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【要約】第2部-テクニカル運用の本質:ファンダメンタルズxテクニカルマーケティング
第3章 テクニカル運用の本質
テクニカル運用とは
テクニカル運用は、既に出稿された広告に対する顧客の反応を基に、広告配信を調整する作業である。
広告の設定には以下の要素が含まれる:
クリック単価の設定
配信ターゲットの選定
配信時間帯の調整
キャンペーンの設計と機械学習の活用
通常配信かリターゲティングかの選択
これらを最適化することで、「最も多い顧客獲得件数を最も安い広告費で達成」することを目指す。
自分のお金と他人のお金での運用の違い
自社資金で広告を運用する場合、赤字を避けるために時間単位で調整を行う。 一方、他人の資金を運用する場合、調整頻度は週単位になることが多い。 この頻度の差が成果の差に直結する。
常に自分ごととして運用し、時間単位で調整を行うことが未来につながる。
デジタルオペレーターとWebマーケッターの違い
獲得単価の改善事例
あるキャンペーンで獲得単価が高いため、それを上限獲得単価内に収める必要がある場合を考える。
デジタルオペレーターの対応
昼間の配信を停止し、夜間のみ配信することで獲得単価を上限内に調整。Webマーケッターの対応
昼と夜で獲得単価に差がある原因を分析。クリック単価やCVR(購入率)の違いを調査し、昼のCVRが低い原因を特定。
昼のCVRが低い理由と仮説
昼間のスマホ利用は「ながら見」や「スキマ時間」が多いため、集中して広告を見る時間が短い。 例として、電車移動中の利用者がページを途中で閉じることが挙げられる。
対策案
昼間は短いLP(ランディングページ)に差し替える。
ブックマークを促す文言を追加。
昼間はリターゲティングのマーク集めに特化し、夜に再度刈り取る。
これにより、昼間の配信停止ではなく、昼間を収益化しながら件数を拡大することが可能となる。
デジタルオペレーターとWebマーケッターの違い
デジタルオペレーター
データの傾向を見て配信設定を直接調整。Webマーケッター
データを基に人間行動の仮説を立て、施策を設計。
テクニカル運用に必要なスキル
データの読解力が必須である。データを読み解き、顧客行動を予測することで最適な施策を実行できる。
データの読解力を身につける
データの背景を理解する重要性
マーケティングの本質は、「データ」から「人間の行動パターン」を見つけ、その背景を理解し販促に結びつけることである。
これはリアルマーケティングでもWebマーケティングでも変わらない普遍的な原則である。
実例1: ビールとおむつ
あるショッピングセンターで、缶ビールを購入する人が一緒におむつを買う傾向が発見された。
背景の調査
初めはリコメンド機能で「缶ビールと一緒におむつ」を勧める案が浮上。
しかし、データだけを基にした提案では顧客に不信感を与える可能性がある。
マーケッターがレジで観察を行い、「週末に車でまとめ買いする夫婦が多い」という行動パターンを発見。
解決策
「週末まとめ買いコーナー」を設置。
おむつ、缶ビール、家庭用品(トイレットペーパー、洗剤など)を一か所に陳列。
結果、週末の売上が大幅に伸びた。
実例2: ネクタイの売上改善
ある百貨店でネクタイの売上が伸び悩んでいた。
背景の調査
他店舗では同じ品揃えでも売上が良好。
売り場を観察したところ、靴下売り場が人気で通路を占拠していたため、ネクタイ売り場へのアクセスが妨げられていた。
解決策
売り場の棚を移動し通路幅を広げた。
結果、ネクタイの売上が急増。
実例3: 幻のシティ仕様SUV
1980年代後半のSUVブームにおいて、ある自動車メーカーがデータを基に「シティ仕様SUV」を企画。
背景の調査
定量調査では「90%以上が街中で使用」と回答。
定性調査を行った結果、「週末の短時間だけオフロードを楽しむため」「オフロード気分を味わいたい」という心理が判明。
解決策
「シティ仕様」を断念し、オフロード用SUVの企画に切り替えた。
データ読解のポイント
数値データはきっかけにすぎない。背景にある「人間の心理」を理解することが重要。
顧客の行動を観察し、直接話を聞くことが最も効果的。
データを「数字」と「人間の生活・心理」に結びつけることで、本当の読解力が身につく。
利害対立の理解とテクニカル運用
基本的なポイント
Web広告では、広告主、メディア、ユーザーの三者の立場を把握する必要がある。
また、課金形式(表示課金、クリック課金、購入課金など)の仕組みを理解し、それぞれのメリット・デメリットを考慮することが重要。
実践的な考え方
相手の立場を理解した上で、自社の利益を最大化する方法を模索する。
メディアやユーザーとの関係性を考え、バランスの取れた運用を行う。
こうした基礎的理解を持つことで、より効果的なテクニカル運用が可能となる。
Web広告の利害対立構造
基本構造
Web広告の流れは次の通りである:
広告主がメディアに広告枠を購入して広告を出稿。
メディアが広告枠に広告を表示。
ユーザーが広告を閲覧し、クリックや購入に至る場合がある。
入札方式の種類
Web広告には3つの入札方式がある:
広告表示に対する広告費の支払い
広告クリックに対する広告費の支払い
購入や成約(CV)に対する広告費の支払い
広告主にとっての理想順位は、③ → ② → ①。
一方、メディアにとっての理想順位は、① → ② → ③と逆になる。
広告主は成果型を好むが、メディアは収入の安定性を求めるため、両者の間には利害対立が生じる。
メディアの立場:広告収入を増やす方法
手段
広告表示回数を増やす
1表示あたりの広告費を上げる
工夫
ユーザーの興味や関心を分析し、興味を持ちそうなユーザーに広告を優先的に表示。
広告1表示あたりの広告主への利益貢献度を高めることで、広告費を自然に上昇させる。
広告主を増やし、広告枠をオークション形式で販売することで広告費の単価を上げる。
広告主の立場:利益を増やす方法
手段
広告を増やし、顧客数を拡大する
広告費あたりの獲得効率を向上させる
工夫
多様なメディアに広告を出稿することで認知度を拡大。
メディアユーザーとの相性を考慮し、広告のターゲットを絞り込む。
広告の費用対効果を最大化しつつ、効果的なユーザー層をターゲットとする。
利害対立の本質
メディアは収入の安定性を重視し、広告表示型課金を好む。
広告主は成果を求め、成約型課金を好む。
この対立を踏まえ、広告主とメディア双方が納得できる方法で広告を運用することが必要である。
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62 広告枠の入札競争の制し方
オークションの仕組み
広告掲載枠には限りがあるため、複数の広告主が同じ枠を希望するとオークションが発生する。
メディアは「どの広告主を選べば最も利益になるか」を基準に掲載権を与える。
入札方式ごとの選定基準
広告表示に対する広告費
入札金額が最も高い広告主が選ばれる。
広告クリックに対する広告費
「入札金額 × クリック率」が最も大きい広告主が選ばれる。
例:
広告主A:クリック単価100円、クリック率1% → 収益100円
広告主B:クリック単価50円、クリック率3% → 収益150円
→ メディアは広告主Bを選ぶ。
購入や成約に対する広告費
「入札金額 × 表示回数あたりの購入率(クリック率 × 購入率)」が最も大きい広告主が選ばれる。
ユーザー体験の影響
入札競争が拮抗している場合、「ユーザーに有益な広告」が優先される。
ネガティブな評価を受けた広告は表示されにくくなる。
63 広告を配信する際に必要な4つの努力
必須のステップ
広告主は次の3つを達成する必要がある:
広告を表示させる。
広告をクリックさせる。
広告から商品を購入させる。
努力の方向性
これらを実現するためには以下の4つの努力が必要である:
入札金額を上げる
広告のクリック率を上げる
クリック後の購入率を上げる
ユーザーに好かれる広告や販売ページを作る
63-1 広告表示に対する広告費を支払う入札方式での努力
入札金額を上げる理由
入札方式①では「入札金額」が優劣を決めるが、実際にはクリック率や購入率を上げる努力が必要である。
理由は、1表示あたりの購入率を上げることで入札金額を高める余地が生まれるため。
具体例
商品Aの獲得単価上限が8,000円の場合:
クリック率10%、購入率10% → 表示回数あたりの購入率1%
100回の広告表示で1商品が売れ、8,000円の広告費で1商品を販売可能。
クリック率が20%に向上した場合:
表示回数あたりの購入率が2%に増加。
100回の広告表示で2商品が売れる。
→ 1商品の獲得単価は4,000円に減少。
このように獲得単価を抑えることで入札金額を引き上げる余地が生まれ、競争優位を獲得できる。
質の高いクリックを目指す
「クリック数が多いだけ」では意味がない。
例えば、「100万円差し上げます!」というキャッチコピーでクリックを誘導しても、購入につながらなければ無駄になる。
適切なターゲティングとコンテンツ設計が必要である。
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63-2 広告のクリックに対して広告費を支払う入札方式のための努力
入札競争の勝ち方
この入札方式では「入札金額 × クリック率」の値が大きい広告が競争に勝ち、配信される。
必要な努力:
入札金額を上げる
広告のクリック率を上げる
入札金額を上げるための工夫
商品Aの獲得単価が8,000円の場合:
クリック率10%、クリック後の購入率10% → 表示回数あたりの購入率1%
1クリックあたりの上限入札額は800円(10回クリックで8,000円)。
購入率を2倍にした場合:
10回のクリックで商品Aが2つ売れる。
必要なクリック数は5回に減少し、上限入札額は1クリック1,600円に増加。
購入率の改善により、より高い入札金額を設定でき、競争力が高まる。
ジレンマ
広告主は次の2つを両立させる必要がある:
クリック率を高めて入札競争に勝つ。
購入率を高め、本当に買いそうなユーザーだけにクリックさせる。
このバランスを取ることが入札方式②の難しさである。
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63-3 CV(購入や成約)に対して広告費を支払う入札方式のための努力
基本の考え方
この入札方式では、入札金額は商品ごとの上限獲得単価(採算ライン)を超えられないため、以下を工夫する必要がある:
表示回数あたりの購入率を上げる(クリック率 × 購入率の向上)。
努力の方向性
より多くの人にクリックしてもらい、より多くの人に購入してもらう工夫をする。
表示回数に対して購入者を増やすことで、広告主にとってもメディアにとっても利益が増える。
実践例
広告主:広告の表示・クリック・購入プロセスを最適化し、購入率を上げる。
メディア:収益性の高い広告主を優先的に選び、収益を最大化する。
この方式では、広告主とメディアの双方が「同じ表示回数でより多くの利益を得る」ことを目指す。
64 4つのポイントに気をつけてクリエイティブを作る
効果的なブリッジLPの作り方
広告配信におけるクリエイティブチームの役割は次の2つである:
クリック率と購入率が高い広告を作成する。
訪問者の購入率が高いページを作成する。
これを実現するための4つのポイントは以下である:
ターゲットの理解度
広告と飛び先ページの整合性
広告・ページそのものの質
広告やページとメディアとの相性
多様な切り口の必要性
多くの顧客を効率よく獲得するには、様々な切り口の広告を用意する必要がある。
これは、同じ悩みでも顧客ごとに悩みの程度や捉え方が異なるためである。
例:
商品への関心を引く切り口:「売れている」「新成分」「割引」「手軽さ」「クチコミ」など。
しかし、切り口を増やす際に問題となるのが、広告と飛び先ページ(販売ページ)との整合性である。
広告で「クチコミ」を訴求しているのに販売ページにクチコミがないと、購入意欲が下がる。
ブリッジLP(BLP)の役割
ブリッジLPは、広告と販売ページの間に挟むページである。
これにより、以下のメリットが得られる:
販売ページの中身を変えずに、広告の切り口を増やせる。
販売ページでは表現が難しい、第三者視点や「ノリ」を補完できる。
コンテンツ感の強い広告から販売ページへの流れをスムーズに作れる。
例:
広告で「割引」を訴求し、BLPで「割引の詳細」や「割引利用者の声」を掲載する。
広告で「新成分」を訴求し、BLPで「専門家のコメント」や「効果検証データ」を提供する。
エモーションリレーの重要性
BLPを挟む際には、「エモーションリレー」をしっかりと一致させることが必要である。
これは、広告から販売ページまでの感情の流れを途切れさせないようにすることを意味する。
例えば、広告が「共感」を軸にしている場合、BLPも共感のトーンを保つ必要がある。
このように、広告の多様性と一貫性を保つための工夫が、効果的なクリエイティブ制作の鍵である。
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65 適切な入札金額を設定する
テクニカル運用に必要な3つのノウハウ
広告運用の成功には、以下の3つのノウハウが必要である:
各数値の意味を理解し、論理的に捉える
メディアの配信機能を試し、結果を分析する
メディアの立場やプログラム・機械学習の仕組みを理解する
適切な入札金額の設定方法
広告の購入率から適切な入札金額を逆算する。
以下は「クリック課金型広告」の例である:
商品Aの獲得単価上限が8,000円の場合:
クリック後の購入率が1%の場合、100クリックで1件の成約となる。
1クリック100円の入札金額を設定すると、100クリックで10,000円かかり赤字になる。
入札金額を計算式で調整:
入札金額 = 1件にかけられる広告費 × 購入率
8,000円 × 1% = 80円
→ 入札金額を80円に変更すると、1件あたりの広告費が8,000円に抑えられる。
メディア配信ロジックの活用
ネガティブな反応の影響
ユーザーからネガティブな反応が多い広告は、入札競争で不利になる。
クリック率の優遇
「入札金額 × クリック率」の値が同じ場合、クリック率が高い広告が優遇される。
例:
入札金額が同じ100円でも、クリック率2%の広告がクリック率1%の広告より優先される。
これは「同じ収益なら、多くのユーザーに興味を持たれる広告を配信したい」というメディアの方針による。
赤字を防ぐ運用の基本
入札金額を適切に調整し、赤字を回避する。
配信機能を試して結果を分析し、改善点を見つける。
メディアの仕組みを理解し、効率的な配信を実現する。
これらの要素を総合的に活用することで、広告運用の効果を最大化できる。
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66 セグメント機能の活用はなぜ必要なのか?
セグメントとは
広告配信において、「特定のユーザーにだけ配信対象を絞ること」をセグメントと呼ぶ。
セグメントは広告主、メディア、ユーザーそれぞれにとって利益をもたらし、以下の効果がある:
配信効率を高める。
獲得効率(購入率、クリック率)を向上させる。
セグメントの効果
究極の理想は、広告を確実に購入する人にだけ表示し、クリック率・購入率ともに100%にすることである。
これにより、広告費の無駄を減らし、最大限の成果を上げることが可能となる。
セグメント作業の重要性
セグメントを活用するには、以下の作業が必要である:
ターゲットユーザーを理解すること。
どのように絞り込むかを考えること。
セグメントの具体例
商品
ルミナピール(手の甲専用ピーリングジェル)
理想のセグメント
「手の甲のシミが気になる」という投稿や検索をしている人。
対策サイトを閲覧している人。
課題
ネット上でこのような行動をする人は少なく、1日1件程度の注文しか獲得できない。
このセグメントでは売上拡大が難しい。
実際のセグメント
ターゲット
40代以上で、ネイルサロンに通っていそうな人。
狙い
ネイルサロン利用者はネイリストに長時間手の甲を見せるため、自分の手の甲を気にする傾向がある。
美意識が高く、シミに悩んでいる可能性が高い。
ネイルサロン関連の投稿や検索が多く、広告配信の母数を確保しやすい。
期待される効果
このセグメントでは、1日10件程度の注文が見込める。
セグメント活用のポイント
理想のセグメントが小さすぎる場合、広がりを持たせる工夫が必要である。
ユーザーの背景や心理を考慮して、間接的なターゲティングを行うことで、より多くの獲得が可能となる。
このように、効果的なセグメントの設定は、広告配信の成功に不可欠である。
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67 質の高い広告メディアを作った札幌版ホットペッパーの手法
メディアにおける広告審査基準の役割
広告メディアはユーザーを守るために「広告掲載審査基準」を持っており、「ユーザーにとって有益か」を基準に広告を審査する。
特に美容健康系の広告は、薬機法や景表法により厳しく規制されるため、審査が非常に厳格である。
ホットペッパーのエピソード
フリーペーパーのホットペッパーは当初、エステ広告の多用によって読者離れを招き、廃刊寸前に陥った。
しかし、唯一成功を収めたのが「札幌版」である。
札幌版の成功要因
エステ広告比率を50%以下に抑える独自ルールを導入。
他業種の広告を増やし、読者の関心を維持。
「読者>広告主」という視点を徹底。
編集長の信念:
「読者を重視すれば広告効果の高い媒体となり、広告主も戻ってくる。」
教訓
読者離れが広告収入減に直結する。
ユーザーを守ることでメディア価値が向上し、広告主も利益を得る。
短期的な利益に惑わされず、息の長いメディア運営を目指すべきである。
68 テクニカル運用分析の鉄板公式
3つの公式
運用の根本的な指標として以下を覚える:
獲得単価の増減要因
クリック単価の増減
**CVR(購入率)**の増減
※クリック単価は入札額やCTR(クリック率)の影響を受ける。
ROAS(広告費回収率)の増減要因
獲得単価の増減
客単価の増減
※獲得単価の増減はクリック単価やCVRの変動に起因。
獲得件数の増減要因
クリック数の増減
表示回数またはCTRの影響。
CVRの増減
BLP遷移率(購入LPへの遷移率)またはHLPのCVR(購入率)の影響。
公式を活用する際の注意点
獲得件数が減少した場合、反射的に入札額を上げるのではなく、公式に基づいて冷静に原因を分析する。
どの数値をどう変えるべきかを見極め、適切な施策を講じる。
結論
質の高い広告メディア運営やテクニカル運用の成功には、ユーザー視点の重要性と論理的な分析力が欠かせない。鉄板公式を活用し、冷静な判断を保つことで長期的な成果を実現できる。
68-1 なぜ獲得単価は増減するのか
獲得単価の増減要因
獲得単価は主に以下の2つの要因で増減する:
クリック単価の増減
高くなる理由の一つは、クリック単価の設定が高すぎること。
自動入札設定を利用する場合、入札単価が高騰するリスクがあるため、クリック単価やCVあたりの入札単価を自分で設定するべき。
CVR(購入率)の増減
エモーションリレーのバグが主な原因。
広告内容、BLP、HLPが一貫していない場合、ユーザーの期待が裏切られ、購入に至らない。
例:広告で訴求した内容がLPに反映されていない。
部分最適が原因
広告運用の目標が「クリック数」や「問い合わせ数」など部分的な最適化に留まると、全体の営業利益につながらない。
広告、BLP、HLPを分業することも、この問題を引き起こす要因である。
68-2 なぜROASは増減するのか
ROASの増減要因
ROASは次の2つの要因で変動する:
獲得単価の増減
獲得単価の要因は68-1で説明した通り。
客単価の増減
客単価が下がる理由として、CVRを上げるために割引を行うケースがある。
割引で一時的に獲得件数は増加するが、ROASが悪化する可能性があるため、安易な値引きには注意が必要。
68-3 なぜ獲得件数は増減するのか
獲得件数の増減要因
獲得件数は次の2つの要因で増減する:
クリック数の増減
内部要因
機会損失を防ぐため、収益機会のあるキーワードを網羅する必要がある。
顧客タイプごとに最適化された広告文を作成し、多様なニーズを満たす。
外部要因
競合他社の広告内容、商品、オファーに大きく左右される。
獲得単価を下げようとクリック単価を下げた場合、競合広告に埋もれるリスクがある。
CVRの増減
内部要因
購買導線の改善が重要。例:住所入力を自動補完する機能を導入する、無料体験をワンクリックで申し込めるようにするなど。
外部要因
競合の広告やLPの質が、自社のCVRに影響を及ぼす。
競合と自社の関係
競合は外部要因でありながら、自社の対策次第で改善可能な要素でもある。
競合を意識しつつ、自社の施策を最適化することで、クリック数やCVRを向上させることができる。
結論
獲得単価、ROAS、獲得件数の増減要因を冷静に分析し、内部要因と外部要因の両方に対応することで、効果的な広告運用が可能となる。部分最適に囚われず、全体利益を見据えた施策を講じることが重要である。