進化というか 変化というか 飽きたら終わりだと思っている。
ダンサー・yurinasiaさんの「ことば」
今回は「ことば」というよりも、むしろ単純に動きを見てもらった方が、シンプルに伝わるような気もします。
前回の終わりにサラッと紹介した通り、私がこのyurinasiaさんの存在を知ったのは、ひょんなキッカケで紹介された優里さんというアーティストのMV(またミュージックビデオに心打たれるの巻)でした。若い人たちにはわりと知られている優里さんというシンガーソングライターで、新宿辺りで弾き語りをしている動画も多々upしているようです。
当初、紹介された曲は「ドライフラワー」という失恋にまつわる作品だったのですが、曲を聴いてみて『イイなぁ…。』と思い、いつもの如く色々と調べ始まったわけです。その「ドライフラワー」は、去年インディーズ時代に配信していた「かくれんぼ」という曲に登場する”彼女”のその後を描いた物語だということ、そして優里さん自身がまだ世に出て本当に間もないアーティストだということも分かってきました。1年ちょっと前まではただただ路上ライブをしていた優里さんでしたが、偶然にもカバーで歌っていた曲のアーティストご本人(MY FIRST STORYというバンドのボーカルHiroさん)が目の前に現れ、曲の2番から歌ってくれるという奇跡的な出来事に恵まれたそうです。そして2ヶ月後には、そのMY FIRST STORYの全国ツアー最終公演となるさいたまスーパーアリーナで歌うという、わりと驚きのサクセスストーリーを歩んでいる人のようです。
そんな彼が、8月にメジャーデビューシングルとして配信した「ピーターパン」というこの曲を初めて聴いた時、曲はもちろんなのですが、それ以上に目を引いたのがMVに登場するダンサー・yurinasiaさんだったわけです。私は、ダンスについて語れるようなことは一切なく、むしろ人並み以上に踊るセンスの欠片もない人間です。余談ですが、子どもの頃から身体もかたくて立位体前屈で0cmより先に行ったことはありません。
さて、そんな優里さんの楽曲「ピーターパン」のMVを観てもらったら分かる通り、このダンサー・yurinasiaさんは中性的な雰囲気が漂う若い女性です。単純に、率直に、MVを観てただただ勇気が湧いてきた、というのが最初の印象です。何度か観るうちに、特に『リズムに合わせた動きでこんなに心を動かせるなんて、表現力がズバ抜けている人なんだろうなぁ…。』と興味を持つようになりました。
気になって色々調べたところ、現在は福岡県でダンススクールの先生をしていて、既にご結婚もされていてお子さんもお二人いるそうです。インターネット上でも注目されていて、テレビ番組でのインタビューも掲載されていました。その中で、彼女が何気なく話していたこと。
進化というか 変化というか 飽きたら終わりだと思っている。
(yurinasiaさん)
現在は、仕事としてダンスに携わっているわけですが、そもそも彼女はダンスを好きでやっている人です。数々のコンテストやコンクールで活躍していて周囲から高い評価を得ても、彼女自身が好きなダンスに対して常に抱いているのは向上心なのだということが、すごく伝わってくる話でした。
今、部活動や趣味で自分の好きなことに夢中になっている人も多くいる1年生の皆さんですが、部活動という集団やチームの中にいると、ついつい周囲との関係や雰囲気についていくことに必死で、この純粋な想いを見失ってしまいそうになることもあるんじゃないでしょうか。『試合に出たい!』とか『メンバーに選ばれたい!』とか『活躍したい!』という想いが先行してしまうと、いつの間にか部活動が苦しい時間になっていた…なんて話も、よく聞くものです。
でも、絶対に忘れて欲しくないのは、”好きでやっている”ということです。コレがなくなってしまうと、モチベーションが続かなくなってしまいます。その業界で活躍するyurinasiaさんのような人でさえ、いくらダンスがうまくなっても常に進化や変化を求めてチャレンジしているし、その自分が変わりゆくことに楽しみや喜びを得て、ますますダンスが好きになっているのです。”飽きたら終わり”、それくらい割り切って、目の前にある自分の好きなことに没頭できているのは、かっこいいなぁと改めて思わされました。
表現力が大切な時代
授業の中にダンスが取り入れられるようになったのは、子どもたちに表現力を磨いて欲しいという国の方針が示されたからです。それほどまでに表現力、特に身体表現を通した自己表現の力が求められる時代になっています。
想いや気持ちや考えを、自分の身体を動かすことで伝えるという行為が、ダンスですよね。”好き”な気持ちと”嫌い”な気持ちを相手にそれぞれ伝えようとしたら、どんな風に身体を動かせば伝わるのだろう?頭や手足の動きだけでなく、顔の表情もダンスです。つまり、相手に伝える方法という意味では、コミュニケーションの一つだと言えますね。
コンピュータが発展し、一人ひとりがスマホという便利な機器を持ち、インターネット環境が世界中に整えられる時代。更に今後は、AIが発展していくことで、むしろ人間が非効率的に同じミスを繰り返して遠回りするような作業は減らされていき、何事もスピーディーに効率的に進められようとする世界になっていくかも知れません。でも、AIにできなくて人間にできることもあるんじゃないでしょうか?
そういう世の中について、表現力をテーマにしてyurinasiaさんを紹介した記事があります。
自己表現に必要なのは、まずは自分を理解すること。確かに、そうですね。ダンスに限った話ではなく、相手とのコミュニケーションをとる上で、まずは自分自身のことをよく理解することが大切ですよね。声の大きさや表情、タイミングや身振り手振りなど、自分がとる表現方法を知ることも一つでしょう。でも、それ以上に知るべきなのは、自分自身のこころ、気持ちです。
『何を表現したらイイのか分からない。』という人、いませんか?ただただ”そこにいる”だけになっている人、いませんか?多感な年代の人たちだからこそ、世の中にある色々なヒトやモノやコトに出会って向き合うことで、自分なりの感じ方や受け止め方を知り、それを「ことば」や想いとして表現すべきだと思います。受け身ばかりにならないように、どんどん”好き”も”嫌い”も感じながら、表現できる人になって欲しいと願っています。