瀬戸内のアートに触れる旅 #1|サンライズ瀬戸の夜間走行
高松発のフェリーで直島へ。
直島に行くには、陸路が存在しないため、フェリーを利用する必要がある。まあ、正確に言えば、自家用ヘリなんかを持っていれば空路で行くこともできるのだけれど、そういう意味ではないので省略する。
直島行きのフェリーの出発地としては大きく2つ、山口県・宇野港と香川県・高松港があるのだが、そのうち、今回は高松港を起点とすることにした。
フェリーの所要時間だけで見れば、宇野港からのほうが距離が近いので時間も短い。だが、高松港からのルートを選択したのには大きく2つ理由があって、
1つ目は、帰りは宇野港を利用する予定だったから、同じ道を二度は通りたくないという個人的なこだわりと、2つ目は、せっかくなら本場香川のうどんを現地でいただきたいという思いがあったからだ(こちらのほうがメイン)。
決してうどんの本場の丸亀まで足を伸ばしたわけではないですが、そのご近所ということでよしとします。香川県自体がうどん県だし、うん。
まずは、そんな高松までの道中を記載する。
サンライズ瀬戸でタイムトリップ
21時50分に東京駅を出発するサンライズ瀬戸・出雲にて、この旅は幕を開ける。
かつて、東京駅を利用していた際に、帰りの電車を待つホームからそれの姿を見たことがあって、まさかここ都会の真ん中から出雲まで一本で行ける夜行電車があるのか!と興奮したことを覚えている。
その時以来、正直、サンライズのことは記憶の片隅にあったのだけれど、今回ふと、せっかくの機会だし乗ってみてもいいかもと思い、当初は新幹線で行くつもりだったところを急遽変更。
チケット購入は、「e5489」(「いいご予約」のごろ合わせらしい)というJR西日本が提供しているサービスを利用する。空席照会のために、いちいちアカウントを作成する必要があるのが面倒くさい。(アカウントを作成せずに照会できたらすみません。ただ、いずれにしても見つけづらいと思ったのは事実。笑)
東京駅でチケットを受け取る際も、JR西日本の窓口にて対応する必要があるので注意が必要です。
チケットを発券したのち、9番線ホームに向かう。途中の岡山駅で、高松に向かうサンライズ瀬戸と、出雲に向かうサンライズ出雲とに分割するのだけど、そのうち、高松に向かう前寄りの7車両の中で「B寝台個室ソロ」に該当する3号車に乗車する。
座席の種類なんかは、こちらの記載も参考にしていただければと思うけれど(このサイトも「この列車を予約する」というリンクが非常に見つけにくく、買ってほしくないのか?と感じる。笑)、B寝台個室ソロは個室の中ではグレードが一番下ではあるものの、十分に個室であるので寝て過ごすには事足りる。
車両の中は、2階建ての構造になっていて、残念ながら下側の個室であった。下側ということもあって、隣のホームにいる方々と目があう、というか見上げるような角度になるので、まずはそっとブラインドを下ろす。
着替えやら毛布やらはベッドの上に用意されていて、その他コップとかハンガーなんかも装備されている。使わなかったけど、電気のスイッチの隣に、ラジオも聴ける装置もあったように思う。
早速上着を脱いで、ベッドにて足を伸ばす。しばらくの後に発車のアナウンスが聞こえ(個室内のスピーカーから車掌の声が届く)、東京駅を出発。
その後、品川までは都会の駅を斜め下からの角度で見上げながら通過し、そのまま上野東京ラインのルートに沿って、横浜・熱海を経由する。熱海の前後だっただろうか、23時を回るところで以降の車内アナウンスが省略される旨が通知され、そのタイミングで自分も個室の照明を落とすことにする。
とはいえ、普段寝るのはもう少し遅い時間だし、そんなすぐには眠れるわけじゃないんですよね。ただ、東西に長い静岡をどこかまで行ったところで、眠りに落ちた。
気が付くとそこは岡山
翌朝起きたのは、岡山駅に到着する前の6時15分。
ここ岡山駅では、瀬戸方面に向かう車両と、出雲方面に向かう車両が分割するオペレーションが実施されるのであるが、停車時間中に乗客もその様子を見られるとのことだったので、見られるものなら見たいの精神が働いたのだった。
起床後、洗面スペースにて簡単に顔だけを洗っておく。そう、3号車には、洗面スペースのほか、トイレやラウンジなんかも設備されていて、なかなか便利に過ごすことができた。
いざ、列車が岡山駅のホームに停車すると、この時間でも出勤すると思わしきスーツのサラリーマンの姿もいくらか見られる。岡山の人にとっては日常茶飯であろう光景なので、決して人だかりができるような感じではなかったけれど、他の乗客の方のうち、何組かは同じように降りてきて、カメラを構えていた。
無事に分割を見送った後、高松行きの最後尾である7両目から車内に戻り、他の号車の様子も覗いてみる。ノビノビ座席という雑魚寝スペースがあったり、悠々のツインの部屋があったり、実際に自分の目で確かめることができた。
自席に戻ると、いよいよ高松への到着を目指す。児島から瀬戸大橋を経由して瀬戸内海の島々を通過し、坂出を経て7時30分ごろに高松駅に到着する。
そして念願の香川のうどん
途中から外の天気が雨になっていたことには気が付いていたが、高松に着いた頃には、わりと本降りの状態になっていた。晴れていたら少しくらい駅の周りを観光してもよいかなと思っていたけど、直島へのフェリーに乗ることを優先して、事前に目をつけておいていた駅近のうどん屋「めりけんや」に足早に向かう。
店に入ると、先客はおじさんが4人くらい。自分の席に荷物を降ろし、カウンター越しに、肉ぶっかけうどん(大)を注文する。サイズは迷ったのだけどさ、せっかくならがっつり食べておこうと思ったものの、大だとけっこうボリュームがありましたね。けれどもやっぱり美味しかったので、よく噛みながら完食しました。
続いて、フェリー乗り場へと向かう。一度高松駅まで戻ると、屋根がある通路を辿っていけば雨のしのぎながら到着するのでありがたかった。乗り場に到着すると、その名を「あさひ」という船は乗船準備を始めていて、チケットを窓口で購入した後に、そのまま船内へと乗り込む。
8時12分に高松港を発車。高松の滞在は少し駆け足だったけれども、いよいよ、旅のメインとなる直島へと向かうのでした。
今日の一曲
夜間飛行ならぬ夜間走行であったけれども。
石崎ひゅーい - 夜間飛行