毎日の習慣「歯磨き」って、実はとっても奥が深い!
毎日使う歯ブラシですが、今の形になるまでの歴史をたどってみましょう。
歯周病や虫歯は、今も昔も変わらずにあったようですね。
歯の博物館(神奈川県横浜市)館長の大野粛英(おおのとしひで)さんから歯磨きの歴史や歯にまつわるお話より
日本人はいつから歯磨きを始めたの?
大野館長:実は、歯を磨くという習慣は、インドが始まりなんです。最初に“歯磨き”を提唱したのはお釈迦様。
修行の最中に、弟子の口がとても臭いことが気になったお釈迦様が、戒律のひとつとして、口の中をきれいにすることを弟子に指導したのです。
その後、歯磨きが日本に伝わったのは、仏教の伝来のとき。始めは僧侶の間で習慣となり、公家や庶民へと広がりを見せていきました。庶民が歯を磨くようになったのは、江戸時代のことです。日本に歯磨きが伝来する前も、実は縄文・弥生時代に、人々が歯を磨いた形跡が残っているという話もあります。
昔は、歯を何で磨いていたの?
大野館長:僧侶が磨いていた頃は、歯木(しぼく)といって、柳の小枝の一端を嚙んで房状にしたもので、歯を磨いていました。
ギニアやインド、南アフリカなどで現在も使われている歯木。裂いた部分で舌まで磨きます。
木によって、いろんな味が・・楽しめますね、きっと😅
その後、江戸時代になると、木の文化の国といえる日本独自の発想で、猿屋(さるや)が房楊枝(ふさようじ)を考案しました。房楊枝とは柳や黒文字などの木の幹を割って小枝にし、その一端を煮て木槌でたたき房状に加工したもので、より口の中に合う形になりました。これに注目した街の商人が京都や大阪、江戸で売り始め、庶民にも馴染みのある口腔ケア用品になったのです。この房楊枝が、今の歯ブラシの元祖となります。
枝の先を裂いてブラシ状にした房楊枝。いろいろなサイズがありますね。枝の表面を削り、舌を磨く部分もあります。歯木から房楊枝になり、一本で、歯と舌のケアが可能になりました。
左・江戸時代の歯磨売り(百眼の米吉)/ 右・江戸時代には、美女が竹楊枝(たけようじ)で歯磨きをしている様子が浮世絵に多く描かれています。
日本で始めての歯ブラシは、明治5年に発売された鯨楊枝です。明治時代、歯ブラシは歯楊枝(はようじ)と呼ばれていました。今のような歯ブラシという名がついた商品が登場したのは大正2年(1913年)。ライオンの「萬歳歯刷子(ばんざいはぶらし)」が最初です。その後、歯ブラシはヘッドの大きさや柄の形、毛の材質や毛先の形状など様々な進化をとげています。
ドラマでこんなシーンがあったとは!
最近の歯ブラシはコンパクトになっていますが、こんなに大きいの見つけました!
今の形の歯ブラシになるまでの変化、面白いですね。
江戸時代には、すでに歯磨き粉も売られていたそうですから、お口のケアは一般にも広がっていったようですね。