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フィリピン留学記㉜ダバオいいぞ
縁というのは不思議なもので、突然点と点が繋がったりする。
上海の高校の数学教師がフィリピン出身だということを思い出し、連絡してみるとフィリピンのダバオ出身だということを知り、実際に会いに行くことにした。
ダバオとはフィリピンのミンダナオ島に位置する都市で、去年東南アジアで3番目に安全な都市としてランクされている。そんなダバオで過ごした旅の記録をここに記したい。
RoxasNightMarket
ダバオシティで毎晩開催されている夜市。立ち並ぶ屋台には鶏肉、揚げ物、海鮮の串が光に照らされている。少し奥に行くとおじさん2人組にマッサージをしないかと誘われた、どうやら屋台でマッサージのサービスを行っているようだ。
上の服を脱がされプラスチックの椅子に逆向きで座り、背中に油を塗りたくられ、ひたすら揉みほぐされた。
120ペソで20分悪くない値段だ。値段相応でさほど体が軽くなった感覚もない。
友人は店の近くのヘナタトゥー屋で、ボブマーリーに似た彫り士の方に「愛」という漢字を肩に入れてもらっていた。
おそらく初めて注文されたその漢字は複雑だったのか、縦に長い形をしていた。
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MalagosGardenResort
ダバオのマラゴスという街にあるリゾートに訪れた。家族連れでバカンスに来たお客さんで賑わっている。中にはチョコレートファクトリーがあり、チョコの製造工程などを展示した博物館らしき場所もあった。
リゾートには動物と触れ合える農場があり、馬、ヤギ、牛などの牧畜動物がのどかに過ごしていた。
アヒルの群れを見つけ、友人は一匹のアヒルを抱え上げた。すると短い両足をじたばたさせ、逃げ出そうともがきだした。しまいには防衛本能なのか糞を吹き出し、友人を驚かせた。投げ出されたアヒルは自由を手にし、白い羽をはためかせ緩やかに着地した。そして、何もなかったかのように仲間たちと再び餌をつつき出した。
もし自分に捕まるようなピンチが訪れたときはこのアヒルを見習うことにした。
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SamalIsland
ダバオから10分のフェリーでつく孤島。島内は毎週末ダバオからの観光客でにぎわっている。
島は広いので、緊張するが初めて原付を借りて島の中を走り回ることに。実際、事故を起こしかけたのは私がUターンした際に山に突っ込んでしまったことと、街中でおばあちゃんをひき掛けてしまったことぐらいなので、四捨五入すれば相当安全である。
夜にゲストハウスのオーナーからパーティーが開催されていることを耳にし向かってみた。到着するとそこには永遠と泡が噴き出す装置、流行りのポップミュージックしか流さないDJと、家族で旅行に来ている団体客がいた。
私は雰囲気に馴染めず後ろの方で様子を伺っていたのだが、友人は「インスタ交換してくるわ」といい泡の中へ突入した。団体客2組の間に挟まれ、孤独に踊り、徐々に泡まみれになる友人を遠くの方で眺めていた。
踊り疲れて帰ってきた彼は羊のショーンみたいだった。
少しの淡い期待も、泡と共に洗い落として共に帰宅した。
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先生
高校の頃の数学教師で、彼の生い立ちについては何も知らなかった。4年ぶりに話した彼は家と、車を持っていたし、家族と楽しく暮らしていた。
もともと英語を流暢に使いこなしていたため、フィリピンで恵まれた環境で生活してきたのかなと勝手に予想していた。
ある日ドライブをしていると、海岸沿いにあったスラム街を横切った時、先生が懐かしそうに
「僕の出身はあそこだよ。」と言った。
そうか、また私は色眼鏡をかけていたのだ。英語も喋れて、上海のインターナショナルスクールで働き、家も車もある人を私は勝手に生まれ持ったものだと決めつけていた。いつも笑顔の先生の奥には想像を絶するほどの葛藤や苦悩それから努力があったのかもしれない。
それに比べて自分は生まれ持った才能や環境を言い訳に使い、逃げてきた人生だなと改めて反省した。
何も知らない自分はまだまだ井の中の蛙だし、天の高さを教えてくれた先生には感謝しかない。環境のせいにせず、とりあえず今は自分に矢印を向けよう。