グローバルスタートアップカンファレンス「Next Silicon Valley」登壇者インタビュー001寺久保拓摩氏fromアフリカ
2019年8月29日(木)午後13時@東京ミッドタウン日比谷にて、世界6カ国のIT投資家や支援者が集うカンファレンスを主催します。
登壇者のショートインタビューをお届けします。第一弾は、アフリカから帰国し登壇してくれる寺久保拓摩氏。ケニアからオンラインでインタビューに応じてくれました。
中川:VCというキャリアのきっかけを教えてください。
寺久保:学生の時に、グラミン銀行でインターンをしていたというのがきっかけです。
中川:グラミン銀行のインターンの動機はなんですか?
寺久保:将来、スタートアップやろうと思っていたんです。ただ、自分でスタートアップやるにしてもテーマがなかった。そこで、世の中に本当の意味での価値を生み出すってなんだろうと考えた時に、売上や時価総額だけじゃなくて、ノーベル平和賞を取った銀行があるってのを知って、企業がノーベル平和賞を取れるくらい評価されているってどういうことだろうと思ったのが動機です。
中川:グラミン銀行の何が魅力的でしたか?
寺久保:グラミン銀行って、銀行だけじゃなくてそこから出た利益をヘルスケアの会社とかエネルギーの会社など、国全体が必要な要素を企業体として揃えているというのが、すごく魅力的でした。
中川:その後はどんなキャリアを?
寺久保:0→1を作っていくことをやりたいなと思って、日本に帰ってきてからは、サムライインキュベートにジョインしました。サムライインキュベートでは、シードのスタートアップ支援というのがメインだったので、、日本やイスラエルだったりで起業家の支援をさせていただいてました。去年、2018年の5月からアフリカにきて、こっちに来てからスタートアップ支援を始めたというのが経緯になります。
中川:今の事業内容を教えてください。
寺久保:アフリカに特化したベンチャーキャピタルで、シード、アーリーステージのアフリカ起業家への投資がメイン事業です。領域としては、金融、物流、モビリティ、エネルギーとかをテーマとしてフォーカスしています。基本的には人が生活するにあたって必要なサービスであったり周辺領域に特化して投資してます。去年の8月から14社に投資実行していて、国としてはケニア、ウガンダ、ルワンダが東アフリカ。後はナイジェリア、ガーナ、南アフリカ、この6カ国です。
(Transform Africa Summit 2018 ピッチイベント「Face the Gorillas」のピッチ登壇者に質問する寺久保氏)
中川:アフリカの何が面白い、魅力的ですか?
寺久保:経済の発展が今から起こっていく中で、絶対にテクノロジー介在しながら発展していくというのが、やっぱり今までとは全く違うところですかね。でもそんなに強いテクノロジーが求められていなくて、既存のテクノロジーの中で、世の中の仕組みをどう作っていくのがベストなのか、ということが考えられています。
中川:具体的にはどんな事例がありますか?
寺久保:例えば物流だったら、住所が整っていないから物が届かないという課題がある中で、これだけモバイルが整っているので、モバイルがベースに作った方が早いし、コストが安いよねっていうのがアフリカのイノベーションなんです。
中川:日本に応用できない?
寺久保:いや。その課題ってもしかしたら、日本の将来にも当てはまるんじゃないかなと思っていて。例えば人口が減っていって、地方が過疎化していく時に、今の物流企業が物流アセットをなかなかそこに置くのが重たくなってくると思うんですけど、その効率化の仕組みを逆に展開していくというか、日本の将来の課題にも通ずるものを今のアフリカにあったりするので、そこが面白いなと思います。
中川:今のアフリカの課題解決が日本の将来の課題解決にテストケースに!
寺久保:そうです!スマートシティみたいなのもアフリカで起こるのかなと思っていて、人の移動だったりとか、物移動とかも、全てテクノロジーが介在していくので、明らかにデータ化されて見える化していくというのが、他の先進国で苦労してることが先にアフリカでクリアされるのではないかと思っていて。
中川:今回、イベントで伝えたいところってそのより具体的なところだと思うんですけど、来てもらうことでアフリカって距離的な問題とか文化の問題とか非常に遠いイメージを持たれてると思うんですけど、今回イベントで寺久保さんと話すことで、そんなに距離感って遠くないとか、そういうことは感じれるんですかね?
寺久保:そうですね。日本の人って、物理的に遠いと、心理的にも遠くと思うと思うんですけど、実際こっちにいるとヨーロッパ、アメリカ中国、インド、どんどん、みんなこっちに来てるというのもあるなというのがあって。心理的に遠いと思ってるのは日本だけですよ。
中川:実際に今日本が来ることで大きなビジネスチャンスもあると。
寺久保:そうですね。例えば今で言うと経済の成長ってスタートアップを起点に起こるなと思っていて。物流もそうですし、救急車の仕組みもできていないのでそれをスタートアップが作っているとか、まさに根幹となるソフトウェア、OSの部分をスタートアップが作っているので。そこから下の部分は中国とかの投資とかによってインフラとか建築とかは生まれてきてるけど、じゃあOSの部分をいかに取るかって考えると今しかないんじゃないかなと。
中川:今行くことで、OSのところも取れるので大きなリターンも得れるし、欧米とか中国とかに対抗できる余地があると。よりこんな業界がチャンスがある、早く来た方がいいよみたいなところってあったりします?
寺久保:最近見てるところで行くと、物流。アフリカって産業革命を経験していないってところがあって、産業革命ってものとか人の移動をいかにして早めたか、スピードの短縮ってのが大きなインパクトだった。アフリカは、そこの改善の余地がまだまだあります。そこを今、モバイルをベースに、人とものの移動ってのが不可欠だと思います。で、その領域をスタートアップが解決しようとしています。
他にも、エネルギー、電力やガスにも注目してます。無電化地域もまだまだあります。そこに対してのソリューション、例えばソーラーパネルを活用しながら電力を使えるようになるとか、支払いの仕組みを工夫してマイクロペイメントみたいな仕組みを入れる。あとはガスも供給も全体的にできていないので、生活に不可欠になってる領域っていうのはまだまだソリューションが必要になってきます。日本の企業には大きなチャンス、機会があると思います。
そして、将来的に圧倒的に大きなマーケットになることは間違いないので、今のタイミングで入らないとポジションを取れない。10年とか30年後、と言う人も中にはいるんですけど、そこまでいっちゃうと何も入る隙がなくなっちゃうと思いますね。
中川: 最後に、イベントに来るか迷ってる人に一言メッセージをお願いします。
寺久保:今回のイベントって、まさにパイオニアではあるけど、実は今の日本企業が必要なものをピンポイントにフォーカスしてるなと思っていて。今までは、みんながシリコンバレーに行くって感じだったと思うんですけど、イノベーションが起こる場所って多様化していて、技術の革新と新しい社会の仕組み作りってのも求められている中で、シリコンバレーだけだとカバーしきれないはず。今回登壇する国が中心となってどんどん起こってくると思うんですけど、今後はむしろそっちが主流になってくるはず。そう言ったポイントは、実は日本企業が見なくてはいけないポイントだったりするので、ぜひこのイベント来て、感じてもらえると嬉しいですね。
中川:ありがとうございました!
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