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直近の医師国家試験 肝胆膵


治療関係 ☆☆☆☆

・胆石合併胆囊癌は腹腔鏡禁忌という問題が2年連続出ています。

114A7
疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。
a 多発肝細胞癌 - 経カテーテル的動脈化学塞栓術〈TACE〉
b 胆石合併胆囊癌 - 腹腔鏡下胆囊摘出術
c 特発性門脈圧亢進症 - 門脈内ステント留置
d 膵管内乳頭粘液性腫瘍 - 膵管ステント留置
e 急性閉塞性化膿性胆管炎 - 胆管切除術

正解はaです。
bは禁忌です。113D13で出ています。
c:特発性門脈圧亢進症は肝内門脈の細い枝の狭窄です。ステントが入る余地はありません。門脈圧亢進症に対する対症療法(静脈瘤の予防や、脾摘の検討)です。
d:IPMNは悪性化のリスクがあれば手術、無ければ経過観察です。また、膵管は狭窄ではなく拡張のためステント留置は誤りです。
e:胆管炎の治療はドレナージが基本です。抗菌薬も用います。

113D13
胆嚢結石に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術の適応禁忌となる併存疾患はどれか。
a 胃癌
b 胆嚢癌
c 胆管結石
d 急性胆嚢炎
e 胆嚢腺筋腫症

正解はbです。上で述べた通りです。

113D10
成人肝移植の適応でないのはどれか。
a Wilson 病
b 多発性肝嚢胞
c 原発性硬化性胆管炎
d C型肝炎ウイルス性肝硬変
e 断酒不能なアルコール性肝硬変

正解はeです。注意点として、「アルコール性肝硬変だから」適応外というわけではなく、あくまでアルコール依存症だから適応外という話です。

☆肝移植の適応除外条件
他の臓器の障害や悪性腫瘍の合併⇨移植してもその臓器の障害で長生きできない
≪注≫肝内胆管癌は胆管上皮の悪性腫瘍です。「他の臓器の悪性腫瘍」のため、移植の適応外です(⇨110E12)
全身性の感染症⇨HCVのような肝のみの感染はOK
アルコール依存症⇨18ヶ月の禁酒が必要です。
・手術に耐えられない場合

112C19
胆道疾患と治療の組合せで正しいのはどれか.2つ選べ。
a 急性胆管炎 - 内視鏡的胆道ドレナージ
b 急性胆囊炎 - 腹腔鏡下胆囊摘出術
c 肝門部胆管癌 - 経皮的胆囊ドレナージ
d 胆囊腺筋腫症 - 内視鏡的十二指腸乳頭切開術
e 先天性胆道拡張症 - 経皮的胆道ドレナージ

正解はabです。
c:肝門部の腫瘍で、胆嚢内に胆汁が鬱滞するという状態にはなりません。
d:胆嚢壁の増生のため、乳頭を切る意味はありません。
e:先天性胆道拡張症は膵胆管合流異常によって起こります。異常な胆管を切除して再建する必要があります。

112D6
ある患者に対して処置を行った後の腹部エックス線写真を別に示す。
この患者の疾患として考えられるのはどれか。
a イレウス
b Crohn 病
c 食道静脈瘤
d 総胆管結石
e 非閉塞性腸管虚血症

正解はdです。管は十二指腸から胆道に入っています。

112F61
52 歳の男性。全身浮腫と夜間の呼吸困難とを主訴に来院した。42 歳時に糖尿病と診断され、インスリンの自己注射を行っている。2 年前から蛋白尿と血清クレアチニンの高値を指摘されている。2 か月前から次第に下腿浮腫が増悪し、3 日前から臥位になると息苦しくなったため受診した。身長 170cm、体重 85kg。脈拍 88/分、整。血圧 190/100mmHg。呼吸数 24/分。全身に浮腫を認める。
血液所見:赤血球 323 万、Hb 9.2g/dL、Ht 28 %、血小板 26 万。
血液生化学所見:総蛋白 6.4g/dL、アルブミン 3.0g/dL、 尿素窒素 88mg/dL、クレアチニン 9.0mg/dL、尿酸 8.6mg/dL、血糖 116mg/dL、HbA1c 6.3 %(基準 4.6~6.2)、Na 141mEq/L、K 5.0mEq/L、Cl 110mEq/L、空腹時 C ペプチド 1.2ng/dL(基準 0.6~2.8)。
この患者が適応にならない治療はどれか。
a 血液透析
b 腹膜透析
c 生体腎移植
d 心停止後献腎移植
e 脳死膵腎同時移植

正解はeです。
・糖尿病性腎症で透析の適応はあります(腹部手術歴もなく腹膜透析も可能)
・腎移植も適応です。
膵移植は1型糖尿病に適応ですが、今回は2型のため適応外です。

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