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日本の男尊女卑についての考察㉟(古事記⑥ニニギ降臨外伝②実際は?)

これまで読んでいただきまして
とても感謝しております。
早速、お話を始めさせて
頂きたいと思います。

前回は、邇邇芸ニニギの命により
天津神である天宇受売アメノウズメ
国津神である猨田毘古サルタヒコ
共に伊勢に参り、
サルタヒコの名を
アメノウズメが
代々繋げていくように
という話でした。

考察では、
そういう格差のある
二柱の神が夫婦になったのか?
というところに疑問を持った。
という風に締めくくって
いました。

まずは、このエピソードから
お話をさせて頂きます。

伊勢湾では、サルタヒコの
呼びかけにより、色々な
海の生き物が集められていました。

アメノウズメはその生き物に
話しかけます。
「これより、伊勢の地に
天津神の長である。
アマテラス様を奉ります。
豪奢な宮を建て、永劫に
その宮に座して頂くために、
其方達そなたたちからの幾つかを
そして、
其方達そなたたちの子々孫々から
幾つかの供物を
我らに捧げて頂きます。
それに異議はございますか?」

海の生き物達は
「異議はございませぬ。」
とそれぞれに答えました。

しかし、異議があるとも
ないとも答えない生き物が
一つありました。

アメノウズメはその生き物に
近づき手に取り
「何も答えられない口は
この口か!」
怒りに満ちた言葉を口ずさみ
その生き物の口を
細小刀で裂いてしまいました。

その口を裂かれた生き物は
海鼠なまこでした。

このことから、
猿女の君として
代々海産物を
分け与えられています。

そして、
海鼠は今も口が左右に
大きく裂けている理由を示す
エピソードとして古事記に
記されています。

そして、もう一つの
エピソード

同じく、伊勢湾でのお話
漁に勤しむサルタヒコ
そこで見つけた
大きな、ひらぶ貝
(一説にはシャコ貝?)
に手を挟まれ、そのまま海に
引きずり込まれ
沈んでいきました。

そして、溺れていく
サルタヒコ
海の底にサルタヒコが
着いた時に
そこどく御魂みたまとなり
泡が起こると 
つぶたつ御魂みたまとなり、
そして、その泡がはじけると
あわさく御魂みたまとなりました。

と古事記に記されています。
死んだとは書かれていませんが
海の底に着いて
魂となってますね。

この二つの物語が
サルタヒコ・アメノウズメが
古事記に登場する物語です。

この二つの物語を
考察していけば
二人の立ち位置が
見えてくると思います。

まずは二人の立場からの
おさらいです。

アメノウズメは天津神
サルタヒコは国津神

古事記ではサルタヒコと
アメノウズメは結婚をしたかの
描写になっていましたが、

おそらくはこの二人
本来は対立関係にあったと
推察できます。

国を天津神に譲られる
前の立場として
サルタヒコは
伊勢・阿謝加を統べる神であり
王であったと言えるでしょう。

そして、アメノウズメは
アマテラスがスサノオと
いさかう頃からの旧臣で天津神を
代表とする女神です。

おそらく、ニニギが
伊勢に戻るサルタヒコに対して
警戒をしたための目付け役が
アメノウズメで、サルタヒコの
名跡を継がせたのは
サルタヒコにとって変わって
伊勢を治めよという示唆が
見え隠れしています。

そして、最初のエピソードは
それまでサルタヒコが率いて
いた領民の代表、
多くは権力のある
漁師といったイメージが
しっくりきますね。

その代表達を集めて
天津神代表アメノウズメが
これより先は獲れた海産物
の分前をよこせとその代表達
に説明している様子が伺えます。

まるで、土地開発業者が
住民代表説明会を
開催する場面で、
これからはこうなります。
と住民代表達に
理解を得ようとしている
女性支社長ウズメ
といった感じを
想像していただけると
ちょうど良いかもしれません。

当然賛同できない住民代表も
出てくるでしょうね。
それを強引に揉み消す
といった感じの
敏腕女支店長ウズメ
といったところでしょうか。

それが海鼠のエピソードに
込められていると推察できます。

確かにサルタヒコと
アメノウズメが契りを交わした
というエピソードは古事記には
記されていません。

あくまでもアメノウズメが
これより先は猿女の君として
名跡を引き継いでいけと
言える描写に留まっていました。

そしてサルタヒコは
漁の最中に溺れたと記されています。
その溺れた様子も割と詳しく
描かれていますが、
助かったとも書かれていませんし
その後 古事記の中に
登場もしませんが

海の底を黄泉の国に近い場所
という描写は多く描かれます。
つまり、溺れ死んだと
推察できます。

そして、それからの
サルタヒコを別の視点で
追っていくと
一説には荒ぶる神として
扱われています。

現在の松坂ある阿謝加あざか神社
には、底どく神として
祀られているサルタヒコが
見受けられます。

島根の佐田神社の神事にも
暗闇中で行う神迎えという
行事があります。
拝殿や神殿の奥にある森が
異様な雰囲気を
醸し出しています。

サルタヒコとして扱う
側面もありますし
神道において御魂を
扱う時暗闇で行う
という形式や
描写、色々な要素を含めて
見ても、やはり
サルタヒコの荒ぶる神への
変化が見て取れますし

色々な文献に出てくる
サルタヒコは自らを
鬼とも荒ぶる神とも
魂魄を統率するものとも
具体的に
一日に五百の命を奪うもの
という表現をしている
文献も実際に残っています。

やはり、サルタヒコの
底どく御魂だけが後世に伝わり
つぶたつ御魂、泡さく御魂は
歴史に埋没されて忘れ去られて
いる理由としては、
祟り神となった
サルタヒコがあまりにも
異彩を放っているから
と言わざるを得ません。

アメノウズメは
猿女の君として
現在も子々孫々と
活躍を見せているのも
非常に対照的に
見えないでしょうか?

ここまでが、
考察を重ねた
サルタヒコと
アメノウズメの
本来の姿なのだと思います。

次回は、古事記⑦
神武即位までの道のり①
というお話を始めたいと
思います。

ここまで読んでいただけて
とても嬉しく思います。
次回もぜひお楽しみください。

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