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山陽道をゆく chapter1-3 倉敷・直島(3)

岡山駅を出たbusは北西に向かった。行き先は吉備津彦神社である。

本殿の前でvolunteer guideのおじさんにMさんが

「guide,お願いできますか?」突然頼んだ。おじさんは全く予想していなかったと見えて狼狽した。

「いやー、他に予約が入っていますので・・・」と笑って断った。

予約?ほんまかいな?  境内にはお宮参りの若い親子連れとその両親が居ただけで参拝者は誰もいない。なるほどvolunteer guideなら、この社のとっておきの話を聴かせてくれるに違いない。そのためにname cardをぶら下げて立っているのではないのか? Mさんはベテランtour conだ。まだ集合場所で会ってから2時間余りではあるが、機転が効く人だなぁと思った。
でも、今回はやや無茶振りであった。Mさんはそれ以上は言わなかった。

「自由散策時間を30分取ります。出発は10時50分です」とMさんは宣言した。この程度の規模の神社ではトイレ休憩も含めて10分もあれば十分である。

「持たないだろう」と僕は呟くと、すると

「全員揃い次第出発します」とMさんは言い換えた。

吉備津彦神社

吉備津彦神社に到着するまでの車中でMさんはbus guideになり、桃太郎伝説などについて解説をした。僕は古代史に詳しくはないので引用させて頂くと

古代史は謎だらけである。桃太郎伝説は岡山だけでなく各地に点在するようでどの地域が正当なのかよくわからない。この吉備地域の伝承によればこの地を支配していた渡来人の末裔の一つ、温羅(うら)一族は大和朝廷から派遣された将軍、吉備津彦との戦に敗れ、滅ぼしたという話が原形とされている。鬼(悪役)とは温羅(うら)一族のこと言われている。

元は製鉄技術を持つ渡来人でこの地に定住し、美作の砂鉄を使って農具や武器にして他地域に先駆け勢力を拡大して行ったと思われる。最盛期には瀬戸内海を手中に収め、今の岡山県だけでなく、広島県・兵庫県の一部地域も支配していたとも言われている(諸説あり)。

吉備津神社と吉備津彦神社とは類似名で有ることから間違い易い。

吉備津彦神社は備前国の一ノ宮、吉備津神社は備中国の一ノ宮。 徒歩圏内に同じ神を祀る立派な神社が二つあるのは、そういう理由からだ。 吉備津彦神社は吉備津神社より規模が小さいが、たいへん端正で美しい神社である。 手前に大きな池があり、鳥居からまっすぐに続く橋のような参道を歩く。

by search AI

現在、吉備古墳群の中には宮内庁管轄の古墳があり、陵墓として立ち入りが禁止されている。京都に有るはっきりと公式文書が残る陵墓とは違い、古代の古墳の中には天皇家の陵墓とするには根拠に乏しいものが多い。僕はそうした古墳には学術調査した上で保存すべきと考える一人ある。

吉備津彦神社の境内図
homepageより


随神門
吉備津彦神社の紅葉

紅葉の名所ほどの本数はないが、1本の大木だけで映える。

亀島神社

池に浮かぶ木々もばえる‼️。

さざれ石 君が代(国歌)

さざれ石(古今和歌集)

中国自然歩道

ハイキングコースになっている。

県立自然公園

この辺りは古代の先進地域であった。

子安神社
神社内神社
吉備津宮
鶴島神社
左右に鶴島と亀島がある
紅葉が映える
11月暖かったこともあり、紅葉が遅れた
随神門(池側から撮影)

乗客が揃いバスは出発した。Mさん、いやbus guideさんは次に行く倉敷美観地区について話し始めた。まずは今日のlunchのepisode・UKIYO-E KURASHILI・大原美術館などの概要である。時よりMEMOを見て喋るが、大半は暗記しているのだろう? うまいしゃべりであった。


chapter 1-4 倉敷・直島(4)→

余談ながら

昨年2023年の11月、温泉巡りで南東北を日本海側から太平洋側まで観光busで3泊4日、横断旅行をした時のbus guideさんのことを思い出した。参加者10数人で、もちろん2席にひとりのゆとり観光である。

bus guideは、かって若い女性の憧れの職業でもあった。高校を出てすぐ観光bus会社に就職し、半年もすれば一人前としてtourに出た。始めはmemoの棒読みであったのが、やがてどのようなsituationでも説明ができ、車内でgameをやったり、歌を披露したり、人を楽しませる多芸を開花させていった。

ところが、その憧れはCAさんに変わった。観光地の説明はgoogledググればすぐに出る世の中に変わり、音の悪いbus  micでの歌声より、自分のスマホから好きなHaire  losslessハイレゾロスレス化した楽曲を earphoneで聴くことを好む人が増えた。

image of bus guide
by photo AC .free

その時のtourのbus guideさんは30歳前後と思うが、そのguideさんによると業界ではベテランに属するという。その上はかって憧れて入った世代、70代の非常勤の超ベテランguideさんでお呼びが掛かった時だけ勤務するらしい。そのtourのguideさんは4日間、ひたすら行く先々の観光話を聴かせてくれて、多芸を披露していろいろな楽しませてくれた。僕は彼女らを素晴らしいentertainerだと思っている。残念なことに今日bus guideさんの成り手は減っている。



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