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江戸季節蕎麦の魅力12月『鴨南蛮(かもなんばん)そば』
1年にわたり『季節そばの魅力』を探りつつ味わって来ました。『そば』にもしっかりと日本的な季節感がある事が再認識でき、その美味しさも改めて強く感じることができました。さあ、1月からアップしてきた『季節そばの魅力』の最後となる12月は『鴨南蛮(かもなんばん)』を取り上げます。
お蕎麦屋さんのメニューによく出てくる『南蛮』とは何のことでしょうか?
江戸時代にネギのことを『南蛮』と呼びそれがお蕎麦屋さんでは現在にまで受け継がれています。またネギのほかにトウガラシやカボチャなどを指す場合もあるようです。これらの野菜も異国から渡来したことに由来しますが、トウガラシは南蛮人が辛いものを好んだことからそう呼ばれるようになったとする説もあります。(そばうどん知恵袋111題 そばうどん編集部・編より)
ねぎと鴨肉が入ったそばが『鴨南蛮』だということはわかりますが、 『蕎麦の事典 新島繁』にてもう少し詳しく見てみると下記となります。
『鴨南蛮(かもなんばん)』とは
代表的な種物(おかめそば、天ぷらそば、玉子とじなどの総称で、そば・うどんを台に具をあしらったもの。)の一つ。真鴨は味にくせがあるために合鴨を使うのが一般的。鴨肉と長ネギをかけ汁で煮てから、そばに上置きをし、かけ汁をはるのが基本的な作り方だが、煮る前にフライパンで鴨肉と長ネギをさっと焼く方法もある。合鴨は量胸の『だき』と呼ばれる部分の肉が特に味がよいとされる。以前は寒中だけの種物だったが、現在は通年出される。(略)江戸時代に創製された種物で(略)※笹屋が元祖とみてよい。
(蕎麦の事典 新島繁より)
※文化年間(1804~18年)江戸の馬喰町橋詰にあった。
それでは冬のお蕎麦屋さんのメニューとして、代表的な『鴨南蛮(かもなんばん)そば』を手繰(たぐ)りに日本橋・室町の『紅葉川(もみじがわ)』を訪れます。ここは『鴨南蛮(かもなんばん)』そばが一番人気のお蕎麦屋さんです。
江戸の起点である日本橋の近くに『紅葉川(もみじがわ)』はあります。
この店は『鴨料理』の専門店でもあります。
この店自慢の『鴨南蛮そば』
紅葉川は『鴨』が売り、その鴨は青森県産。鴨肉は柔らかく脂身は甘い。そばつゆは鴨の旨味が濃厚でやや甘味を感じます。蕎麦は喉越しの良い二八そば。鴨の脂が溶け込み旨味が倍増、厚切りの白ネギとの相性も抜群です。
薬味のネギ
つみれはしっかりとした弾力。できれば返しをつけて焼いて日本酒と味わいたいとも思いました。そばつゆの柚子の香りも心地よい。
堪能致しました。
江戸時代、旅の起点であった日本橋。
日本橋 室町 紅葉川(もみじがわ)
創業:1933年
紅葉川は昔、外堀川から楓川までの約500mの川(運河)でしたが埋め立てられました。高島屋の南側の道路を東西に流れ、中央警察署などの近くの首都高速都心環状線付近で楓川に接続していました。紅葉山に向かって掘られていたことに由来します。