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『自堕落静養日記。九月九日』

真夜中の雷とはめずらしい。
巨石と巨石が擦れるような虚ろな音だ。天の岩戸から天照大神がひょいと顔をのぞかせているのだろうか。日の女神をおびき出すような派手な宴の様子はなかったが。夜中中、音が空に染み入るように鳴っている。

或いは、天の楽園から一掴みの神々が追放されて落下する音だろうか。
故郷の星に手を伸ばし、追放される神どうしが引力に屈しながら嗚咽を漏らし飛行しているのかもしれない。

で、私は早起きしてしまった、というわけだ。覇気のない。虚ろな雷のせいで。私が起きている間は身体が、すこうしかゆい。故に、ストレス氏と共に過ごさなければならない。ねむっている間だけ、ストレス氏と離れられるのだ。

夜が、世が、明ける前に高天原を見つけてくれ。天孫降臨でもなんでもしてくれ。


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せいのほう
もしそうならば、あ~りがとうございま~す、です。たすかりま~す、です。