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桜桃

きっと泣きながら呻いているのが性に合ってた。
喘ぎながら天井のしみを数える、噛み潰していくプラムの朱色、眩むのは潮。ママ似の顔で生まれればバカのままでも笑えてたと思う、でもまぁそんなこと無理だったから、私は今日も朱に交わって赤くなる。こんなんじゃ特別になんてなれないけれど、わかってるけど、まだこうやって揺れていたい。いつだってもらえなかった可愛いがほしいだけ、それだけ。無条件に大好きなんて無理だと思うよ、だから渡せるものをあげるだけ。なのにグチャグチャと音を立てて潰されていく、これはさくらんぼだったかもしれない。痛みを殺すことばかり得意になった、言葉が上手く使えない、小さな不幸も飲み込めないから、全部忘れるのが楽だった。

いくよいくよって男が畝る。いいよいいよ、なんだって受動態が好き。この人はどこへいけるんだろう、行き場のない私の朱色は部屋中を満たして広がっていく。いいよいいよもういいよ、溶け出す、天井のしみのひとつになって、私が私をそこから見てる。でも嘘だよそんなの、真っ赤な口を裂いて叫び声が降ってくる、いかないでおいていかないで、ずっと私のそばにいて。 言わない。ビデオみたいな大声でかき消す、わたしはどんどんグチャグチャになる、あーあーあーあー、バカみたい、バカだけど、だって言ったら終わりだもん、他のやり方わからなかった、ごめん。泣き出した朱色が滴り落ちる、いいよいいよいっていいよ、さくらんぼがぼとり、腐っていく。

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