この売上で? と自分につっこみながら合同会社を作る話 その12

連載第12話 会社ができた……。感慨に浸るまもなく、税務署へ。

法務局に登記申請に行ってから8日後。
申請した自分の会社の名前が、法務局のサイトに載っていました。ごく当たり前のように。
(……ある)
とうとうとか、作ったんだ、という感慨は、不思議とわいて来ませんでした。まるで最初からそこにあったかのように、社名が載っていたのです。

なんとなく実感がないまま、この8日間の間に準備していた書類をまとめ、9日目の朝、再び法務局を訪れました。履歴事項全部証明書の取得と印鑑カードを作って登録するためです。郵送でも申請できるとのことでしたが、せっかくなので手順はできるだけ対面でしておきたかったのでした。
手続きは前回同様、短時間で済みました。出してもらった証明書を手に、窓口の職員さんに「これ、何に使うんですか?」と訊いて苦笑させてしまいました。会社設立freeeの指示するままに取得したのですが、なぜ必要かまったくわかっていなかったのです。

さて、これでひとまずは良いはず……と思ったのですが、自分でも予想外の行動をその後とってしまいました。その足で地元の税務署に向かったのです。
当然税務署にも書類を提出しなければいけないのはわかっていたんですが、まだ後でいいやと思って家を出たので、そそくさと向かっている自分がどこか不思議でした。

ただ、行くならきちんと時間をとって、じっくり相談したいなとは思っていたのです。
個人事業主として毎年確定申告はしていても、法人の場合の決算とか申告をどうすればいいのか、全くわかっていませんでした。それを赴いて直接訊くつもりだったので、やる気になっているタイミングのいまが好機ではあったのです。

税務署を訪れてまず最初に訊いたのは、「個人事業から法人成りをしたんですが、どういった税務処理をしたらいいのかわからないので教えてください」と、中学生レベルの質問でした。それでも職員の方は嫌な顔ひとつせず教えてくれました。
ここで主に聞いたことは
・法人は個人事業と違って、細かな帳簿をつけることが要求される
・自分で決めた決算日から二ヶ月以内に決算報告をする
・申告は通常、複数年度の赤字と黒字を相殺できる青色申告で行われる

そう説明を受けた後、その場で法人設立届出書を書きました。freeeだと雛形にあらかた入力されている書類をダウンロードすれば済むのですが、税務署さんに来ているので、複写式の用紙に手書き。一枚目が税務署さん用、二枚目が都税事務所へ送るもの、三枚目が市町村の法人税課宛、四枚目が自分の控えです。それに消費税を半年ごとに申告しますといった書類と定款を添えて提出するのですが、定款は持っていなかったため後日郵送。同時に個人事業の廃止届けも書き、個人印を押して提出。めでたく個人→法人の切り替えができたのです。

ちなみに私の場合、法人設立日が6月1日と、ちょうど一年間の半分のところで切り替えたので、個人事業としての確定申告は5月31日までのぶんを来年の3月15日までに確定申告で、法人としての申告は6月1日から来年5月31日までのぶんを来年7月31日までに青色申告する、という形になるそうです。

税務署から帰ったあと、都税事務所と市の法人税課に、届出書に履歴事項全部証明書のコピーを添えて郵送。三ヶ所に送ると、ずいぶんとすっきりした気になりました。

ああ、これから本当に会社を経営していくんだ……と実感がわいたのが、このときだったかもしれません。

(次回note13「初めての帳簿」へ続く)

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