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メタ認知力を高めるために1日を3回生きる

 マネジメントにおいてメタ認知は何より重要です。マネジメントは人を動かすために、自分が何を言うのかではなく、相手に何が伝わるのかを考えます。常に相手の心象風景をイメージし、そこに影響するために自身の言動を最適化します。今回はメタ認知力を高める方法について考えます。




メタ認知力

 メタ認知とは、自分の言動を客観的に認知し、制御すること。自分の振る舞いを、上空からもう一人の自分が見ているようなそんなイメージです。

 人によってはストレートに伝えることが行動を起こしてもらう最適解になるかもしれませんし、複数の論点を伝え考えてもらう必要がある人もいるかもしれません。多様な個性を認め、個々人の意欲を引き出すためには、全員に同じ内容を同じように伝えていては、なかなかチームがまとまりません。同じ伝え方でも人によって受け止め方が異なり、その反応も様々なので、相手に合わせた対話をしていく必要があります。

 最適なコミュニケーションを取るために、メタ認知力を高めるにはどうしたらいいのか?2つのポイントについて紹介します。


ミラーニューロン

 ミラーニューロンというのは、他人の行動を観察することで、自分も同じ行動をしているかのように神経が反応する事象を言います。子供が親の真似をして学んだり、アスリートや役者の模倣学習はよく知られています。アーティストのダンス動画を見ていると、無意識に体が動いたり、自分も踊れるような気になる経験がありませんか?
 ミラーニューロンは行動だけでなく、感情にも影響します。行動に連動する神経と同時に、感情に連動する扁桃体も活性化させることが確認されており、共感の神経的基盤になっていると考えられています。

 目には見えない相手の思考や感情を想像するために、相手のことをよく観察し、ミラーニューロンを働かせ、共感することからメタ認知は始まります。


リフレクション

 リフレクション(反映)とは、自分の行動や考えを振り返ることを言います。自己認識の客観的な把握や言動の調整機能に有効です。このリフレクションを日常に組み込むことはメタ認知力を高めるのに非常に効果的で、今回は「1日を3回生きる」方法をご紹介します。

 まず、毎朝、会社への出勤時にスマホのカレンダーアプリで1日のスケジュールを眺めながら、今日1日をどう過ごすかシュミレーションします。会議のアジェンダを確認し、誰にどういうコメントをするか、相手のリアクションを想像します。
 例えば、うまくいっていないプロジェクトに関する会議で、現状突破のアドバイスをして、君ならできる!と鼓舞するとか、営業会議でパフォーマンスが出ている部署を褒めちぎるとか、逆に稼働が停滞している部署にプレッシャーを感じさせるとか。それにより会議後に行動の変化を生み出せるようにします。

 出社したらカレンダー通りにスケジュールをこなします。朝のシュミレーション通りに進むものもあるでしょうし、想定外の展開になるかもしれません。

 1日が終わり帰宅の途中に、今度は今日のスケジュールを振り返りながら、ポジティブフィードバックで表情も明るくモチベーションが上がっていたなとか、ちょっと言い過ぎたとか、メンバーに自分がどう映っていたのか、朝のシュミレーションの答え合わせをしていきます。

 このように出勤時〜業務時間〜帰宅の途中と1日を3回生きる=リフレクションにより自分の日々の言動を予習復習をすることで、自身の言動を客観的に捉え、メンバーへの影響について考えるのです。


 マネジメントはメンバーに行動してもらうために、言動によって作用する仕事です。メンバーのことをよく観察し、共感することで心象風景を想像し、どういう言動を起こしたら、どういう気持ちになり、行動に発展するのか?それを常に考える必要があります。最適な言動を目指しますが、必ずしもうまくはいきません。それを振り返り、修正し、再チャレンジすることで有効な言動ができるよう学習していきます。こうした日々の取り組みによってメタ認知を高めていきます。ぜひ、試してみてください。


新人マネージャー竜野が思うこと
 生来持ち合わせている共感性を、感覚的でなく、意図的に活用するにはどうしたらいいだろうと思っていました。方法論があると知れたことで少し動きやすくなりました。

 メンバーにどう行動してほしいか考えて予めシミュレーション、つまりは疑似体験をしておくだけでも、実際のコミュニケーションの場を客観視しやすくなる気がします。疑似体験と実体験との差分に気付くことを「リフレクション」ととらえると、予定しているあらゆるコミュニケーションの場でリフレクションを試みることができそうです。

 これを繰り返すことで、メンバーの人となりに関する情報が増えて、シミュレーションの精度が上がるのは想像に難くありません。チームの成果最大化に向けて、自分の言動を調整するための指針を得られるよう、リフレクションを癖付けたいと思います。


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