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角田光代 著「坂の途中の家」~社会的に意義のあるテーマだけれど、これだったら短編でいいかな

詳細に研究していきます。

ネタバレ全開で行きます。

結末を知りたくない方はここで左様なら。

また会う日までお元気で。


評価 2.5点★★☆

5★人生が変わった / 4★とてもよかった / 3★よかった / 2★つっこみどころ満載  / 1★怒りを覚える


虐待をする側の視点というのは必要だと思っていた。ものすごく期待したが正直期待はずれだった。

作者というフィルター、語り手である里沙子というフィルター。この二つのフィルターが厚かった。

虐待をした水穂を探る物語はずなのに、

「私の子どもが言うことを聞かない」「私の夫が全然理解してくれない」「私の義父母が口出しして鬱陶しい」と語り手である「私」のことが延々と描かれるばかりで、

どうして水穂が娘を殺したのかというところにたどり着かない。

知りたいことが全然描かれていなかった。ある一人物の推測で終わっていた。



『坂の途中の家』書評レポート

角田光代 著


1. はじめに

角田光代の『坂の途中の家』は、乳児虐待死事件の裁判を通じて、母親としての葛藤や家庭の問題を描いた作品である。本作は、裁判員裁判に参加する主婦の視点を通じて、虐待を行った母親と自分を重ねながら、子育ての困難さや社会の圧力を浮かび上がらせる。しかし、虐待を行った被告の心理に迫ることができたかという点については疑問を感じた。本作に対する期待と実際の読後感を整理しながら、作品の構成やテーマについて考察する。


2. 虐待をする側の視点の重要性

本作に対して特に期待されていたのは、虐待をする側の心理や状況をリアルに描くことである。社会的にタブー視される「加害者の視点」を丁寧に描くことで、虐待がなぜ起こるのかを理解し、再発防止の手がかりを探ることができる。しかし、本作では被告の心理が明確に描かれているわけではなく、主人公である裁判員・里沙子のフィルターを通して語られるため、読者は直接その内面に迫ることができない。これに対してフラストレーションを感じた。


3. 主人公と被告の境遇の類似性

主人公の里沙子は、被告の女性と似た境遇にあり、子育ての困難さや夫・義父母との関係に悩んでいる。自分も一歩間違えれば被告と同じ道を歩んでいたかもしれないという恐怖が、物語の核となっている。この点は、虐待が決して特別な状況でのみ発生するものではなく、どの家庭にも潜む危険性があることを示唆しており、社会的に意義のあるテーマであると言える。


4. フィルターが厚く、核心に迫れないもどかしさ

本作には「作者のフィルター」と「主人公のフィルター」という二重の視点があり、読者は直接、被告の心理に触れることができない。このため、最も知りたい「なぜ彼女は子どもを死なせたのか?」という問いにたどり着けないもどかしさがある。フィクションである以上、作者の解釈が入るのは避けられないが、読者としては被告自身の言葉や心理描写をもっと知りたかったと感じる部分もある。


5. 冗長な描写と物語の冗長さ

本作では、子どもが思い通りにならないことへの苛立ち、夫や義父母への不満などが延々と描かれる。しかし、それらは似たような内容が繰り返されることが多く、途中で読むのが苦痛になった。この物語は長編として書かれているが、短編や中編にまとめた方が、より緊張感を保ちながら読ませることができたのではないか。


6. 別のアプローチの可能性

例えば、映画『12人の優しい日本人』のように、裁判員同士が意見をぶつけ合いながら議論を深めていくスタイルを取ることも可能だった。この方法を用いれば、さまざまな視点から事件を掘り下げることができ、より多面的な考察ができたかもしれない。もちろん、作者もこの手法を考えたのだろうが、最終的には主人公の内面に焦点を当てることを選んだのだろう。


7. 結論

『坂の途中の家』は、育児の現実や家庭内の問題を鋭く描き出し、一歩間違えれば誰もが加害者になり得るという社会的に意義のあるテーマを持つ作品である。しかし、被告の心理に直接迫ることができず、主人公の視点に限定されたため、私はフラストレーションを感じた。また、冗長な描写が続くことで、物語の緊張感が薄れるという欠点も指摘される。それでも、虐待が特別な家庭だけで起こるものではないことを示唆し、読者に深く考えさせる点では評価できる作品である。


●女性だから描ける表現

つわりの時。酸っぱいものといわれるが、理沙子は甘いものが食べたくて仕方がなかった。浮気をしているのではないかという思いに取りつかれた。取りつかれたと言っていい状態だった。短いやり取りの中で恋愛が発生していないようだった。見つけられなかった。あの時は本当におかしかった。


◎箱書き

【子育てて忙しい里沙子が裁判員に選ばれる】

●三才になる文香難しい年頃に。でも。靴下を履こうと言えば嫌だと泣くし、ご飯を食べようと言えば食べたくないと叫ぶ。母親の名前は里沙子。里沙子が主人公。

児童館。境に別れを告げるあーちゃん、また遊んでね。

天気予報を気にしない人なんだろうなと酒井さんについて思う。

帰るの嫌もっと遊ぶと文香がいい。スーパーに寄って行こうプリンを買おうかアイスを買おうか?

誰かの家に集まったり、どこかに行くようなことはない関係は希薄だ。

結婚したのは四年前29歳の時。

仕事を辞めるつもりはなかった。新潟の両親とは折り合い悪い。

何を言っても嫌だ嫌だと言い出した。

誰にも言っていないが、叩いてしまったこともある。

あんな風に途中に仕事を辞めてしまったことを後悔したこともある。けれどそばにいて良かったと眠る文香を見て思うのである。多分良い判断を下して実行することもできた。

8時前に鍵を開ける音。夫が帰ってきた。私明日幼稚園に行くから。なんだそれ。言ったよ昨日。幼稚園の抽選は厳しいらしい。


●翌日、自分宛の手紙を見つけた。裁判所からの郵便物だった。刑事裁判の裁判員候補者に選ばれた。缶ビールを片手に洋一郎が何かしていた。9時39分。義母に娘を。預かってもらうように頼んだ。

書店に立ち寄った裁判員関係の本を探した。公園で遊ばせながら本を読む。あーちゃんじゃない?声をかけられたお友達来たよ。


●公判、一日目。

乳幼児の虐待死事件だった。

30代の女性が水の溜まった浴槽に八ヶ月になる長女を落とした。帰宅した夫がそれを見つけて。救急車で搬送したが、既に長女は死亡していた。泣き止まなかったので、どうしていいかわからなくなり落してしまったと言っている。殺人罪の疑いで逮捕された。

→四国の女性と立場が似ている。

会社員らしいスーツの男性。40代化粧の濃い50代の女性。ポロシャツの男性は30代学生に見える男の子。補充、裁判員。初老の女性。白髪の男性。向かいの女性は30代後半。名前は名乗らない。

 →「12人の~」のような裁判員の間での濃密なやりとりはなく、どんな人間なのかということは作品の中で機能していない。

法廷に入った。


●断る理由を探していた。断るつもりだった。

しかし次のシーンではもう裁判員になっている。自己紹介をする。

そして法廷。

事件の女。犯人は被告人は安藤水穂。1974年生まれ、無職。あんな優しい人だとみんな言う。化粧をすれば映えると思う。同世代だし綺麗な人だから。

検察官の女性は水穂には殺意があったと繰り返し云っている。生まれた時、子供の誕生を喜んだが、数日後に赤ん坊が寝ないと水穂が言い出した。子供を産むつもりなどなかったと言うようになった。父親である夫は帰りが遅い。資格試験に向けての研修残業。人生がめちゃくちゃにされたと詰め寄ることも多くなった。夫はベビーシッター等支援グループの利用を提案したが、水穂はことごとく拒絶した。つねったり、叩いたりした後を見つけた。

今までなかった生き物がいたのは不思議だった。怖い逃げ出したい。鳴き声を聞きながら思った。赤ん坊がここに居るという喜び。慌ただしい日々が始まった。

安藤水穂を見て思うあなたもきっと大変だったのね里沙子は思う。でもそんなの少しまで待てばすぐ終わったのに。


●弁護人の冒頭陳述。

結婚してギクシャクし出す夫が趣味を優先する人だったから。結婚して二年目。子供ができないのはおかしいと産婦人科で検査を受けた。夫が変わってくれるかと思ったが、夫は変わらなかった。家を空けがちになる。赤ん坊の夜泣きのせいで眠れず、仕事に支障が出るからというものだった。夫は怒鳴ったり喧嘩腰になったりする。


●何も泣いていても気力は自信がない。心療内科メンタルクリニック。受付の段になって夫にばれたら怒鳴らればされるのではないかと恐怖を感じる。結婚前に交際していた女性とまだ付き合いがあることを知ってしまう。事件当日のことを憶えていない。入浴させなくてはいけないと風呂場に行ったことは覚えている。気がついたら?可愛いよ。おやしながら風呂の掃除に行った記憶がない。あんまりね。明確な意思はない取り調べては?何をどういったところで自分が殺したのは事実なのだ。


●裁判所からの会議。母親教室。母乳を推奨。発達を促進しやすい。精神論めいたもの。結びつきが強くなる。山中で。ハーブティーを気持が悪くなるまでの。

母乳は脳の発達を促進させる恐怖に陥れた。私のせいで勉強についていけない子になったらどうしよう。ヒステリックに泣き出した若い母親泣く。

この表情がないわね。ビデオばっかり見せて。


●それは見知らぬ母親だった。それとも私の言葉?

母乳のことでどうにかなるのではないかというくらい悩んでいた。

下痢と嘔吐が止まらないと言っては騒ぎ熱が下がらない。と言っては。深夜受付に駆け込んだ。あなたの赤ん坊はおかしいと言っているのではないかと里沙子は思った。


●家に帰って食事をする夫と一緒に会話をする。自分の考えを述べることは禁止されている。どんな事件なのか、お話することを禁止されて。家族に言いたくない気持ちがある。夫はどの事件かわからないな。虐待って毎日のように新聞に出ているし。検察官と弁護人ってあんなに言うことが違うものだった。早く帰れるときは俺が作っておくし、先に食べて。外で食べてもいいんだし。


●安藤水穂は浴槽に水を入れたんだろうか?子供溺れさせるため、そのためだけに蛇口をひねり、水を出したのだろうか?それとも前日の残り湯だろうか?まっさらな水だったのか、それとも前の日に人の肌を温めた濁った水だったのだろうか?


●夫と娘は似たような格好で丸くなって。洋一郎のいない時はトイレも開け放して用を足していた。


●公判2日目。

朝起きて朝食を作る。一人きりだったけれど、気持ちが安らいだことなんかなかった。不安で心細くて、いつも何かが足りなかった。アーティストの家に着く8時。おしゃべりが止まらない。お願い。浦和駅からJRに乗る頃にはぐったりと疲れていた。ママ行かないでと大泣きした。メモを持ち出すことは許されなかった。

通路の隅に立つ女性が裁判員だと気がついた。やはり話しかけずにいたら、むこうの方から話しかけられた。ありがとう。綺麗だね。私37。8の時、子供産もうかなって本気で考えたことがあった。何を話したいのか、どこに結びつか着くのか、まるで分からない。夫は違うことを考えていた。早くそういうことを言って欲しかったっていうこと。何か近い距離という気が理沙子はする。

義母からあーちゃんと回転寿司に行ってもいいでしょうか?チラシで見ていただくと家だと弁当食べながら気がついた。それらの家は水穂の住まいに似ていた。


●水穂の住まい。同じ作りの新しい住宅。前はきっと色鮮やかな花が咲いていたのだろう。クリスマスには可愛らしいリースが飾られていたのだろう。チラシみたいだ。流行。住宅が似ていた。皆値段もほぼ同じだった。現実に思って想像できた。

義母からのメール回転寿司屋のテーブル席での娘。


●こんなに泣いているんだからお泊りさせましょうよと義母は言う。お菓子ってなんですか?と里沙子は言いかけて飲み込んだ。義母が気づいた駄菓子じゃなくて、無添加のたまごボーロみたいなやつだか。結局泊まらせてもらうことになる。涙が出てくる。マクドナルド馬鹿げているとわかっている。怒りと悔しさ。

よく言われるいやいや期第一次反抗期に入ったらしい。その後。高校生の女のこのテーブル。ふうかもこんなに大きくなるのだろう。なんで色がついてしまうのだろう。明日、私に見せてあげよう、褒めてあげよう。


●駅のホームで今日の裁判のことを思い出した。部屋の写真。いろいろなアングルから撮った写真。清潔な散らかっていない。赤ん坊の鳴き声が響く。ミルクのようなハチミツのようなかおり。スライドで移された。ビングループやflowback。辛くなる生生しい写真。証拠として有力であるかわからない写真。

消防署員が証言台になった。


●義母から電話。あーちゃんが帰る。帰ると言って。ひきつけを起こしそうだぐらいの勢いで泣いて。だから言った。でもそうなるに決まっていると。平気だと言ったのはあなたじゃないか?明日は褒めよう抱きしめようと決めた暖かい気持がどこにも見当たらない。

義母の家に義父母の家に着いた時、文子はまだ泣いていた。母を最初は?お寿司を食べたことを話していたが。母親の様子が尋常でないことに気づいたのか、何も喋らなく。最寄り駅に着く頃には疲れたのかいいとしていた。掌が痛むこれ強く吊り革を右しましょう。これは虐待だろう。口をきかないことで、この子を見つけているのだろうか?でも上げていないとなってる?作る。先に帰っている。

夫は先に帰っていった。ビールを飲んでいたってことは私の分はないってことだよ。風呂に入れようか。

文香が生まれてからちょっとしたことですぐにカッとするようになった。

裁判は自分のキャパシティを超えている。

風呂に入ると猛烈な罪悪感。回転寿司なんて言ったことないだろう。義父が夕飯まで食べさせてくれたのだ。なぜ強い怒りを覚えてしまった?遅くなるとメールしなかったのも自分。

ちゃんとした親というものを知らないんだもん。里沙子の親に問題があるの?



●自分の思春期からの回想。

児童館の母親たちの回想。

毎日顔を合わせるママ友。話をしやすいことが。その考え方でもおうちこ。仕事という創立できたはずもないし。


●裁判の公判3日目。

被告の夫は順風満帆に過ごしてきたという印象。つるりとした肌日焼けした。(いい分類してもいいだろう。妻に対して猛烈な怒りを磨いているに違いないと思ったが、印象とは全く異なっていた。34歳。実家に母親がひとりで暮らしている。父親は20歳の時になくなっている。病院に行って指導を受け始めた。子どもが出来てしばらく経ったら仕事をするつもりだった。資格試験の準備。赤ん坊がなきやまない。寝不足。手伝うのは平日は無理だった。最初はみんなそうだと言われた。妻が可愛いと思えないと言い出した。彼女は自分の家族と折り合いが悪かった。習字教室を開いていた義母。ある時からもう来てほしくないと水穂が言った。留守番電話に切り替わり、ドアを開けてもらえなくなった。

三四ヶ月目から発育が遅い。ほかの子と比較することはないと言い聞かせても納得しなかった。叩いたようなある跡を見つけたのは六か月の時である。ある日に帰ると、娘がぐったりしているのを見つけた。子供が生まれた時、かわいいという気持ちが膨らんで焦りになった。早く出世しなければならない。もっと稼がなければ。坂の途中に一軒家と重ね合わせてみる。

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●夫は身近な男に思えた。

義母からメールが来ない。

被告の夫の勤務について。帰宅時間が遅かった食事をすることも稀。そういうものだと思っていた。理由は似たり寄ったりだが、深刻度が違。結婚記念日を忘れたのが許さないというのはわかるが、1週間も口をきいていないというのは理解を超えていた。ノロケではないか?これから一緒に暮らして行くと双方が信じているからだ。

水穂は実家の両親と折り合いがつかず、子供を合わせていなかった。夫の母親とは円満だったが、合わせて欲しくないと水穂の方から言った。抱き癖がつく。育児に対する考え方が違うと思った。ベビーシッターやセンターの協力も拒んだ。

水穂の母親には一度だけあっている。東京に出てきて喫茶店で飲んだ。

友達と会ったことがある。女性である。相談していた。出向いてくれた。ただ、様子を見に来てくれただけで。食事を一緒にした。水穂に話さなかった。かつて交際していた。里沙子はええとつぶやきそうになった。四年間。四年前に別れている。彼女、結婚して子供もいる。浮気は一切ない。会ったのは一回なのか2回なのか?覚えていそうなもの。そんなようにも取れるようなことを言ったかもしれない。家の中のことを人に話すのは恥ずかしい。

彼女のアドバイス。会社お休みで訪問を受けた。変更して欲しいと言われたのは向こうの方だった。日にちを変更した。

事件当日変わったところのないように見えた。早く仕事が終わった。明かりが消えていた。風呂場のドアが開いていて、水穂が立っていた。


●今の方ってあんなに奥さんに気を使うものなの?年配の女性が口を開いた。奥さんの被害妄想的な話なのかな?

昼間。休憩の時に裁判員で話し合いをする。

連絡しないのはおかしい。釈然としないもっと何か聞きたい。ほかのこと比べて踊っていたらどうしようと不安に思ったことはないの?審理の場での質問にはふさわしくないように思えた。特に何もありませんと小さい声で言って。どの特定のメールを見て誤解したのかわからない。子供取り上げられるのではないかという気持ちが強かった。土日に自分がなんとかすることで変えられると思った。すぐに取り上げられると思ったのだろうか?

夫の元恋人が証言台に立った。様子がおかしいことは相談されていた。当たり前のことがなぜ悩んでいるのかと思って。事態は深刻になっていたので、電話から会うようになった。叩いた後を見つけたと聞いたときには大変なことになるのではないかという思いがあった。暖房に。言葉遣いというのがあればなかった。

乱暴な言葉づかいを彼はしたことがなく。


●毎日このような格好をしているのだろうと言う似合い方である。働いている。仕事女性らしかった。


●表現、働いている女性。

誠はポッチャリとした美人というよりも可愛らしいという表現の似合う女性だった。出産してから太ったのだろうなと利息は勝手に想像する。いかにも働いている女性らしく、きちんと化粧をし。股に届く髪はカールしてあり、ベージュのパンツスーツを着ていて、それがどれも似合っていた毎日、このような格好をしているのだろうというような似合い方である。

 →妻と元カノの比較。家にいる女に対して社会に出て輝いているように見える

  女性にとって重要なことは美しいかどうかということ。男性はそうではない。楽しいかどうかではないか。


●皆どこかで里沙子が見てきた母親の姿だった。

携帯メールが読み上げられたそっけないものばかりだった。

常識的なメールだった。恋愛関係がないから問題がないということなのだろうか?削られた文章は何か暗号めいていないだろうか?誰かに追われることを仮定して削られたと読めなくはないか?

話せるほどの体験がないというのも聞かない理由のひとつだった。自分にはないものを相手の思っていたら面白くない気持ちになった。

つわりの時。酸っぱいものといわれるが、理沙子は甘いものが食べたくて仕方がなかった。浮気をしているのではないかという思いに取りつかれた。取りつかれたと言っていい状態だった。短いやり取りの中で恋愛が発生していないようだった。見つけられなかった。あの時は本当におかしかった。


●絶対に娘を連れて帰ろうと。インターホンを押す。ハンバーグをタッパーでもらう。お茶も飲まずに帰る。疲れた顔が自分写っている。自分とかされてはいけない。被害妄想気味だったのだ。

歯磨きがいやだとただこね始めた。捕まえると上半身を下ろす足をバタバタばたつかせ泣き喚く。ばーば、助けを求めるように叫ぶ。偶然自分の目を打ったとき、思わず突き飛ばしていた。痛い、痛いまま嫌い。

夜の十時、夫からの連絡がない。以前今女性と2人でやってたらと考える。飲み会の会食があるときは連絡してほしいと切り出したら、夫、それはできない。といった。疑念の次第に大きくなった。急激に不快な気分になる。

夫が帰ってきた。里沙子気を遣うなんで気を使うのだと考えたら、急に不機嫌な気分になった。夫のカノジョたち昔の彼女に劣等感を感じた。

安藤寿を前にした時に感じた理由のない3件を唐突に思い出し。あの家の中でどんなやり取りがあったのか、どんな話を求めた?

里沙子は補欠の裁判?である。

夫は合コンで知り合った。映画の感想を見ていた。この人は愛されそうだったのだろうなと思う。前の恋人はドイツの長期研修に飛びついて行ってしまった。里沙子が夫を女友達に合わせようとした時に夫は怒った。


●夫の家族とあった。目の前に田んぼと畑が広がって広がっているのがここに似ていたさみしかった。手土産を渡した。放り投げるように足元に置いた。戻ってきても下に置いたままだった。これは嫌がらせではないかと思った。母親の話は長かった。食事を食べていった。まだ帰れないのかと思った。乱雑に親近感を覚えた。華やかな食卓エビきんとん、黒豆数の子刺身。料亭に出される料理みたいだ。弟はどこに住んでいるのか?父親はよく分かっていない。得体の知れないうしろめたさ。こんな立派なこあんたなんかにもったいないと言われた気がした。結婚という言葉が出たのは3カ月経った春の日だった。まっすぐ愛されて育ったから、この人には曇りがないのだと思った。幸福感を入籍するまで続いた。時間はゆっくりと消えていった。


●公判4日目。

夫の母親は想像していたよりもふけていた。


表現疲れた女性。

その女性は、ちりめん生地のツーピースを着ていた。グレーの生地に細かい模様の付いた地味な服で着崩れているわけではないのに、どこかだらしなく見えた白髪の目立つ髪を後ろで一つにまとめている。ほつれが目立ち、やっぱりそれもだらしない印象を強調していた。


あの事件からこの人から何かを奪い、急激な降りを与えたのではないか?

家に来ないでくれということは息子から言われた。昔と今じゃ育児の常識も変わったとかってかかる。長女は表情の変化が乏しかった。プライドが高い人だと思った

3月に入ってからは一度も赤ん坊に会ってない?もう来なくていいと言われた。追い詰められたのは嘘っぱちだ。本人は自分で小判。憎しみと怒りを加えた。久が異動になって忙しかった。彼が子育てを放棄して放棄したのではない。土曜も日曜も育児を手伝うのは難しいと久は言った。泣いている赤ん坊を水穂はコートはしなかった。あなたの赤ん坊も大変なことになると言った。実際、口にした言葉をきっとそうではないだろうと里沙子は妙な確信が沸き上がった。養うという言葉を使っただろうと里沙子は思った。養ってくれる人にあれこれ家のことをさせるな。単刀直入に行ったか?被害者といってもいい。この母親になんで抗うような気持ちになるのだろうと不思議。この人は嘘をついているのではないかとふと思った。自分がそのように進めたからだと言ったからだ。息子が不利にならないように話をしている。


●休憩時間になった。あのお母さんも嘘をついているということはないですよね?ホテルにとまれと言ったのも女友達に相談しろと進めたのも自分だってなんだか?自分の仕事を休んで手伝いに行くなんて、なかなかできることじゃない。子供がまだ小さいのにホテルに泊まると、私は随分ひどいセリフに思えた。育児のために仕事に遅れたり休んだりする父親やっぱりいないと思う。


●義母は憤然としていた。水穂という名を絶対口にしたくないらしい。相談してみたらというのは言ったと思う。自分の手助けはとにかく拒まれた。同世代の母親に話を聞けば分かると思ったんです。男性を立てる人だって立てることを知らない人だと思った。息子を馬鹿にしているかと思う。里沙子はこの人は何も間違っていないと思う。口を挟みすぎてはいけないこともわきまえている。赤ん坊に吸わせておけばおっぱいなんて出るようになると言ったのは義母だった。どう出るようになった?毎日かかってきた電話は攻撃としか思えなかった。宅配物は夫の留守に捨てた。そんなの気にしない人だと思うけどな。耳を疑った連日の電話宅配便をどう思っているのだ?あの母親には感じた深いが、密接と関係があるといいます。食べながら里沙子は気づく。


●文香を迎えに行くと帰りたくないと言ってもね。

私は果たして文香を愛しているんだろうか?もちろん愛していると思っている。なくなったらと考えただけで胸が塞がる思います。でも今日やこの間みたいに聞き分けのない態度を毎日毎日この先ずっとされ続けていた。それでも文香を自分より大切なもの。思えるだろうか?可愛いかけがえのない子供と思えるだろうか。私が愛しているのは聞き分けのいい時の限定の文香なんじゃないかな?


【里沙子がおかしいのではないかと夫や義母が思う】

●もえちゃんの母親である栄斗。バスの中で会う。じゃあね、もえちゃんによろしくと言って去っていく。ママ抱っこ半泣きで言う。

バーバー。道にしゃがみこんだまま膝に顔を埋めている。夫が帰ってきた。何が起きているのか分からないという顔をする。夫のに抱きついて夫に。泣き始める両腕を回し、泣き始める。何をしたんだと夫はいる。本当のことを話せば話すほど嘘みたいに聞こえてくる。

ああいうことを毎日やっているのかと忘れた。

ずっとそばで隠れて見ていたし、目は離していない。泣き止んだからバーって顔をのぞかせたところに、あなたが歩いてきたのよ。

スーパーやパチンコ屋で子供がつるせられた事件があるけど、その親もきっとそういうふうには思っていたんだろう。

台所でビールを二本開ける。途中でやめさせてもらうことができない。なんで勘違いしたままこっちの話を聞こうとしないのか?

昔の友達に連絡する。


●公判5日目。

やめられないか相談してみろよ。俺が電話してもいいんだしと夫は里沙子に言った。

義母から洋一郎から。あなたを泊めてくれないかと頼まれたと言われる。3人で泊まることに。夫から頼まれたという。

私が虐待したと夫の誤解は溶けていない。

もしも水穂自身は参ってもいないし、疲れてもいなかったとしたら?

新生児だったことを思い出そうとするぐっすり眠る日なんて永遠に来ないのではないかと思っていた。予防接種の組み合わせに悩み、混乱してこっそり泣いた。大越でなくだけで息が止まってしまうのでは?死んでしまうのではないかと真剣に心配した。インターネットのサイトを開き。そしておっぱいとの格闘。

どこの母親だってやっている。だだをこねる子供じゃあ向いて置いていくよと放置するまねをする母親を見たことがあるだろう。


●検察側の供述調書を読み上げた虐待と思われるものは見当たらない。死因は溺水による窒息で間違いないだろう。

叩いたような痣を。見つけたのは六か月に入ってからだ。3週間後に見つけた。つねったような跡。

本当につねった後だったんでしょうか?例えば虫刺されとか。


●里沙子は夫の実家には泊まりにはいかなかった。夫は実家に行った一人で気楽な夜を過ごす。酒を飲む。

友達の波から電話。キッチンで酒を飲むことが多くなり、自分はアルコール依存症ではないかと心配をする。


◎週末。

南海からまた電話。山菜のいやいや、真っ最中。母親失格と思われて離婚かもしれない。パチンコに夢中になっている親と一緒にされた。

規模からメールのんびり休めたかしら?今日は来られるわよね。夜は焼肉に行こうかって言ってるの?気が重くな。


●スーパーマーケット夫買い物をする。ビールも買い置きしておこうかというと、買い置きはやめておいた方がいい。と夫は言った。簡単なもの作ろうと決めた。でもそれは誰が作るのか?

里沙子は帰りたかったが止まっていけトヽ。泊まることになった。

義母と話す洋一郎さんに誤解をされて。断じて意地悪じゃないんです。

でもああいうことはしないでほしいと夫に言われた。


●児童館でよく会う柴田さんと会う。

なんか臭うけと夫に言われた。娘が大きいのをしていた。なんか臭うでやってもらえると思っている。

妻がやってくれると思っている夫にイライラする。

夫は娘と一緒に寝てしまった。私はパソコンで書くようにしてビールを飲む。アルコール依存症じゃないかと。心配になって。検索する。


●公判6日目。

ゆみえ、水穂の友人が証言台に立つ。清潔な魅力があった。すれ違ったときには誰しも美人だと思うだろう。この場に何を着ていけばいいのか迷った性の選択。

高校時代はそれほど仲良くなかったが、卒業して上京してから仲良くなった。

水穂は私立の女子大、友人は都内。23区外にある共学方に進学した。

結婚生活が思ったようなものではなかったと話す。夫よりも収入が多いことを数々嫌味を言われた。何か話し合おうとすると、曲解して夫は不機嫌になる乱暴なこと、物言いをすることもあった。

自分の方が給料をたくさんもらっていると言いたいのかと突っかかってくる。

大きな音で開け閉めをしたりして怖い。夫にあった。優しそうな人だと思った。

水穂の家に行った時。デリバリーのピザを頼んだ。お客。お客である故がいないの夕食がデリバリーピザだったら、寿司は期限を損なうから夫が帰ってくるまでいてほしいと言われた。はい。


2人にしか分からない方法で相手を攻撃しているように私には見えたんです。


言葉の裏に隠された刺々しさ、そういったものに気づいて催眠術にかかったように信じてしまったのではないか。

里沙子は猛烈な違和感を覚えたDVDだったら一時停止したい。

26。ちょっと待ってくれ。は(いい。あの?だから。水穂が赤ん坊を虐待している恐れがあると連絡を受けた夫から連絡を受けた。

自分の子供がほかの声に踊っているようなことを言い続けた。

検察側は上昇志向な女性だったというストーリーを作りたがっているが、それは違うのではないかトリサポ思った?ブランドにそこまでこだわっているわけでは?

里沙子は友達に大丈夫だよとメールを打った時、それは嘘だった。なぜそんな嘘ついたかというと。不幸な暮らしをしていると思われたくないからだった。

別の高校時代の友人は?今が大変な時ですぐに楽になると励ましたが。水穂を余計落ち込ませることになった。

裁判員たちで話をする。精神的に追い詰められた気の毒な。それともプライド?プライドが無駄に高い母性にかけた女どちらだ?私はあの人をどう見ているんだろう?


●母親が証言台に立った。結婚する時に喫茶店で一度あった結納も結婚式もやらないことに正直、智子は不満だった。岐阜から出てきた。田舎に住んでいるからけじめみたいなものはちゃんとしたいと。思っていた?30万円へそくりを援助したことがある?

赤ん坊のことは電話で聞いた妊娠したことを聞いていなかったので、驚いたしショックだった。

拒絶されるのは怖かった。こうしてほしいと言われたことをやらないと、水穂は烈火の如く怒る。その積み重ね、結局親子関係も上手くいかなくなったところがある。

里沙子は思ったこの人が不利にさせまいとしているのは、果たして自分の娘だろうか?自分ではなく。

赤ちゃん観ていないから実感がない。

母親はほかの裁判員たちにもあまり印象を与えなかった。しかし、水穂に同情的かというとそうでもない。あの母親にして、あの娘やるというか。身勝手で非情で自業自得以外の何物でもないそんな印象だった。

義母からメール。おじいさんがプールを作ってくれる


●水穂の両親は東京での一人暮らしを反対した。両親に内緒で入籍してしまった事に父親は激怒した。

久の母親はしゃべればしゃべるほど寿司をフルに行くようにそこに思えた。独特な親密さに苛立ちすら覚えた。この母親はなぜか娘を糾弾しているように思えてくる。

地方特有の考えは里沙子にもよく理解できた。


●裁判員の睦と終わった後、お茶をする。赤ん坊を脳なくなった写真をみんなが見せられたが、里沙子はみたいな。

睦さんは毎日飲んでいる里沙子は自分がアルコール。依存症じゃないかと心配している。


●娘を迎えに行く義父は飲み会でいなかった?娘は帰りたくないと駄々をこねる。7時過ぎたようやく帰ると言い出した。

ジュースが飲みたいと騒ぐ。電車の中で騒いだ。

里沙子は妊娠や出産を内緒にするほど不仲ではないが、価値観は違うと思っている。中卒の人を馬鹿にして、大卒の人を必要以上に尊敬し。大学を卒業しても地元には帰らなかった。窮屈な両親から逃げたかった。

帰りにパパとは?里沙子は私が下手なのかしらと思う。いつも泣いたり騒いだりするのはイヤイヤ期だからじゃなく、私の相手の仕方が悪いのか?陽一郎は文香をどれぐらい大事に思っているのだろう。一切言うことを聞かず、大越を出して泣いている時。陽一郎はいらつくこともなく行くらしく、思うこともなく、こうして忍耐強くおどけた顔で見られるのだろうか?

あーちゃんとお風呂入ってと頼んだら?しばらくたっても入っていなかった。仕事のメールが来て至急だった。不機嫌な声で言われた。

酒を飲みすぎている。たかだか缶二本でそんな風に言わないでほしい。補欠みたいな立場なんだろうという言葉に引っかかる。

自分たちは今見学なのかどうか、すでにわからない。それはいつからなんだろう?木曜日、虐待を疑われてからだろうか。前はもっと何も考えず思ったことを言えていたんだっけ?言い返していたということが一方的にやり込められていたというわけでも。ない


●裁判の公判7日目。

朝起きると?洋一郎が文香をシャワーにあっ浴びせていた。文子は父親に対してもいやいやといういやいやは私だけじゃないんだ。

文香はパンを細かく千切って。野菜のマリネが落ちている。パンを取り上げてテーブルに叩きつけたい衝動が起こる。

食べ物で遊んじゃダメでしょ?今日は俺がドラマで送って行こうか?今日は余裕があるから。それってただの親切。それとも木曜日のことを疑っているの?邪推する?


●洋一郎と一緒に文香が道中武雄。寝ればいいとさえ思った。

水穂は今日は派手な服をしてきていた。

一年もしないうちに、結婚生活にはお互いの価値観に。開きが出てきて。言い争いが多くなってきた。

赤ん坊の泣き声が風呂場に響いているとき、公園にいるような気がしていた。

なんかみんなのお母さん。なるほど。興味無かった自分の世代ではオムツなんて書いたことがないのが一般的だということを言われた。

やっぱ。刑事の印象を聞かれ、恐怖を感じていたと水穂は答えた。

同じ人間だと思えないと言われた。

はい。書いてください。ここが出てきます。


◎夫との間に。溝があったおっ。当の実家からいろいろなことを言われた。そんな描写が続く。

似たような描写が延々と続き退屈。


●妊娠がわかったのは翌年の春。その間、いさかいが絶えなかった。僕。

最近。保健師の訪問があった威圧的な態度だった。

事件の当日はセミの音がしていた。


●私はあの人が言ったことが全部真実だと思っている。被害妄想的他人のせいにするような人でもなく、客観的事実を話したと私は思っている。

里沙子のフィルターをとうして語られるのって真実に届くわけではなく、もどかしい。

仕事についての家族の不満

水穂の書いていたブログを見つける。凛ちゃんとボール遊びお座りが出来るようになって、本当に楽しくなってきた。


●裁判員の交流会に誘われる。ちょっとは気が紛れる。私、そんなに病んでるように見えますか?

返事しないと君怒ったって言うだろう。だから今の返事「そっか良かったですね」って言う返事。夫に言われる。


●公判8日目

文香に起こされたテレビをつけてと繰り返している。泣き出すがほかっておく要一郎が。泣き止ませる。あんなに泣き同士だったら、隣近所に心配されるだろう。心配って何よと言った後で後悔した。しつけの度を超えてるんじゃないかって。


●義母から終わったら精神科に通うそうねと義母に言われる。大げさに伝わってしまっているらしい。

あの時、仕事辞めないで働いていたとキッチンドランカーになっていたかも?

水穂はまた違う恰好をしていた。夫は離婚するつもりがないと言っている。

保健師を呼ばれたことは、本人にとってはすごく傷つく事だと思うんです。悪意を持って被告人を追い込んだ可能性もあると思ったんです。昔の恋人のメールをわざと読めるようにしくんでどんどん不安にさせた。

夜道に置き去りにしたときは?ビールを飲んだとき、自分はどれほどクリアだっただろうかと考える。


●水穂のことが知りたい。里沙子の物語になって。

作者のフィルターと理佐子のフィルターをとうして語られているので、なぜ水穂が子供を殺したのかというところにたどり着かない


●帰り道、電車の中に娘を置き忘れそうになる。

→それはないな。


●評議

責任能力はあったと思うという皆の意見。

量刑についての説明が始まった。

母親の子供、言葉を思い出す近所の短大に進学すれば、こんな惨めな部屋に住まなくてもよかったのに。

懲役六年、懲役15年、懲役四年。


私は被告人に同情します。両親、夫、義母、友達。医師や保健師、ボタンを掛け違えた。助けを呼ぶ声がどうしても出なかった。助けを呼びたいのに読めなかった。


●終章。

懲役九年に処する。自分の年齢に九を足してみる水穂のではなく。理沙子の年齢に

ずっと言いたかった。そんな風にずっと話せる友達が欲しかった。


週刊朝日で約一年の連載









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