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『自堕落静養日記。九月二十日』

抗がん剤の点滴を身体に入れてから、もうすぐ三週間だ。
手足の先のしびれと上半身の発疹は相変わらず私と共にある。
この副作用からは容易には逃げられそうにない。一回の点滴でいつまで癌細胞を攻撃してくれているのだろうか。副作用=攻撃、とは、単純には考えられないけれど。

さて、週明けの火曜日の血液検査で私の体調は上向きになっているのだろうか。実感としては、横ばいか下向き傾向にあると思っている。調べてみると、血液検査で反映される好中球の値は二~三週間前の状態を表すらしい。

そう考えると、今よりは体調は良かった。これで上向いていないなら、当分の間は抗がん剤の点滴は受けられないだろう。息を吐くたびに、喉奥からすきま風、あるいは猫啼音が聞こえる。
「ひゅうにゃあ、ひゅうにゃあ、ひゅうひゅうにゃあ」、私には、こんなふうに聞こえる。

はじめは、私から発している音だとは気づかなかった。ほんの微かな響きだった。それが、だんだんと大きくなってきた。しかし、副作用を選べる事ができるなら、今回の抗がん剤治療の副作用は耐え得る事ができている。腹と頭の調子はいいかんじなのだ。

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