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「不潔な入れ歯」肺炎の発症リスクは3.5倍、最悪の場合は命を落とす恐れもある

歯科勤務の時のこと。治療の前に、テーブルの上に外した入れ歯を置いた患者さん。
その入れ歯は黒ずんでいました( ;∀;)
まだまだ予防やセルフケアが浸透していないころです。
入れ歯を作っても、そのお手入れについての指導を歯医者さんから受けていなかったのかもしれません。

外したときに入れ歯を洗うことは、入れ歯をしていない人でも、テレビCMなどで何となく知っているはず。しかし~~
「歯科医のうち10%は、入れ歯を使う患者さんに清掃の仕方を指導しておらず、特に入れ歯用の洗浄剤の指導が不足しているのです。日本、米国、イタリアなどの5カ国で歯科医の清掃指導状況を調査したところ、正しい『義歯洗浄剤』を選択した回答は日米伊の先進国でさえ40%。誤りである『せっけん』や『食器用洗剤』といった回答もあったほど。

入れ歯の清掃が不十分だったり、間違っていたりすると、どうなるか。
その影響は口の中だけにとどまらず、全身に及ぶという。
「口腔への影響については、義歯口内炎があります。利用者のうち3分の2が発症しているという報告もあるほどです。入れ歯の清掃が不十分だと、その表面に細菌や真菌(カビ)などが付着。その層がバイオフィルムで、細菌などがさらに増殖してプラークになると、粘膜に炎症が生じます。これが、義歯性口内炎で、臨床的にはその部分が赤くなったり、腫れたりします。総入れ歯の場合、発症しやすいのは上顎の前歯の部分の粘膜です。ひどいケースでは、上顎全体に広がります」
 台所や浴室などの排水口は汚れると、細菌などが増殖してネバネバしてくる。あれがバイオフィルムだ。口の中には善玉菌も悪玉菌もいて、入れ歯の清掃がよくないと、悪玉菌が増える。あのネバネバが口に生まれるとなると、ちょっとギョッとする。そこにさらに細菌などが集まり、歯垢、歯石になる。  


「全身への影響として重要なのは、誤嚥性肺炎です。誤嚥リスクのない人と比較して、誤嚥リスクがあって入れ歯をしている人は、肺炎発症リスクが3.5倍。入れ歯をしていない人は、7.3倍という研究結果があります。この結果から読み取れるのは、清潔な入れ歯をしていると、誤嚥リスクによる肺炎の発症が抑制されるということ。しかし、清掃が不十分な入れ歯では、その抑制効果が失われ、誤嚥性肺炎のリスクになるのです。実際、肺炎の病原体は、入れ歯のプラークから検出されます」


 入れ歯で増殖した細菌などをめぐっては、細菌性心内膜炎や消化管感染症との関連も報告されているという。怖いのは心内膜炎で、細菌が血流に乗って心臓の中で感染する病気。年間10万人に数人とまれな病気ながら、治療が遅れると命を落とす。入れ歯の清掃をおろそかにしてはいけないことが分かるだろう。



入れ歯簿お手入れについて
CMなどで、勘違いをしている方もいるかもしれません。
入れ歯を外して、いきなり入れ歯洗浄液の中にドボン!はダメです。
ちゃんと、義歯用ブラシで洗ってから、浸けて下さいね。

義歯清掃は、義歯用ブラシによる機械的清掃と、義歯洗浄剤による化学的清掃を併せて、初めて成立します。
義歯清掃の基本は、義歯用ブラシによる機械的清掃です。

口も入れ歯も同じですね~

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