通り掃除を終えて店をスタンバイした後、ひとり静かにビリヤードをしている。俺には彼の腕前がどの程度か分からないが、四つの玉がきちんと集まるまでの経緯はいくら見ても飽きない。
表現酒。94
マスターは穏やかに頷き、カウンターで12オンスタンブラーに8分目ほどウイスキーを注ぎ、手渡してくれた。
「ありがとう。」
彼は静かに微笑み、ビリヤード台に歩いてゆく。俺はタンブラーを手に後に続いた。
汗をかいたビアゴブレットから一口ずつゆっくりと飲むマスターは球をつくことを続ける。その後ろ、中二階のバルコニーに上がる階段の手すりに寄りかかり、俺はジャックダニエルズを体に入れた。
工藤はお世話になっている人の息子だと言って連れてきた。親父さんは設計事務所をやっている。静かに飲む人だった。いい女を連れていた。ふらっと入ってきて、このカウンターに座ってホワイトレディを注文した。
今日もきたら電話してくれないからケラーに。
15
工藤はピンサロのウェイターだった。同僚に声をかける。あいつはすごくケチな男だった。
あいつは俺たちと話が合わなかった。大学を出ていたし、英語の本も持っていた。ただのケチじゃなくて何かしたいことがあったんじゃないか?
元手が200万円では、それが何であれ何かができるとは思えなかった。
ケラーは適当にざわめいていた。
表現、音楽。
フォーレのパヴァーヌを、オーボエをメインにしてフュージョン風にアレンジした曲が有線で流れている。
フラミンゴドリームから電話があった。女が来た。
16
表現。バーの雰囲気女がいる。
女は昨夜と同じビリヤード台の脇に座っていたカウンターに肘を乗せ、ホワイトレディのグラスを前にして大きな一枚ガラスの向こうに散らばる明かりを眺めている。アールクルーのアマゾンが流れていた。俺は少し考えたが、とにかく横に並んで座った女は俺の方にさっと顔を向け、軽くしわを寄せた。眉間で俺のことを拒否しようとした。その顔はやはり夕暮れの宮森であった女だった。
窓からネオンも陽気にチラチラしている。工藤が殺されたホテルが見えるのだ。
表現。セリフバーテンとの会話。
「あの人は何か話したいんだと思うよ。別になんということはないけど、思い出を話して、あとは一人で泣きたいんだろうと思う。昨日もそうだった。」
「いいセリフだね。そこまでわかってるんなら話しかけてみれば良かったじゃないか?」
「そういうもんでもないさ。僕が何か言えば迷惑な気分になったと思うよ。だから僕は待っていたのさ。」
「それっぽいセリフを並べるためにわざわざ来たのかい?」
表現酒を飲む。
俺はパッとしない気分でジョイ・シャトーの明かりを眺めながら、ちびちびとテネシーウイスキーを体に入れた。ガラスの向こうには、相変わらず牡丹雪が充満している。よく見ると、それは単なる白い幕ではなかった。自分とガラスとその向こうに散らばる交点との間、さまざまな進路に視点の焦点を合わせることができる。そうやって眺めていると、空間の深さがはっきりと感じられた。
タンブラーが空になったマスターしずしずと下手に登場。何も言わずにウイスキーを注ぎ足す。
あそこで殺されたんだな。
ゲームに行き、ゼビウスに100円玉を入れた。ついこの前まではドンキーコングに夢中だったが、あれはだいたい先が見えるようにまで進歩した。
【PP少年少女団の登場】
髪の毛を散り散りにした女の子がオレに声をかけた。タバコちょうだいおじさんと言われて、下手くそな化粧を落として逆立ちして帰りな。ガキにやるタバコはないと灰皿を投げるとガキにあたった。小娘は俺に掴みかかろうとする。ガキの面を手のひらで張飛ばした。
→タバコをもらおうとしただけなのに、ちょっとこれは大げさ
ガキは子供2人を連れてくる。
男の子に見覚えがあった。麗子の部屋から出て松尾に電話していた時、空を眺めていたやつだ。あきらさんに声をかける。子供達の行った先を聞く。映画の招待券を二枚出した。普通の客引きや鳩は5000円かせいぜい1万円で役に立ってくれる。
ケラー。ハワイアンラインを飲んでいた高田の登場。
北大農学部大学院博士課程の院生だ。
●ここまでは面白い
・女子大生が行方不明になった。デートクラブ経営者が殺された。男が入り、女が入り、男が入り、男と女が慌てて出ていき死体が残った。
→麗子は殺人現場にいながら罪悪感も恐怖も感じない。いくらドライとはいえリアリティがない。若い女の馬鹿さ加減とか女性を人間として描いていないところを多々感じた。女を馬鹿にしているのではないか。
・魅力的なキャラクター 歓楽街で生きる人々、探偵、ホームレス、呼び込み、工藤の美しい彼女、夢を持っているデートクラブ経営者、元大手ホテルの支配人の居酒屋経営者おでんがうまい、
→魅力的だと期待を持たせておきながらほとんどの人が作品の中で機能していない
・探偵、バー、ススキノ、犯罪の組み合わせが絶妙
・見覚えのある男が立っていた。探偵は狙われているがなぜ狙われているのかわからない。
17
表現 二日酔いの朝 自己嫌悪
雑巾を汚れ水に浸す。そのびちゃびちゃになった雑巾をゴミ捨て用のビニール袋に300枚ほど詰め込む。その隙間に生ごみを満たし、それから中身が出てこないように袋の口を固く結ぶ。そのビニール袋が俺だった。
酔っ払って起きて、昨日のことは覚えていない。
高田は柔道の黒帯で生徒たちに教えている。稽古しているのはタクシーの運転手。スナックのマスターやチーフウェイター、画家、限りなく浮浪者に近い連中。女房を持った喫茶店経営者、パチプロなどの人々だ。
昨晩俺は高田相手に何か失敗をしたらしい。でも覚えてない。
Adonisでズボンを脱がした。
高田に車で送ってもらう。
昨日は哲学的な会話をしたらしい。人間はある人の前で誰なのかというのがテーマだった。
「宿酔の翌朝は」朔太郎の歌だ。
警察としては変態の客が女ともめて女を助けにきたチンピラに殺された、ってな感じだと思っているらしい。しかし、変態の客が女を殺すことはあっても、客が殺されることは考えられないわけだ。発作的に殺したんじゃなくて、わざわざ男が来て、それで殺すっていうのはどう考えてもピンとこない。
呼ばれてきた女は誰だったのかな?
工藤ってやつはその現場で誰だったのかなんだったのかが気になってるんだろうな。
→実は経営者だった
18
ウイスキーをダブルで二杯、ホットサンド四きれを体に入れながら北日の朝刊を読んだ。
→朝からウイスキーを飲む
表現 気分を入れ替える
目を覚まし、頭のてっぺんからつま先まで洗い。歯を磨き、ひげを剃るとようやくまともな状態になった。
グレーのスーツを黒いシャツの上に来て、コートのベルトをきちんとしめて部屋から出た。外は薄暗くなりかけている。4時を少し過ぎたようだ。
ゲイボーイたちのジャズダンス。フローラが俺に気がついた。素顔のカレと顔合わせのは、お互いに何か照れくさい。
マネージャーの大野。
用語
ネス・素人の事
こまし・調達屋
19
表現すすきのラブホテル街。
すすきの南の外れにラブホテルと零細アパートが密集している界隈がある。夜は色とりどりのネオンが道のあちこちで鮮やかに現代の愛を歌い上げているのだが、昼間通ると子供たちがそこここで遊び、町の人々が行き交う溢れありふれた町並みだ。
【殺害現場のホテルを調べる。店員にはったりをかまして中に入り込む】
俺はわざと荒々しくドアを引いた。俺だけど早くしねーか。
マジックミラーになっていて、入ってくる客はよく見えるようになっている。
分かってんだろうな親父の耳に入ったらどうなるか?あんなことがあったんだ。あれだけで済むわけないじゃないか。
表現 バレたら大変なことになる嘘をついている ギャグになっている
親父とは誰であれだけとはどれだけなのか、俺は考えないようにした。
その日は男2人が入ってきた。そのどちらが先か本当はわからない。
ルームナンバーを言って娘はすぐ登って行きました。
もうひとりきた。普通の客だろうと思っていた。キーを撮る時のputがしなかったって、沼田さんが言っておかしいなって思ったんです。ランプがついて女がものすごい勢いで出て行った。部屋に行ってみたら男は死んでいて警察を呼んだ。
麗子の写真を見せた
「これ誰の写真なんですか?」
男の顔が急にひきしまったてめぇ、どこのどいつだ? 俺はドアまで走りながら「ごめん」と叫んだ。
→この手口は映画の三作目、高田がリリー・フランキーの店に忍び込むところで使われている
●従業員は麗子の写真を見せると探偵の嘘に気がついた。なぜそこでわかったのだ?
何かを調べている、と感づいたからか?
麗子について知っている、のではなく嘘をついて中に入ってきて高圧的な態度を取ったことに怒っているのか?
20
息が続かない電柱にもたれかかった。「勇」に行った。
親父さんに会いに行く。麗子はススキノにはいなかった。ノースキャピタルにおとといまでいた。その後はわからない。基本的には水準クラスのビジネスホテルとして機能している。
迎えに来た女は可愛らしい女の子。道都交通のタクシーで出て行った。
→モンロー
大根がうまかった
21
・高田の生徒に道都交通の運転手がいるので聞いてもらうことにした。
・フラミンゴ・ドリームスからケラーに電話。女が来たという。
表現酒。
女はホワイトレディを前にガラスの向こうをじっとみている。グラスは泣いている。俺もとりあえずタンブラーを前に置いたままジョイシャトーの陽気なネオンを眺めた。よく見るとガラスに俺と女の姿がぼんやりと浮かび上がっている。表情や姿形はわからないが、散乱とした光のつぶつぶにあやふやな姿を現した。2柱の神々といったところだ。それとも二体の地縛霊。ジャックダニエルズを二口飲んで俺はいった。
工藤は素敵な人だった。絵本のようなものを出版したかった。出版社のようなものを作りたかった。
→なんとも嘘っぽい。リアリティがないのではなく、そんな人間が作った絵本なんて信用できない。
→それは私の意識の中に差別意識があるというものか
→小学生の親や教師は性に神経質である。子どもと性は同居できない。
表現
その可能性もないわけじゃない。もしかしたら薬師丸ひろ子が優秀なメーキャップスタッフにサポートされた、天才的に芸のうまいチンパンジーだったという可能性もないわけじゃない。
表現。探偵と彼女の悲しみ。
「今までとても悲しかったことってある?」
あると俺は答えた。昔、女一人死んでしまった。俺は彼女を救うことができなかった。だから俺は強くなりたい。
女は俺の人生に関しては特に論評を加えずにぼんやりと自分に向いてつぶやく。
「例えば、子どもを死なせたとか、取り返しのつかない辛い思いした人がいるでしょう。どうしてその人たちは今笑っていられるのかしら?」
「あと20年もすれば、あなたも笑えるようになりますよ。40年もすれば入れ歯を飛ばして笑ってますよ。」
俺がそうだった女が死んだとき、俺は二度と笑えないと思ったのだ。
女は再び自分を抱きしめていた。
彼女は工藤から聞いた電話番号を探偵に教えた。
何かあったらここに電話するようにいわれていた。
→探偵はこの番号を頼りにデートクラブの事務所を突き止める
→工藤が客ではなく経営者だったことがわかる
22
彼女から聞いた電話番号を調べると、デートクラブだった。
そこに電話するが、30回以上出なかった。俺は工藤が経営者だと確信した。
美恵子に電話をした。5分後に電話をしてもらうように頼む。
表現。工藤の経営するデートクラブはどうしてそのマンションだとわかったのか?
南6西3。すすきのの左肩とでもいうべきあたりだ。飲食ビル、雑居ビル、トルコビルなどが密集している裏小路中小路。何百の店があるかわからない。だがデートクラブの事務所を置ける場所となると、ビルの隙間や木造会館の片隅に六畳程の広さの部屋ならいくつもあるだろう。しかし大野も言っていたように、デートクラブの事務所とはアルバイト売春婦たちをある程度快適に待機させておく場所であるらしい。それなりのところでなくては、娘たちはすぐどこかへ移ってしまうだろう。現にそうやって人気のある売春婦はいくつかのクラブを転々と流れている。
とすると、ある程度の事務所用のビル、あるいはマンションということになる。南6西3にはそういうビルは三つしかない。そのうちススキノ〇〇にはヤクザの事務所が六つも入っている。素人がクラブを開くのは非常に危険だとすると、残る二つシティパレスべル。そしてプラザの5階から上だ。他にも事務所を入れているビルがないわけではないが、それらはだいたいそのビルの管理会社とか、関連会社の事務所、従業員の寮にしてある場合が多い。
表現、雪。
雪が降っているほんの少しの間、様子をうかがうように自信なげにちらついていたが、突然態度がでかくなった。文句ねぇだろうな。もう冬なんだからな。そんな調子で降り詰める
表現、雪。
細かな雪が目の中にチクチクと入る気温が低くなってきたようだ。道路脇の泥とゆきの混じりあったコロイド状の水たまりが少しずつ固まり始めている。
部屋に忍び込む。大学ノート工藤のものなんだろう。日付のところにSとかKとかMとか。頭文字であろうアルファベットが書き込んである。
大学ノートはメモ帳らしい走り書きの大きな字が踊っている。ジェーシー602に岡田学14:21聖子OK 14:37。これが最後の記述だ。
→岡田はハルの子分で殺された
人の気配がした。
俺はげらげら笑った。神経の意外な脆さに言われながら。呆れた。
恐怖のあまり笑い出した。
→極限状態の人間の真実なのか?
俺はつぶやいた間違いないモンローだ。
→私はココでつまづいた。モンローって誰なんだ?これ以前どこででてきたのか記憶にない。読み落としかもしれないが、印象強く書いていない作者にも問題があると思う。
→探偵とモンローは以前からの知り合いだつた。だったら知っている女という描写は必要だった。「誰なんだモンローって」となった。
23
後の事はよくわからない。715室に戻った。人の声が行き交っている。通帳書類をまとめてコートのポケットにねじ込んだ。
諏訪麗子の名前は聖子になっていた。さっきの女は確かにモンローだった。
5人の少年少女団が立っている。
もしモンローがこの件に何かかかわりがあるのだとすれば、すぐ居酒屋ちいちゃんに行きたかった。
→「ケラー」「フラミンゴ」「ちいちゃん」と酒場がやたら出てきて混乱する。
→「ちいちゃん」はモンローの行きつけの場所でそこにいけば彼女の情報がなにか手に入るかと思った……という描写が必要だった。
表現、アクション。
振り向きざまに裏拳で一人のこめかみを打った。子供は横向きによろめいてからねじれるように肘をつき、四つん這いになった。もう一人の子供が飛びかかってくる。瞬間、エレベーターの方を見た娘2人。とりあえず格闘に参加する様子はない。それを見定めて飛びかかってくる子供の海にななめ前に一歩踏み込み、左手で子供の頭を押さえ、左足で両足を払った。子供は両手で顔を庇いながら白い床に倒れた。顔を軽くけったらすみませんと言った。
→なぜこんなところで少年少女合唱団と会うのか
→ここで彼らと会うことは何か理由がある、と読者に思わせる必要があった。
→麗子がハルを襲うつもり仕組んだが探偵をハルと勘違いした。
表現、アクション。197
左足の裏で壁を蹴り、飛び出した。
さっきのガキに左肩からぶち当たる。うめき声を出したのは俺のほうだ。肋骨が痛む。
「うるせえ」
ガキは後ろによろけ手刀を持ち込もうとしたが、間合いが近すぎる。肘で鼻を潰してやった。蹲る。またぎ超えようとした右側から腰に抱きつくやつがいる。ヒジは届かない正拳を垂直に打ち下ろした。地面に沈んでゆく。手を振りほどき前に踏み出した。ストーンウォッシュの大柄なやつが立ちふさがる。前に出るしかない光ったものが宙を走ってくる。
「馬鹿野郎」
下段に払ってすかさず金的を思いきりけった。蹲る。当たり前だ。馬鹿が鎖骨を折ってやろうとした時、後ろから抱きついてくるやつ。急に頭がぶれる左顎を殴られたらしい。さほど聞いてはいない。腹のところで握りあわされている指に左手を拗れ、小指をねじあげる。頭が触れる思い切り自分の頭を後ろに叩きつけた。手応えあり。腹の手が緩む。後ろにえんぴをぶち込んだ。手が外れる。
走った。走ろうとした。地面に転がった。くそ。俺はそろそろ戦意を失いつつある。もうこんな喧嘩は嫌だ。俺は最初の一発で相手を撃破できなきゃ、それでもうどうでもよくなる。一番殴り合いなんか嫌いなのに立ち上がろうとする。バカが棒切れか何かで背中を叩いている手足にいろんな馬鹿どもがまとわりついている。おまわりは何をやってるんだ?リリパッドのガリバーはどれほど無念だっただろう、こんな最中にこんなことを考えるなんて、やっぱり俺って教養があるな。どうでもいいじゃないか。そんな事見ていて、これだけ抑え込まれた。もう抑え込まれたもういいや、どうにでもしろ。
「違う違う、やめろやめろ」と誰かが言った。
→探偵をハルと間違えた。
24
やられたことが悔しくて、独り言を言いながら。デートクラブのデータを眺めるクソ多勢に無勢だ仕方ない。
→やらせて悔しがっているところが人間的
いかにもモンローらしい
すすき野の一部で知られた顔だ。生まれつきのデートクラブ娘がいるとすれば、それはモンローだ。心の構造が全く重くなくできている。落書き帳を丹念に調べると、たいていの部屋で彼女の字を見つけることができる。
ノースキャピタルに諏訪麗子を迎えに行ったのはモンローなんだろうか?フロントが言ったという女の特徴は、彼女の容姿と一致している。
専門用語、レコ 男。
モンローの男はハルと言う名前だった。ひどい男だ。やわなチンピラ。暴走族。相手にされなかった。覚せい剤、裏ビデオ
俺はモンローと寿司を食べに行ったことがある。フラミンゴドリームにも連れて行った。ハルというヒモのことも話さなかった。話し相手に飢えていたと何度も言った。
→探偵とモンローは知り合いだった。もやもやが解決したが、そもそも読者にもやもやさせる必要があるのか?
表現 女の真実
大事なことは何も話さなかったのか、それとも本当に大切なことしか話さなかったのか?
「居酒屋ちいちゃん」に行きモンローの事を聞くが、店を変えたぐらいしかわからない。
25
ゆきのまち表現。211
降り積もった雪が一度緩み、それが厳しくなった。冷え込みのせいで凍っている。雪の下でバリバリと砕ける。その感触を面白いものに思いながら、すすきの中心へ向かってなんとなく歩いていた。
ちいちゃんに顔を出していないということは、ジョイ・シャトーの事件と何か関係があるということか?
後ろの足音に気がついた。
ナイフを突きつけられた。
表現 裏社会を知っている人のセリフ
落ち着けよ。お前、ナイフの持ち方間違ってるぞ。
尾行の子どもに襲われそうになって倒す。
悪かったな、俺、学歴に偏見なんか持ってない。人間の価値は学歴じゃ決まらないよ。
岡田はモンローを連れてくるように兄貴のハルから命じられた。
麗子の家と「居酒屋ちいちゃん」で探偵を見た。
探偵が何かを知っていると思って揺さぶろうとした。
はい。兄貴がモンローを探している。兄貴はハル 庄司政治。ついでに子供の名前は岡田。ジョイしゃとーからラブラブに電話したのが岡田だった。
プラザの前であんたを見た。なんでそんなところにいた兄貴に言われたからだよ?なんか?
兄貴の達のスナックに連れて来い、夜の蝶。パールビルにそんな店はない。
第三、渡辺ビルのパピヨンだよ。それなら納得できる。花岡組の幹部が持っている
午前一時ごろ開店する。本当にモンローが来てよびっくりした。ビルの中で捕まえてもやばい。
タクシーに乗ってどうするって喋ってたらあんたが出てきた。
ちいちゃん行ってみるべってよ。あんたがそこから出てきた。兄貴シーチャンに放り込んでつけてきた。お前使えない方がいい?ちいちゃんに戻った。
●なぜハルは岡田に探偵を襲わせたのか?
→ハルは岡田にモンローを探すように命じた。行く先々で探偵を見た。何か知っていると思った。
岡田というあの子供の兄貴に対する忠義心、あるいは俺に対する恨みの深さを見くびっていた。
26
午前4時を回った。ホテルの谷間はひっそりとしている。
戸をあけて中に飛び込めばよかったがそうしなかった。左のほうを何かが霞める。岡田がいる。
表現。殴られた人間を医者が見る。
殴られた俺のところに哲先生が呼ばれた。
哲先生は俺の頭をポンポン叩いて目玉の前で指を動かしたり、俺のストーリーにしろと言って自分の鼻や口を指差せ。
「まあ、これから眠ってさ、死んでるってことはないだろうな。」
27
表現。喧嘩した後。
緊張が解けたせいか、体がガタガタ震え出した。確かに寒いが、そのせいじゃない。アドレナリンのせいだろう。格闘のあとはいつもこうだ。困ったもんだ。年甲斐もない。
→28歳なのに年寄りぶるところが鼻につく。設定がもう少し上の方がよかった。
自分の部屋でカルテを見る。女性たちのデータを調べる。
【大学時代の先生がモンローに手を出して脅される】
28
電話があった大学の先生だった。脅迫されているというモンローというものだった。
ウイスキーをダブルで二杯、ホットサンドコーヒーを体に入れながら、9日の朝刊に目を通した。
表現、すすきのの街。250
土曜の昼下がり、すすきのを通る人々も、冬の厚い雲を通過してさす日陰も、車の行き来も何か中途半端だ。宙ぶらりんだ。アルトもポカンと口を開けている感じだ。そのたるんだ口元に頭から潜り込み、体を収めた。シートを後ろにずらすと肋骨が痛んだ。
(アルトという車に乗った)
29
女性たちの住所を尋ねる。
ハルの家も訪ねるいなかった。
ショウコの車で。
ここまでで私が理解したこと
●ハルはモンローを探していた。行く先々で探偵を見て何かを知っていると思い近づいてきた。
ハルは工藤を殺した。殺すつもりはなかった。→この時点では読者は彼の犯行だとは知らない。
しっくりこなかった。なぜなのか。
→人を殺した人間が隠れずに目立つような行動をとったところに違和感を感じた。それほどキレた奴だったのかというとそこまでの印象はない。
探している女のことを何か知っているというだけで襲い掛かるだろうか。まずは近づいて言葉でどこまで知っているか確かめるだろう。
麗子はモンローとハルを別れさせたくてノートを渡した。麗子が糸を引いていた。
→ノートを渡されたからと言ってハルは何を感じるのか? モンローの仕事を知っていたのだろうから嫉妬することはないだろう。
→やくざからシャブを盗んだことがばれてヤバいことになった。ハルがやけになって客を脅すようなことをするだろう、そうすればモンローがハルと別れやすくなるだろうと麗子は思った。
→まずノートを盗んでハルに渡したことがばれたらモンローと麗子の友情にひびが入る。
もう一度読み直す
モンローは可哀想だった。ハルに愛想がつきたら、あの人はそれで終わりなのよ。
モンローは酔うとハルの話をする。どうしようもない奴だ。愛想尽きたって。よっぽどモンローはハルさんのことが好きなんだなって思っていたの?モンローとハルを別れさせたかった。
ハルが覚醒剤をどっさり持ってきた。どうやって手に入れたのかわからない。
モンローは持ち主に電話をした。
やくざの桐原は怒った。ハルに脅しをかけた。
ハルは切羽詰っためちゃくちゃなことをやり出した。
愛想尽かしを徹底させるために、ハルにモンローのお客さんの手帳を送ってやった。お客さんを脅すと思ったのだ。
ラブラブの社長を脅そうとして、モンローは完全に愛想をつかせた。
ジョイシャトーで私は初めてハルさんに会った。どうしようもなく嫌なやつだった。
なぜモンローに子供たちを紹介したのか?
モンローは事務所の後始末のことを心配していた。みんなのファイルがあるし、春はラブラブの存在を知っている。
麗子は兵隊を使えばいいと言った。事務所と菊水の私の部屋を見張らせることにした。何か動きがあったら誰かが何かを感づいたってことがわかるから。
事務所に誰かが入ったっていう知らせが来て、そうしたらモンローは自分が行くって言うんだもの。責任感のある子だった。
30
デートクラブの遠藤さんから退職金を預かっていると言って娘の家に上がり込む。
喫茶店で彼女の話を聞く。モンローと仲が良くなかった。
ハルの家も訪れるが留守だった。
→その時の様子を桐原の子分に見られた
31
西田との約束までまだ2時間ほどあった。
ミルクと砂糖を入れなくても飲めるコーヒー。夕暮れまでサマンを読む。れいこを探し出したかった。
松尾に電話をした。
32
きゃら亭。
キャッシャーが胡散臭そうに見るので
「あなたは神様を信じますか」彼は頷いた。
僕も確信はないんだ。テーブルに向かった。
西田と話した。関係をばらすぞとモンローに押されている西田、どっちをどうでもいいと思っている。本当にどうでもいいと思っている。
まあくだらない話だが、人間ってのはとてもこうわびしいもんだなとね。
表現、何かしらの真実。279
「あの子はパリに憧れていた僕がフランス語を教えていると知ると、とても喜んでね。何か詩を暗唱してくれとせがまれた。で僕は何を考えたのかね?やったんだよ。朗々とね。あほうどりをね。原語で聞かせてやった。すると本当に嬉しそうに両手を叩いて喜んで。」
「本当に嬉しかったんだと思いますよ」
「うん。僕もそう思う。そしてね、まあくだらない話だが、人間ってのは、とてもこう、わびしいもんだなとね。」
【やくざからハルがシャブを盗んだことを知らされる】
33
オヤジさんの店で酒を飲んでいたら、ヤクザの相田がサラリーマンの格好をして現れた。
実は桐原がご足労願い無いかと。桐原はただいまちょっと事務所を開けられない事情がございまして。
34
桐原組組長。38歳。マネーショップハッピークレジット。
お前は止めたんだってな。
何の用で北斗に行ったんだ。あのほら、ハルのところに。ハルはあんたと揉めてからどこに居るか分からないんだ。あのガキと北斗に戻ったのは確かだ。あいつマスタングがあったことを確認している。足取りが全然つかめない。であんたに事情を聞いてみたくなった。
何の用で北斗(ハルの家)に行ったんだ。
桐原組の組長と会う。組長は俳句を読む。
「わざわざのこのこ来てくれてありがとう。」
「ノコノコは余計だよ。」
俺はここまでわざわざのこのこ歩いてきたのだった。
→「わざわざ」「のこのこ」の語感の面白さ
マナーにおいて挨拶呼びかけ認めというのが大切だ。
あんたとはずっとフェアに付き合ってきたつもりだ。
フェアっていうのは英語だ。イギリス人にとっては基本的な単語らしい知ってるか?
俺は英語はAだった。
でもな近代史、現代史をちらっとでも勉強するとなこの単語は偽善という意味だとすぐにわかる。
ハルっていうゴミにうちは金を貸している。率のいい貯金みたいなもんさ。あいつは根本的に低脳だ。ちょっと貯金をおろそうと思ったんだ。潮時ってやつだ。するとちょっとじたばたしやがった。どっかにふけようとしてるんじゃないかと思うんだ。小金をかき集め始めた。胡散臭いんで居所はいつもわかるように見ていたんだよ。するとちいちゃんのところであんたがビール瓶割るんだもんな頭でさ。
誰が見ていたんだ?
あんたの知らん奴だ。第三渡辺ビルからハルをつけていた。
その時はどうとも思わなかったが、すると今日あんたがハルの部屋にやってきた。北斗の向いに鉄筋3階建てのマンションがあっただろう。あそこに充のスケが住んでいたな。窓から充が見張っていたんだ。
あんたと揉めてから、あとハルはどこに居るのかわからない。それまではどこに居るのか苦労しないですぐに見つかったし、人手もかからなかった。あのあとがきと北斗に戻ったのは確かだ。駐車場にあいつのMustangがあったのは確認している。12時過ぎに充が行ってみると、車が消えていて、それっきり行方不明さ。すすきの人間ばら撒いてみたんだが、足取りが全然つかめない。あんたに事情を聞こうと思ったが、探してみたらどこにもいない。ちょっと焦ったよおでん屋に入るのを見たって客引きが電話してきたんでな、迎えに来たってわけだ。
今日10時にヤツは人に会うことになっている。学校の先生が女のことで春から揺られているんだ。
すると春は10時にパピヨンに来るんだな
→西田先生を脅迫
【PP シャブを食らったハルがオヤジさんの店を襲う】
オヤジさんの店に戻ると。おじさんが壁にへたり込んで。
てめぇのせいだ。ヒロが俺の目の前で横切ったそれっきりだ。
殴られて気を失う。
35
俺は立ち上がろうとしているらしい。
あの後、男が飛び込んできた。シャブをカメている。
専門用語カメる シャブを売っている。シャブを決めている。
庄司田って言っていた自分で名乗っている感じだった。
36
この子です。間違いないです。
ノースキャピタルのフロントは叫んだ。
ビニール袋に入れたメリケン粉を遠くから眺めるシャブ中のような目付きで写真に。
やはり麗子を迎えに来たのはモンローだった
その写真。頂けないでしょうか?
ハサミで俺のところだけを切り抜いて彼にやった。
37
パラッツォ北斗の前でタクシーを降りた。
俺はワンルームに上がり込んで。昼間俺を見たんだってな。
北斗見てなきゃなんねんスよとミツル
俺もちょっとハルに用があるんだよ。もし邪魔じゃなかったらここにいていいか?もしあれだったら桐原に電話してみろよ。ミツルは楽しそうに喋るようになっていた。酔っぱらって喋らせる。
ミツルを寝かせた。
ハルの部屋の前に立ちミツルが眠っている部屋の窓を見上げる。じいちゃんの前でいいようにやってくれた時、特に異常な様子はなかったし、体もで元気だった。その後、やつはここに戻り、以後足取りがわからなくなったわけだ。そして勇に姿を現した時には、被害妄想に取り憑かれた感じで体も痛んでいた。ここで何があったのか?
まず目に入ったのはめちゃくちゃに荒れた室内の様子だった。ゆっくりとドアを開け、中に入った。
岡田という楽器がびっくりしたような顔をして倒れていた。死んでいることに間違いはない。おびただしい血がにじんでいる。
●ハルがオカダを殺したがなぜ殺したのだろう。
→ハルの住所を探偵にしゃべったから
それだったら殺しても仕方ないよね、という納得できる理由がないと「面白かった」とは感じられない。
38
近い距離を頼んだら運転手はガタガタ抜かした。
10時前にはパピヨンに到着しなくてはならない。
ワタナベビルに行く。
表現。夜のビルを登る。アクション。
パピヨンは4階にある。身を乗り出して4階の非常口にすがりついたが動かない。
考えておくべきだった。
俺はがっかりして、なんとなく足元を見てしまった。
袋の付け根がざわざわとした。蟻の戸渡りから後頭部までチリチリとさざ波が走る。俺は二度うなずきはしごを握りしめている。右手をしっかりと見つめた。それからおもむろに強張った手足をなんとか操って。梯子にしがみついた。
チンピラを通してハルと電話をし。西田の名前は名乗った。
表現 仕事を終えた人。一般の人々。
巨大な群れが動いている。自分の時間を月いくらかのお金で売った連中が仕事を終え、それでも仕事を引きずって群れの中に混じって、月の明るい広い通りを行進している。
表現落ちこぼれ。
俺の経験からすると、子供が最初にぶつかる関門は約分、通分だ。もちろんそれ以前の生まれてから八年あまりの人生が大きな原因であるにせよ、今の日本ではこの時期にすべての人間が3種類に選別される。テスト通過する人間となんとなくクリアする人間と落ちこぼれだ。ここでつまずいた人間は、多くの場合、救援の手を差し伸べられずに残りの数十年の人生を落ちこぼれとして生きて行くことになる。理不尽な話だが、そうだ。
39
何かが脇腹にのめり込んだ。ハルだった。
ジョイシャドウの殺しはお前だな。お前が金をかき集めようと、ちょこまかやってたのを知っている。そこのオーナーのことをモンローから聞いて揺すってみることにしたんだろう。でも、なぜ殺したんだ?
話し合いで済ますつもりだったが、襲いかかってきた。女は知らねーよ。モンローはそれに気づいて逃げたんだ。
岡田は、ハルの住所を探偵に教えたから殺した。
→そんなんで殺さないだろう
●疑問
探偵はなぜ
工藤が客ではなくオーナーだったと知ったのか?
→恋人から電話番号を渡された。ビルに目星を当て美恵子にかけさせる。 近くまで行き音がなり続けていたので確信した。建物の中に侵入して受話器を取った。
工藤殺しがハルだとわかったのか?
40
ジョイシャトウの犯人はわかったが、麗子の居所はわからない。工藤が殺された時、居合わせたのは麗子だということを彼女は怯え。メゾンドシバタへ逃げ帰ったのだろう。翌朝、朝刊で工藤が殺されたことを確認してノースキャピタルへ逃げ込み、モンローに電話をしてモンローとどこかに消えた。
松尾に電話をする。パラッツォ北斗というアパートがある。死体が一つ転がっている。
モンローと電話をする。
れいこは今、私の隣にいる。
41
俺が車止めてと言っても止めるなよ。麗子を放り出してぶん殴るから。
42
モンローはハルを立ち直らせることができると思っていた。
俺はなんとなくモンローの横顔を眺めていた。ただぼんやり見ているんだ。だいぶ疲れた。工藤ってどういう男だった?商品だから大事な使われるんだけど、まあ人間と思われていないわけ。
43
工藤の彼女に。金を渡す。
素人の工藤がデートクラブを経営した。それを嗅ぎつけた春が脅した。
女性がなければ、あるいは工藤が腰抜けだったんじゃなかったら、工藤は殺されなかった。
工藤を殺したハルはヤクザに渡した。木更津で殺されるかもしれないダムで働かされるかもしれない。私は興味がない。
44
今日は一日だらだら過ごすことに決め、枕元に数作のほんとスーパーニッカを持ってきてベッドに潜り込んだ。
ハルがなんでお金を下ろしたのかよくわからない。
45
西田の研究室に電話をした。娼婦に気質的な動機を考えるのは古臭い学説ですよ。
ノースキャピタルから。乗った女の2人連れは琴似で降りたそうだ。
確かに1件落着したのだが、少年少女団のことがわからない。あのうちの一人は菊水でメゾンドシバタから出てきた俺をつけていた。意図的に仕掛けてきた襲撃。春を襲ったのはあの連中だろうか?桐原に小遣いをもらっているのだろう。絶対あいつらは何者なのだろう?
46
ハルを襲った連中は自首した。
年金一人暮らしの廊下を罵り嫌がらせをした。
息子のAとBがハルを襲った。しかし、殺人は関係ない。と言っている。
高田と会う。左側に5人固まっているあいつらだ。一人がトイレに行った。俺は第二頸椎のツボを抑えている。騒ぐと全身を動かなくしてやるぞ。
少林寺 イーリャントンプーツーソー
なんで菊水にいた?こんなに頼まれた。火曜か水曜だ。紺野が頼まれた。後ろで高田が笑う。第三、渡辺ビルの前にいた。モンローの写真を見たらこいつだという。
47
工藤が客じゃなくてデートクラブ側の人間だったんじゃないかな?と思ったのが、そもそもの始まりだ。
俺をいいようにやってくれたとすすきのから撤退した。
俺はハルから小遣いをもらってやっているのだと思っていた。
ヤクザの手先になっているのかと思ったが、ヤクザは相手にしない。
あれだけの人数がいたんだ。ハルを襲った時に逃げられるはずはない。
あのがきどもは何のためにハルを襲ったのか?
ハルを痛めつけるのが目的で、襲ったとしか思えない。
モンローとしては。原田を守らなくてはならないと考えたのだろう。でお前がハルと間違えられた。
・モンローと春は付き合っていたが、モンローは愛想がつきた。
・春がシャブをたくさん抱えてきたヤクザから盗んできたものだ。それをモンローはヤクザに密告した。愛する男女の事はよくわからないものだ。
・麗子は春がもっと愛奏をつかせるためにモンローから手帳を盗んでハルに与えた。そうすればハルがおかしなことをすると思ったからだ。モンローがもっと愛想を尽かすと思ったのだ。
・ハルは単に脅すつもりで工藤と接触したが、向こうが。反撃してきたために殺してしまった。
・少年少女団を使ったのは麗子だった。少年たちはハルを襲うつもりだったが。俺のことをハルだと勘違いしていた。
・少年団に嘆願書が出された
→そんなもの出されるか?
終