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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

ネタバレ全開研究「バーにかかってきた電話」東直己(小説)


ススキノ探偵シリーズの第二弾。
映画がかなり面白かったので期待していた。まあ期待通りの面白さだった。
ハードボイルドだがユーモアにあふれた表現が多く読んでいて楽しかった。
ただ小説は第一作よりはかなりよくなったけれどまだ甘さがあると思う。
詳細に研究していきます。ネタバレ全開で行きます。結末を知りたくない方はここで左様なら。また会う日までお元気で。

評価 3点(5点満点)★★★


〇そして俺はこの後、近藤京子に何度も腹を立てることになる。それは結局彼女が死ぬまで続いた。
「自分で教えてくれたでしょう。覚えてないんですか?」
探偵とはどこかで会っているらしい。
謎の女は最後には死ぬということを早い段階で知らせることで引き付ける。

〇農作業の山崎、北大大学院性の高田、タクシーの運転手など、魅力的になりそうなのに機能していない登場人物が多い。
シリーズが進むにつれて活躍するのかもしれないが、この作品を読んだだけではわからない。

〇「地下鉄で待っていたら後ろから背中を押され、俺はホームに落ちた。」
時間のできた午後をどんなゲームをして時間を潰そうかを考えるのんびりした空気、地下鉄のきしむ音などで不気味さを盛り上げていき、最後にホールから突き落とす。
この持っていき方はうまい。

〇タクシーの運転手・岡林とのやりとり
このシーンの爽やかさ。
探偵は大金を使ったが、目的は果たせなかった。しかし、タクシーの運転手は最善を尽くしたし、何よりも自分のことを守ってくれた。だから悔しいけれども、大金を払わなければいけないと自分に言い聞かせて約束通りの金を払ったタクシーの運転手はその事に理解して重要な情報を教えてくれた。
探偵と岡林はお互いに距離を取りつつ、自分のルールを守っているところがすがすがしい。

〇次女の小百合がミスリーディング
京子のとても美人な妹小百合が「コンドウキョウコ」なのかと疑わせるが、小百合はそれほど登場しない。普通のミステリーはいかにも怪しげな人物として登場するものだがこの作品ではこの程度でいいのかもしれない。

〇映画でも感じたがへなちょこのくだりはいらない。
沙織は実は霧島を心から愛していた。探偵の力になろうとするはずだ。そもそも依頼人でもある。だったらなぜわざわざ人を雇ってこんな大変なことをするのだろうか。人を襲うということはものすごいエネルギーが必要なことだ。読者をミスリーディングさせるためだけの行為でありこういうシーンには反感を覚える。

〇小樽に行かせるところがうまい
〇ストレッチャーが二つ続いて出てきたどっちがさおりかはすぐにわかった。死体は白い布できちんとくるまれていたが片方の布からは純白のウェディングドレスの裾が見えていたのだ。
ウエディングドレスと死体という対称的な沙織の姿が悲しい。

プロット


【コンドウキョウコからの依頼】
1、 コンドウキョウコと名乗る女から電話。10万円が振り込まれていた
2、 山崎に農作業には行けない(大麻か?)と俺はなんとなく近藤京子に腹を立てた。そして俺はこの後、近藤京子に何度も腹を立てることになる。それは結局彼女が死ぬまで続いた。銀行に行き京子からの入金を確認
3、 バーで京子と電話。自分で教えてくれたでしょう。覚えてないんですか?南という人間に8月21日の版カリタはどこにいたかを聞いてください。

ちょっと人に会うだけのつもりが大変なことに巻き込まれた
4、 南に会いに行く。顔面蒼白になった
5、 地下鉄で待っていたら後ろから背中を押され、俺はホームに落ちた。
6、 近藤京子に電話をする。彼女に文句を言う。

【南の会社を探ると即天道場にたどり着いた】
7、 トランプばくち。図書館でその日付の新聞を調べる。青木ビルに行った。何かのヒントを掴みたい。チンピラ風の若い者たちと一緒に出てきて、ワゴン車に乗ってどこかに行った。三栄実業という社名が書かれていた。
8、 タクシーで尾行してもらう。
9、 運転手から即天道場の存在を教えてもらう。

【即天道場、地上げと放火事件、なくなった被害者は近藤京子】
10、              文化っぽい連中の集まる店に行く。右翼活動家を紹介してもらう。
11、              記者の松尾と飲む。お互いに情報交換をしている。スクープを掴ませてやったこともある。ギブアンドテイクの関係。暴力にいての意見。
12、              朝は何も覚えていない。同性愛者の松尾からからかわれる。即天道場の資料をもらった。一名死亡した会楽会館放火事件にからんでいる噂がある。ガキが盗難車で走っていた。盗難届が出ていない。ガキはシンナー中毒で死んだ。
13、              新聞記事を読んでみた。腹部に刺し傷。近藤京子さんである可能性が強い。

【消された放火犯の家族】
14、              市営住宅を目指す。田口家を尋ねる。
15、              父親と乱闘
16、              〇〇という会社の山科課長という人を呼び出してください。約束の場所で何が起こったか教えて欲しい。右翼団体の関谷先生とカラオケ
17、              山崎に電話。高田の話が出る。田口家に電話をする。俺は今、明らかにおばさんの心の傷を利用している。これは正しいことだろうか?

【近藤家を訪ねる、父親は霧島だった。美人の妹がいる】
18、              関谷の事務所に行く。歌を歌うような意味不明な話を2時間聞かされた。近藤京子の実家を訪ねる。あの子の父親は籍を入れる前に別れた。夫が死んでから彼女の父親は連絡をくれるようになった。向こうは若い奥さんをもらって幸せに暮らしていた。愚連隊が女性を車に押し込めようとしているのを止めようとして殺された。正義感の強い人だった。8月21日の夜でした。
19、              霧島敏夫と京子について詳しく話を聞く。すごく美人の妹の小百合がいる。(ミスリーディング) 俺たちは少なくとも一度会ったことがあるはずだった。俺を見た時の自然な表情の説明が難しい。狼狽とか驚きの影はかけらも無かった。あれほど完璧な演技ができるものだろうか?
20、              ロシナンテに山科はやってこなかった。困っているとクリムゾンのあけみから電話。男たちは俺に殴られて気を失った。
21、              市役所に田口母親を呼び出した。父親の分からない息子だった。

【即天道場のトップの右翼活動家を訪ねる】
22、              近藤京子から10万円の入金があった。霧島の妻沙織、26歳。即天道場のトップで右翼の見城と会う約束をした
23、              見城を訪ねる。即天道場は名前だけ貸してある。実態はヤクザの手先。

【相田から情報をもらう。推理を公開】
24、              桐原組の幹部の相田とサウナで会う。札幌音響は花岡組にとって裏と表のジャンクションになっている。
25、              探偵の推理。地上げに絡んで。誰かが花岡組の実力行使を依頼した。札幌音響を経由し最終的段階、放火のため即天道町の田口章を派遣した。田口はミスを犯した。花岡に及べば田口に打たせたカリタの責任になる。カリタ即天道場のラインが田口を殺した。放火で娘を殺された霧島が犯人の調査に乗り出したのではないか。ある程度情報収集能力はあった。材料をつかんだ。キャンペーンを打つのは可能だった。霧島はどうやら正義感だったらしいが、彼の性格をついた巧妙な罠んだと思うので。わからないのは近藤京子だ。彼女の目的は何なんだ?そもそも彼女は誰なのか?

【即天道場を訪れる ホシバを呼んだらカリタが現れた】
26、              京子から「サンエーのホシバと会ってください」
27、              高田と飲んだ翌朝。こういう日は右翼の道場に行こうと俺は誘った。映画でも美術館でもなく道場に行くような日よりなのだ。
28、              即天道場。副長の佐山が迎えた。田口の名前を出すと怒らせて乱闘になる。助けてくださいと塾生の少年を乗せる。
29、              少年から即天道場の中での話を聞く。警察に連れていく。人生を清算するのチャンスかもしれない。グランドホテルでホシバを待つ。記者の松尾に特ダネ情報を教えてやる。「放火の犯人の田口という少年がいて、彼はシンナー中毒で死んだことになっているが。即天道場で殺された。」問題は誰が大元かって言うことだ。ホテルにカリタが来たので逃げる。
30、              なぜ即天道場を知っていたの、と京子は聞いた。さっきの坊やが知ってることをしゃべれば、それで1件落着なんじゃないかと高田が言ったが、そう簡単にはいかないんじゃないか。オヤジさんが危ない

【田口の両親が襲われる。実行犯のカリタが殺される】
31、              市営住宅で大騒ぎ。田口の父親が連れ去られた。
32、              田口父子は交換日記をしていた。父親は佐賀県の裕福な名家の長男だった。お前、カリタって言ったか?射殺死体で発見された。
33、              カリタは自宅ではなく、隠れ家として借りていたところで殺された。22口径のピストルで撃たれた。
34、              松尾の新聞社が群を抜いて詳しかった。田口アキラ殺し、カリタ射殺が並べられていて、はっきりとはいっていないが関係があることをにおわせていた。

【沙織が怪しい。霧島は魅力的な人間だった】
35、              相田、高田、探偵の3人でケラーで飲む。本州から来た奴の計画殺人。霧島の妻は沙織。来年結婚する。
36、              沙織がママをやっているコンチェルトに行く。心から楽しそうに話すのだ。もしかすると実際に心から楽しいのかもしれないと思ったりした。相田と飲む
37、              モリそばを食べる。自己嫌悪。桑畑と名乗り、札幌マンスリーウォークに行く霧島事件について調べている。霧島は放火事件にずいぶん食い下がったねばった。記事をでっち上げようとした。殺されたという噂もある。霧島の部下から霧島の生きているこの話を聞いた。
38、              霧島の話を聞く。人間的に魅力のあった人物のようだ。近藤家を訪ね小百合にも合う。
39、              コンチェルトに行く。カリタが殺されたことをほのめかす。「証拠を出せと言う子供の話」
40、              コンチェルトでキープしたボトルに住所を書いてしまった。いつ襲われるかわからない。高田は怪我で治療中。相田の力を借りると、暴力団の抗争に発展しかねない。とりあえず俺はKellerに行き。松尾でもいないかなと思った。
41、              あなたはしばらく札幌から離れた方がいい。得体の知れない連中は、あなたの住所がわかった。霧島さんは近藤京子さんがお店を持った時、お金を出してあげたんです。
42、              北海道大学の教員にイタリア語で「霧島を殺したのはあんたかとカードに書いてもらった。」
43、              縛られていた。手を引け。バーのへなちょこ経営者だった。行ったことのある店。ボトルもいれてある。女に頼まれた。特別な女なんだ
44、              縄をほどいて脱出した。家に帰った
45、              へなちょこの隣の店でうわさをきくが真面目な話だという。からまれていた中学教師を助ける。
46、              レンチでへなちょこの店をこじ開けて入る。
47、              許可証からへなちょこの家を訪ねる。南に霧島の名前で電話をする。キョウコから電話「小樽の美濃部が会いたがっていると伝えてください」
48、              小樽には11時前に着いた。結局、沙織は姿を見せなかった。
49、              約束の時間に電話があった。まだわからないのね。私が沙織なのよ。

【真相】
50、              心の底から霧島を愛していた。カリタを殺したのは私。これから岩淵と南を殺すわ。すすきの交番に電話をした。披露宴会場で新婦が新郎を殺そうとしている。今すぐ止めてくれ。
51、              ストレッチャーが二つ続いて出てきたどっちがさおりかはすぐにわかった。死体は白い布できちんとくるまれていたが片方の布からは純白のウェディングドレスの裾が見えていたのだ。

●印象的な表現


〇表現。ユニーク。ユーモア。
カウンターに戻ると、岡本がどうしたんですかと言った。
「なんかよくわかんない。」
俺は真実を述べた。

〇表現。春の札幌。
春の始めだ。雪はほとんど消え、赤茶けた風景が少しずつ緑に変わっていこうとしている時期だった。街には車粉が舞い上がる。顔がすぐにザラザラになり、喉があっという間にガラガラになる季節。俺は春先と言うのが苦手で、なぜかはわからないが死にたくなる。虚無感と絶望感のメランコリーに支配されて、二日酔いの翌朝のような気分になってしまう。

〇表現、ユニーク。罪と罰。
論争を挑まれればラスコーリニコフよりはるかに確固とした論理を展開できる自信もある。

〇表現 農作業。
その口調には、くっきりと白い雲が浮かぶ青い空の下でぽかぽかと暖かい日をあびながらひんやりとした空気を胸いっぱいに水あたりに立ちこめる濃い土の香の中で健康的な汗を流すことへの喜びと期待が素直に表現されていた。

〇表現、ユニークな比喩。落胆の極致。
「俺、ちょっと今日いけないんだ?」
「ええ?」
山崎は大量の時間と多額のお金を投資して、やっと一泊旅行に連れ出すことに成功したホステスが実は変装したオランウータンだったという事実に逢着した田吾作のような落胆の極致という声を上げた。

〇表現 女性への怒り、愛情のある怒り。
俺はなんとなく近藤京子に腹を立てた。そして俺はこの後、近藤京子に何度も腹を立てることになる。それは結局彼女が死ぬまで続いた。

〇表現探偵の日常。
浴槽に身を落としし、ジーンズとTシャツにジャンパーを着て、そこら辺に落ちているシャツやネクタイやスーツを抱えて部屋から出た。俺はススキノのはずれにあるビルの8階に住んでいる。ゼロ番地のクリーニング屋に汚れものを出して黒いシャツ一枚、紺色のシャツ、一枚ネクタイ三本とスーツ二着を受け取った。それからゼロ番地の並びにある北一銀行の支店に行って通帳を機械に入れた。スーツやシャツやネクタイをロビーのソファーに起き、その横に座って機械から出てきた通帳を確認した。近藤京子から10万円の入金、それ以外には意味不明のお金の出入りはない。

〇表現。クレームに対処する女性。人生の真実。
(彼女は)機械キラーのおばさんににこにこと笑いながら。声をかけた。キラーおばさんの方は真っ赤な顔をして憤慨しており、その怒りをニコニコおばさんにいきなり叩き付けた。
なんにせよ、人生は厳しいものだ。生きているというのは健康に良くないような気がしてならない。

〇テクニック。襲われるまで。のんびりした雰囲気から突然襲われる。
こののんびりした気分が尾行に気づかなかったうかつさの言い訳にはならない。
→という表現の後。歩いて地下鉄の駅に着いた。部屋に戻りバッグを置いてエアライフルを撃つか、何かしてススキノが始まるのを待つことにした。
ゲームセンターのレーザーガンにしようか?エアライフルにしようか、どちらか考えていた。
不気味な音。
俺の足元ずっと下にある線路がキュンキュンと鋭い音をたてたアナウンスの女の声が、大通りススキノ方面真駒内行きの到着を告げ、白線の内側まで下がるようにと懇願した。
そのとき天啓がひらめいたエアライフルとレーザーガンの両方をやればいいのだと気づいた。
→その直後おとされる。

〇表現。命の危険に合わせたことを謝罪する女。
ボーイフレンドの背広に自分の飼い猫の毛が一本くっついたのを謝っているような口調だ。

〇表現。人間の真実。
人生に行き詰って図書館に行けば、なんとかなる。

〇表現。神様。ギャグ。
俺が今まで誠実に生きてきたので、神様が幸運を授けて下さったのだろうと思う。何教の神様なのかは知らないが。

〇表現宅地造成。
平らにならされた地面が広がり、枯れた雑草の残骸と泥まみれの残雪が地面を覆っている。うっすらと緑がかっているのは、新芽が頑張って頭を覗かせているんだろう。そのあいだを幅の広い舗装路が整然と直行している。作りかけの家がぽつりぽつりとばら撒かれていて、その他に目がつくのは不動産会社が建てたらしいニュータウン宅地分譲中という登りだけだ。そして動いているのはカリタが乗ったアメリカ車とこのタクシーだけ。これは気付かれるなと言う方が無理というものだ。

〇表現。作者の暴力に関する考え方。
組織的な暴力に対する恐怖は独特のものがある。酒の勢いとか路上の偶然の殴り合い、あるいは個人の恨みからの暴力とは違って、ある組織が何かの目的のために誰かの抹殺を決定して、それを遂行するというのはとても不気味だ。
だからと言って、平和主義や非暴力主義に転じればいいということにもならない。それも結局無力なことはガンジーの最終的敗北を見るだけでわかることだ。非暴力や無抵抗は、暴力を振るう人間に良識や品位がある場合に限って有効だが、暴力を振るう人間は良識や品位をもっていない。
したがって、残された道は?逃げる暴力主義しかないわけだ。

〇表現 ユーモア
「汚いですけど、どうぞこちらへ」おばさんの言葉は謙遜ではなかった。

〇表現。ギャグ。文学の引用。
泣いている女性を慰めるには甘いものを食べさせればいいという知識をどこかで読んだような気がした。記憶の中で探してみたら太宰の人間失格の一場面だった。これではどうしようもない。

〇表現。ショックを受けた後、いろいろな声が聞こえる。
なんとなくあたりが静まり返ったような感じがした。実際にはそうではなくむしろ今まで耳に入って来なかったいろいろな街の物音、遠くで聞こえる音の音や公園で遊んでいるらしい子供たちの声がはっきりと認識されるようになったのだった

〇表現、変な男ギャグ。
これからデートに向かう総務部平社員勤続年数二年佐藤太郎という感じの青年がいた。

〇表現。馬鹿な男。ユニークな描写。
俺はこの男の記憶力がかぼちゃ程度であることを願った。神様に祈った

〇表現。アルコールと目覚めの良い朝。
酒をあまり飲まずに早く寝れば、翌朝は爽快でそれに続く一日も溌剌として過ごすことができる。ということは証明を全くしない経験的な真実だ。それはそうなのだが、俺は別に朝爽快に目覚めるために生きているのではないということが問題なのだ。

〇表現。人間の真実。
どんな下等な人間にもまごころはある。
人間の真心はそれ人間なりに最もふさわしい形で外に出ようとする。

〇表現、人間の真実。
人生を味わうためには、それなりに明晰な頭脳と。それなりに誠実な人格と、それなりに豊かな教養が必要なのだ。そのすべてから航平は見放されていた。

〇表現。映画でも使われたセリフ。
俺は公平とあきらに何ともいえない同情を感じてしまった。俺たちは生まれる環境も生まれる国も生まれる時代も、自分の体も自分の脳みそすらも自分で自由に選べないの?いきなり生まれさせられて、そして自分の人生の責任を押し付けられる。それで楽しくやれる人間はそれでいいけど、ついていけない人間はどうすればいいのだろうか?

〇表現。やくざ。知らないと書けないセリフ。
はっきり言って、うちは今こんな事に巻き込まれる余裕はねえんだ。親父も焦って、ただとにかくうちが無関係な事をハッキリさせなきゃまずい。
どこ、どこの誰それがやったと、少なくとも業界には流れるもんなんだ。必ず誰かが誰かに内緒話をしてしまうもんなんだ。

〇表現泥棒の真実。
シャッターを開けるとき、逡巡してはいけないと空き巣狙いが教えてくれた。勢いよく堂々と男らしくがらがらと開ける音を聞いた。人間はどこかの店が営業終了したのだろうと判断するはずだ。

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