【選評】第4回青春短歌甲子園
募集期間 2020年9月16日~2020年10月15日
応募総数 118人335首
1位 蛾子
ふたりだけ蛙の腹を切り開き続ける第二校舎が火事です
永遠と永遠の間にある濃密な生。燃えさかる炎でさえも、二人の世界を邪魔することはできません。火の手はもう、理科準備室まで迫っていそうです。焼け落ちる人体模型。割れるビーカー。それでも二人が解剖の手を止めることはありません。今大会でも群を抜いていた、鬼気迫る一首です。
2位 こーひー
銀杏を避けて通れば袖口はかすかに君とキスをしていた
微妙な距離感からの急接近。情景が静止画ではなく動画で再生される体験を読者の皆さんもされたのではないでしょうか。袖振り合うも多生の縁。才子才媛は、袖が触れ合うだけでも前世からの縁を感じることができるのです。記事の公開日に季節感を合わせてくれた配慮にも頭が下がります。
3位 こじか
学校に行きたくないと思う日を狙ってバスは定刻に来る
学校が楽しくて仕方ない子たちと、学校に行けなくなった子たち。その間の学校に行きたくない子たちは存在をなかったことにされがちです。バスが1分でも遅く着いてほしい。校門が見えると、胃が痛くなってくるかもしれません。それでも学校に行き続けた勇者たちに銅メダルを贈ります。
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19,889字
¥ 500
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