二日酔いの“正しい”対処法
「そういえば、この前大丈夫だった? かなり飲んでたけど」
「大丈夫じゃねぇよ。めちゃくちゃ二日酔いで大変だったんだから。頭痛いし、気持ち悪いし」
「あらら、だから言ったのに。あんまり無理するなって」
「いやぁ、まいった。久しぶりにあんなに飲んだわ。もう二度とお酒は飲まないと誓ったよ」
「気をつけろよ、まったく」
「気分が悪かったのも、そうなんだけどさ。それ以上にムカつくことがあって」
「え? なによ?」
「次の日起きて、すごく気持ち悪くて、ベッドで横になってたのよ」
「うん」
「本当に気持ち悪かったから、救いを求めるように、スマホで検索したわけ。『二日酔い 対処法』ってさ」
「ああ、なんか楽になる方法ないかなってね」
「そうそう。そしたらまぁ、色々情報がでてきたんだけどさ。その中に『二日酔いにならないための対処法』ってのが長々と書いてあってさ」
「うん? どういうこと?」
「俺が知りたいのは、二日酔いの症状を楽にする方法なわけよ」
「うん」
「でも、出てきた情報は、二日酔いにならないために“事前”にできる方法なわけ」
「ああ、なるほど」
「『空腹の状態でお酒は飲まないようにしましょう』とか『水を飲みながらお酒を飲みましょう』とか『一気に飲まないようにしましょう』とか」
「はいはい」
「いや……。知ってるわ!!」
「まぁ、特に目新しい情報はないわな」
「しかも『二日酔い 対処法』って調べて、この情報が出てきてるから、『こうしとけば二日酔いにはならなかったんですよ? 飲みすぎたあなたが悪いんですよ?』って言われてる気がしてさ」
「その通りなんだけどな」
「気持ち悪いし、腹が立つしで、最悪の気分だったよ」
「それは大変だったな」
「あ、そういえば、今日の夜空いてる?」
「え? 空いてるけど?」
「飲み行こーぜ!!」
「おい、もう二度とお酒は飲まないんじゃなかったのかよ」
「あのなぁ。『行けたら行く』って言うやつって来ないだろ?」
「え? うん、そうだな」
「それと同じだよ」
「は?」
「行けたら行くは行かなくて、二度と飲まないは飲むんだよ」
「何言ってんだ、おまえ」
「今日は飲むぞーーー!!」