地方でも交流は止まらない~長野県生徒会交流会~
学校間交流の東京一極集中が進むいま、長野で活発な交流を続けている団体がある。今回はそんな長野県生徒会交流会の活動を長野県生徒会交流会事務局長・兵藤和真さん(松本県ケ丘高)に伺った。
長野県生徒会交流会は、その名の通り長野県下の高校の生徒会の交流会である。2016年に始まった中信地区(松本周辺)の交流会に端を発し、2020年からは長野全域に広げた交流会を年に一度開催している。
交流会
直近で開催した、2月26日の交流会について話を伺った。35人が対面で参加したほか30人がオンラインで参加し(総勢20校)、文化祭、校則、生徒会活動での困りごと、全校生徒への発信の4テーマに分かれ、議論を交わした。
文化祭での状況は?
文化祭関係で今年特に上がったのは飲食関係の話だ。新型コロナウイルス感染症の流行で飲食物の提供が制限されたことについて、各校の状況、方針が交換された。
「県というちょうどよい近さの枠でで得る情報は、例えば東京の私立一貫校とかでの話よりも生かしやすいのが、メリットです。」兵藤さんは言う。似た環境にある他校の例が、それぞれの学校の問題解決に直接的に生きているのだ。
校則のあれこれ
「長野県下の高校では制服のない高校が多く、交流会に参加した高校の中では半分以上が私服です。」そんな長野での服装に関するルールについて聞いた。
「服装規定として、『高校生らしいもの』や、『華美でないもの』といったような、漠然としたものがある学校が多く、運用上の不公平を生んでいます。具体的にどこまでが良くてどこからがダメなのか、明確なルールメイキングが必要だ、という意見が多いです。」「らしさ」とは何か。しかし、具体的な線引きに難航している学校も少なくないそうだ。
役員以外の生徒とのかかわりについて
「生徒会が何をやってるのか、知ってもらう場が少ないのが問題です。××しました、という活動報告のみならず、なぜそれをやるのか、それをしてどうしたいのかという目的まで併せて発信していく必要があります。企画が単発的になって、終わったらすぐ忘れられるということのない広報について議論しました。」また同時に、役員でない生徒の参加できる生徒会についても議論が交わされた。「役員じゃない生徒が企画(「●●してほしい、という意見を寄せるにとどまらず、具体的な企画まで)を提案できる枠組みを導入した学校もありました。」
三大都市圏以外で活発な交流を実現できている例はまれである。オンラインで全国規模の交流もできる中、あえて地域・県単位の活動をすることで得られるものは何か。
「学校間交流というと、レベル的に近いところであったり、立地的に近いところであったりで固まることが多いです。県という枠で、ある程度環境的に近い人でありながら、そういった壁を突破して議論を交わすことができる、ということが最大のメリットだと思います。似たような環境、『ちょうどよい近さ』だからこそ自分たちの活動にすぐ生かせるような情報を得られるのです。」
長期にわたって持続するわけは何か?
ー兵藤さんは各校での丁寧な引き継ぎと積極的な広報を挙げた。「最初高校で生徒会に入った時、相当細かい引継ぎ資料をもらいました。それだけでなく、開催前には県下の高校に招待のFAXを送っています。ちゃんと交流会の存在を、アピールしなくてはいけませんからね。」
さいごに兵藤さんから、地方で活動する生徒会役員の皆さんにメッセージを頂いた。
「他校と交流したいなあで終わりにせず、ぜひ自分から飛び出していってほしいと思います。」
【文】桃井晴崇(生徒会活動振興会 編集長)