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知るということは、自分が変わること。

養老孟司さん の「ことば」

 『バカの壁』などの著書で知られる養老孟司さんは、様々なところで教育についても語っています。『養老孟司の“逆さメガネ” 」(2003、PHP新書)の中でも、次のように述べています。

 どうことかというと、「あなたガンですよ」といわれて、自分の寿命があと三カ月しかないということを、本当に納得したとき、いま咲いている桜が違って見えるわけです。来年の桜はもはやない。ところが桜自体は同じ桜です。その桜が違って見えるのは、どういうわけかというなら、自分が変わったということです。同じ桜なんだから。
 知るということは、本質としての自分も変わるということです。それを大げさに表現するなら、自分が別人になる。

『養老孟司の“逆さメガネ” 」(2003、PHP新書)

 それまで知らなかったことを知るということで、自分自身の何かが変わる。例に挙げられたような大きな話でなくても、身の回りでちょっとした”何か”を知った時、私たちはきっと何かを変えながら暮らしているはずです。
 その真逆の話として、今の世の中はコンピュータやスマートフォンが普及しすぎていて、何事も「情報」と捉えてしまう風潮があります。「検索すれば載っている」、「写真を持っている」、「フォローしている」などなど、ネット上の仮押さえみたいな関係で『知ったつもり』になっている世の中ですよね。だからこそ、新しい何かを知った時にも、自分を変えられない人たちが増えているといいます。まるで、「自分は自分だから突き通したい!」と頑固に振舞っているかのように変化を拒むのは、成長を止めてしまうことにもつながりかねません。

新入生は「知る」ことばかり

 さて、今日から始まる新入生オリエンテーションでは、新しいことを伝えられて知ることばかりになると思います。ルール的なこと、考え方、仕組み、流れ、などなど、学校生活を実りあるものにするために、大切な話が次々と伝えられますので、真剣に聞いて心に入れて欲しいと願っています。
 もちろん、皆さんにはその一つひとつを素直に受け止め、良い方向に変えていく力があるものと期待しています。ただし、『聞いたら、人は変わる。』という訳ではないので、要注意!あくまでも、知ったこと・聞いたことをしっかりと受け止めて心に入れて、自分のものにするからこそ、人は変わるのだと思います。サラッと受け流して3日間が終わってしまうことがないように、皆さんなりに最大限深く考えてみて欲しいです。

彼を知り己を知れば百戦殆うからず

 これは、中国の兵法書「孫子(そんし)」の一節にあるものです。
 兵法書=つまり、兵士の戦い方を説いている書物ですので、『敵と味方の実情を熟知していれば、百回戦っても負けることはない。』などという意味とされています。

 これを私たちの生活に置き換えると、『相手をよく知って、自分をよく知っていれば、全てのことはうまくいく!』と訳せるように思います。「彼」は、人とは限らない。「学校」も「社会」も「世の中」も、ある意味では「彼」。「友達」も「家族」も「恋人」も「嫌いなアイツ」だって、「彼」。学校のことをよく知り、自分をよく知っていけば、学校生活はきっとうまくいくはずですよね。世の中のルール・マナー・モラルを知って、自分の特徴をよく理解していれば、きっと社会でもうまくやっていけるはずですよね。

 先日、皆さんに取り組んでもらった【R-CAP】も、自分を知る一つの手段だといえます。だからこそ、来月結果が戻ってきてから、じっくり見直して適性を知ることで、学校生活も将来もうまくいくキッカケにしていけるはずです。大事ですよ、自己分析と自己理解。


Thank you!!