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訪問医療の現場から 「終末期の口腔ケアが『美しいご遺体』をつくる」

訪問歯科勤務の歯科衛生士さんから、こんなお話をおききしたことがあります。
「口腔ケアは、その方がお亡くなりになる最後までさせていただくことができる、唯一のお仕事だと思います。」
お口が最後までキレイでいることは、その方の尊厳を守ることでもあると。

もし自分が寝たきりになって、施設に入ったら・・・
やはり口腔ケアをしっかりして下さる施設を選ぶと思います。

訪問で小児在宅からがん末期のターミナルケア、お看取りまで携わる医師の方の記事が目に留まりました。
現場で体験されてきたからこそ、言える言葉、説得力があります。

いくら口腔ケアを行っても、口から食べられなくなってお亡くなりになる患者さんはたくさんおり、そういった患者さんに対しても亡くなる直前まで口腔ケアを行う。これにはとても重要な意味がある。
 
口腔内のケアが行きとどいていると、口の中や咽頭の周囲にこびりついた喀痰の中に含まれる細菌が繁殖するのを抑えることができ、誤嚥性肺炎のリスクを軽減することができる。
 
また、噛み合わせを整えることは、経口摂取をより安定させることにつながる。しかし一方で、いくら口腔内を整えても口から食べられない方もいる。だからと言って、そのような方々に対しての口腔ケアを決して諦めてはならない。
 
機能回復が期待できない患者さんに対して、終末期にも変わらず口腔ケアを行う意味は、その方がその方らしく人生の終わりを迎えることにある。終末期の口腔ケアは、医療従事者として接する我々にしかできない、逆に言えば我々に残された施しのひとつなのだ。


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