MSI 2021 グループAチーム紹介
グループAはVCS代表が不参加となったため、唯一3チームで争われるグループだ。総試合数は変わらないため、グループB・Cがダブルラウンドロビン(同じ対戦カードを2回行う総当たり戦)なのに対して、グループAではクアドラプルラウンドロビン(同じ対戦カードを4回行う総当たり戦)になっているフォーマットの変更点に注意したい。
LPL代表:Royal Never Give Up
RNG公式Twitterより
LPLは、LoLの競技リーグにおいて、全17チーム参加という最大規模の強豪地域だ。かつては覇権的な強さを誇っていたLCKの背中を追うリーグだったが年々成長を遂げ、2018~2019の2年間連続でWorldsを制覇した地域となった。今ではWorldsにおいてLCKと世界の頂点を争う強大なリーグと言える。
RNGは、LPL黎明期から中国シーンをけん引してきた古豪に連なる名門チーム。複数のスプリットでのLPL制覇や、2018年のMSI優勝など多くの実績を積み上げている。2019年以降は、チームの中心であった大スター・Uzi選手の不調、そして引退があったことから当初は不安視されていた。しかし2020年は春のシーズンが始まると、メンバーの刷新やXiaohu選手のトップレーンへのコンバートといったチームの改革に見事に成功。現在、最も優勝争いの厳しいリーグであるLPLの王者に返り咲いた。
春スプリット~プレイオフの勝率は7割、強力なレーナーを擁するチームだ。LPLの伝統的な強さとは、各プレイヤーのハンドスキルの高さに他ならない(日本語ではよく「筋力が高い」と形容される)。1v1から集団戦まで、あらゆるファイトが注目ポイントだ。
LCO代表:Pentanet.GG
オセアニアでは2020シーズンをもってRiot Games直轄のプロリーグ運営が終了。そのため新たに「ESL」が運営を担当する公認リーグが立ち上げられた。それが「League of Legends Circuit Oceania」、略して「LCO」である。2020年までオセアニア地域で活動していたプロは、Riotの計らいによって北米在住者資格を得たため、多くがLCSへ参加すべく北米へと移動したが、オセアニアの競技の火は消えていない。
LCO Split 1(※)を制したPentanet.GGは、トップレーナーのBioPanther選手のみが、Worlds 2018のプレイインステージを経験したのみ。他は国際大会経験のないメンバーだ。しかしながら、新生したLCOにおいては非常に安定したパフォーマンスで他チームを圧倒してのスプリット制覇を成し遂げている。
過去の国際大会においても、オセアニアはグループに波乱をもたらすチームとして時に思いがけない強さを発揮している。得意とする集団戦をいい形で見せられれば、Aグループの予想を覆す試合を見せられるはずだ。
(※)南半球の地域では北半球と季節が逆のため、Springは1、Summerは2とSplitを表記することが多い
LCL代表:Unicorns Of Love
UOL公式Twitterより
古くはMoscow5に始まり、黎明期の競技シーンで異彩を放つチームを送り出していたのが、現在のLCL地域(CIS:ロシアを含む独立国家共同体)だ。現在こそ強豪地域の一角に数えられてはいないものの、独自の戦略を引っ提げて国際大会に現れては予想外の結果をもたらす独自の魅力を持ったリーグである。同じマイナーリージョンということもあり、LJL代表チームとLCL代表チームが対戦しているところを観戦したファンも多いだろう。
中でもUOLはEUからCIS地域へと活動の場を移し、以来LCLでトップ争いを演じているチーム。特にBOSS/AHaHaCik/Nomanzの3選手は2019シーズン頃から国際大会の常連となっており、LCL内の別チームではあったがMSI 2019ではDFMとも対戦している。当時から独自のバンピックや戦略で多くのチームを翻弄しており、今大会も強豪リーグのチームに彼らの武器がどこまで通じるのかが注目される。
【不参加】VCS代表:GAM eSports
パンデミック以来、ベトナムは厳しい出入国制限を行っており、昨年のWorlds 2020にVCS代表が参加することはできなかった。その制限は2021年5月現在も続いていて、またしてもVCS代表は国際大会への出場機会を失うこととなった。
日本では「ベトナムの風が吹く」という言い回しで親しまれているVCSチームのプレイスタイルは、とにかく戦闘重視の荒々しいものだ。特にGAMは主力であるジャングラー・Levi選手がチームを直接勝利に導くべく、キャリータイプのピックをすることが多い。マクロの判断は洗練度で後れを取るものの、LPLチームと似た志向でお祭りめいた試合を見せてくれる地域なのだ。
このMSIに先駆けて行われたメディアプレビューにて、Worlds 2021は中国・深圳で開催されるとの発表があった。深圳はベトナム・ハノイからほど近い場所にあるため、ひょっとしたらVCS代表がリモート参加できるかもしれないという見方もある。2019年以来国際大会の舞台に姿を見せていないVCSチームたちが、観客の心に風を吹き込んでくれる日を心待ちにしたい。
グループA事前予想
近年の国際大会で非常に良い成績を収め続けているLPLが勝ち抜けるのはほぼ確実と見られる。問題は2位に収まるのがLCOかLCLかという点だ。LCOは今年リーグが再編されたばかりで、旧OPLの有力選手はほとんどおらず、国際的にははっきり言って未知数のリーグというほかない。一方でLCLは、UOLが昨年のWorldsでグループステージ進出を果たしており、実績を重視すればこちらが有利と思える。
VCS代表が不参加になったため、こなす試合数がぐっと増えたのは、グルーブAの勝ち抜きチームには厄介な材料だ。どれだけ手の内を温存して勝ち進めるか、引き出しの多さが特に求められるグループになるだろう。
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