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現代版 パリ・ロンドン放浪記 Day 3 入国審査編

長蛇の列が入国審査に押し寄せていた。

初めての入国審査。自分の番まであと何人か数え、この順番だったら、あの女性入国審査官かと推測を立てる。

中東系の顔立ちの男性審査官だった。今思えば入国審査官の人種は多種多様だった。中東系もいれば、ヨーロッパ系もいる。アフリカ、アジア系はいなかったかな。

パスポートを渡し本人確認される。本人なのになぜか緊張してしまう。ここから怒涛の質問攻めを喰らう。


審査官「何日滞在するの?」

  私「2ヶ月です。」

審査官「どこに滞在するの?」

  私「イギリス一周します。」

審査官「具体的にはどこ?」

  私「ロンドン、ケンブリッジ、リバプール、マンチェスター とかです。」

審査官「今日はどこに泊まるの?」

  私「ロンドンのロバートの家です。」

審査官「ロバートて誰?」

  私「カウチサーフィンで知り合いました。 ロンドンでのホストです。」

審査官「カウチサーフィンてなに?」

  私「ホームステイのサービスです。」
(カウチサーフィンは現地の方とチャットでやり取りして、彼らの都合が良ければホームステイさせてもらえるサービスです。使ってみてください。)


審査官「所持金は?」

  私「900ポンド(約12万円)です。」

審査官「カード持ってるの?持ってたら見して」と言われたから、作りたてのクレジットカードを見せた。なんかカード番号メモってたように見えたけど、そんなことしていいのか?

審査官「イギリスで何すんの?」

  私「旅です。(そんなこと聞かんでもわかるだろ。)」

審査官「どうやって?」

  私「ヒッチハイクで!」
当初私はヒッチハイクでイギリスを駆け巡ろうと計画を立てていた。

審査官「やめたほうがいい。それはかなり危険だ。連れ去られるかもしれない。」

男性入国審査官が隣に座っていたおばちゃん審査官に話しかける。それを聞いたおばちゃんが私に向かって、「連れ去られて、首切られるよ」と言いながら、自分の手をナイフに見立て、首を切るジェスチャーをした。

真顔で話すからジョークではないと思った。19歳の海外初体験の青年を危険な目に遭わせないために。イギリスは皆んなが思ってるほど平和ではないと。

最後に男性審査官から「困ったら999(イギリスの警察、救急、消防の緊急電話番号)に電話しな」と教えてくれ、私の入国を許可してくれた。

入国するのに約15分かかった。かなり長い方だと思う。恐らく、初海外旅行かつ2ヶ月という長期滞在なのに、予算も少なく、滞在先もロンドンでの最初の1週間しか決まっていなかったからだと思う。

入国審査官の質問攻めを耐え、見事入国を許された私は1日目のホストであるロバートとの待ち合わせ場所である第2ターミナルへ向かう。

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