この売上で? と自分につっこみながら合同会社を作る話 その14

第14話 法人口座を申し込みました。

関係各所に書類を提出し終えて、税務処理の目鼻もつきました。次にやることといえば、金融機関で法人口座を作ることです。
実は個人事業主のときから生活費とは別に、事業用の口座を作ってそこから支払いをしたり印税の受け取りをしていたのですが、いよいよ法人用に口座を作るときが来ました。
別になくてもいいらしいのですが、やはり振り込み口座名は会社名にしたいし、金融機関や顧客からの信用度も違います。
というわけで、個人で事業用口座を作っていた地元の金融機関で、法人用も作ることにしました。

まず電話で用件を告げ、申し込みに必要なものを訊いて、訪問のアポイントをとりました。持っていくものは、履歴事項全部証明書と免許証くらいでした。会社実印はこの時点では要りません。
約束の時間に金融機関へ趣き、来意を告げると、窓口カウンターの一番端、パーティションで他とは隔てられた席へ案内されました。そこで担当の方と持参した書類や免許証を見せながらいろいろと話しました。それであらかた済むのかと思いきや、本番はこの後だったのです。

「ではこの登記されている住所で実際に事業が行われているか、別の担当が伺いいします。ご都合はいつがよろしいですか?」

僕の場合は自分の住んでいるところを登記の住所にしていて、幸い金融機関とは歩いていける距離だったので、「じゃあ自宅にいるのでこの後いつでもどうぞ」と言えたのですが、バーチャルオフィスにしている人はこの時点でアウトだな、と思いました。僕自身も都内一等地の住所だけを借りようと思っていたときがあったので、正直危なかったです。事業の実態がある、ないという点について、金融機関は非常にシビアだな、と思いました。

さて、その夕方担当の方が自室兼仕事場にいらっしゃいました。

仕事場といっても、部屋の一部。机を作業台にしてファイルを置いているだけで気恥ずかしかったのですが、担当者さんは特に気にする様子もなかったです。
事業を行っている明かしとして、つい先日まで営んでいた個人事業の確定申告の控え、個人事業の廃業届け、法人設立届をお渡ししました。その他、あらかじめ立ち上げていたパソコンで運営しているサイト、ツイッターのプロフィールページから飛べるAmazon著者セントラルのページ、最近つけ始めた会計処理ブラウザの取引一覧などをお見せしました。

「ちゃんと事業を行ってらっしゃるようですね」
やはりペーパーカンパニーには警戒しているのだろうなと思いました。

警戒するといえば、「海外との取引はありませんか? 特に北○鮮に関係する口座などは?」と訊かれました。
それについては通帳を見せるまでもなく、これまでの個人事業用口座の取引明細を調べてもらえばわかります。あとは、反社会的勢力との関わりはありませんか? といったことを訊かれました。

ひと通り説明が終わるとくだけた雰囲気になって、法人口座を作った後のダイレクトバンキングの話や法人用クレジットカードなどの話になりました。カードはすぐに申請するのではなく、ある程度実績を作ってからのほうがいいそうです。
「法人になると、いろいろと税率の面で得することがありますよ」と、担当者さんはにこやかに語ってくれました。
こうした対面での打ち合わせを金融機関は重視するのだな、というのが受けた印象です。

法人口座がえきるのは申し込んでからだいたい二週間ぐらいと聞いていたのですが、ご担当さんは「私が良いと思えばもっと早くできますよ」とのこと。
その言葉通り、9日後には電話が掛かってきました。

(続く)


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