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近江をゆく chapter 1-2 八幡堀
→chapter 1-1
近江八幡のブーメラン通をそのまままっすぐ行くと小幡町通になる。京都でいえば堀川通が京都駅を過ぎれば自動的に油小路通に入るようなものだ。道路標識名が変わるので気づく人もいるが、堀川通を走っていると思っている人も多い。或いは新堀川通(実は愛称)と言う人もいる。ところがこちらは雰囲気ががらりと変わる。城下町の一つの通りをたまたま明治時代に郊外にできた駅舎(旧国鉄)の正面に通じる路であったのでモータリゼーションとともにこの小幡町通だけ拡張工事が行われたと思われる。
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八幡山城天守の正面に当たる通り
城下町といっても武家屋敷なるものは存在しない。秀次事件の後、豊臣秀吉の命で八幡山城と武家屋敷は破壊された。やがて政庁は彦根(佐和山)に移り、商人だけが残った。
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豊臣秀次時代の家臣団屋敷跡(武家屋敷)発掘調査により
僕は小幡町通に入ると八幡山が間近に見えた。通りの右手にバスも駐車できる広い市営駐車場があった(商家、伴庄右衛門邸跡)。観光客はここから城下町を自由散策するのだろう。
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僕は小幡町通をまっすぐ走り、八幡堀に出た。
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ちょうど八幡堀巡りの観光舟が数人ばかりの客を乗せ、水しぶきを立て八幡堀を周遊していた。僕は堀に沿って進んだ。
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新町濱という船着場があった。かってはここで荷揚げをしていたのだろう。今は観光舟の乗降場となっており、数人の観光客がいた。船着場は階段状になっており、benchがあった。道にはbikeが1台停車し、solo-riderらしき男性がbenchで休憩していた。僕はここで駅構内のseven elevenで購入したおにぎり🍙(lunch)を食べることにした。
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とてもstylishなcoupleが三脚にスマホをsetし、自分たちの後ろ姿をautoshutterで撮影してはchechし、気に入ったシーンが撮れるまで何度も繰り返し撮影していた。たぶんinstagramにでもUPするのだろう。
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八幡堀はよく映画・TV撮影に使われるそうである。ドラマでも京都の名所は頻繁に出る。通りで撮影するには車両・通行人を足止めしなければならない。それを嫌って撮影が夜明けと共に行われることもあるという。その点、撮影所の京都に近く、名所がさほど混雑していない滋賀県ならゆっくり撮影ができるという。
インスタ映え(Instagram)しそうな風景なのにほぼ外国人観光客はいなかった。日本人の家族連れ(観光客)の会話が耳に入った。
「ここで岡田〇〇がロケ(location)をしてたのを見たことあるねん」
「ほんまに?」
「めっちゃ、イケメンやったわ」
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その会話を聞いて僕は意外な場所で撮影していたことを思い出した。
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人の顔を入れたくなかったので昼休時間を狙って撮影、
運良くほぼ人無しで撮影できた
この写真のみ2024.11.12撮影
以前、呉服問屋が並ぶ室町四条(中京区)を歩いていると撮影隊がいた。昨今ではこの界隈にもマンションやホテルが増えた。この通りは集配トラックや通行人も多い。それらが途切れるのを待っているようであった。僕も今のうちにと先に通過することにした。80mほど行ったところで電柱の影に季節はずれのトレンチコートを着た男性が立っていた。男性はうつむき加減だったが、見覚えのある顔だと思った。しかし気にも留めないふりをしてそのまま通り過ぎた。
撮影staffが走る音が聞こえたので僕は振り返った。通行人は皆その場で留め置かれたようだ。
「はい、本番行きま〰︎す」大きな声がした・・・緊張が走る。
「TAKE・・1❗️」カチ(カチンコ🎬board)
トレンチコートを着た男性が歩き出した。急いでいるのか早足である。収録mikeもそれに合わせて移動。camera2台が前後に構える。すると留め置かれたはずの通行人、数人が突然、歩き出した。
『おい! 撮影中だぞ❗️』と心の中で叫んだ。
少し遅れて別な通行人が歩き出した。
『なんだ、extraか⁉️』
トレンチ男はextra(通行人)にぶつからないようにくねくねと通り抜けた(容疑者を尾行するかのように?。但しセリフなし・・・。)
「はい、cut❗️」カチ🎬
監督らしき男性がモニターでそのsceneをcheckし大声で叫んだ。
「はい OK❗️」
わずか1分程度の🎬sceneだった。一発okだったのだろう。
トレンチ男にstaffが駆け寄った。室町通りは解放された。
このトレンチ男は刑事役なのだろう。コロンボ刑事以来の定番の服装だ。京都を舞台にしたサスペンスドラマは数多く放映されるが、半袖姿の刑事を見た記憶が無い。あの銭形警部もしかり、刑事ドラマにトレンチコートは必須itemなのだろう。
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僕はおにぎりの包装プラなどを持参したゴミ入れ用ビニール袋に入れ、backpackにしまい込んだ(ゴミは持ち帰ろう)。
さあ、出発だ! もうsolo riderや観光客の姿はなかった。次は八幡山城だ!
僕は自転車を漕ぎ出した。
chapter 1-3 八幡山城→
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