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『ガンかわいがり1クールまとめ』   面白いと思いますので暇な方はどうぞ。16000字。

朝の8時から夕方16時半まで病院にいた。
今日は3週間で1クールの抗がん剤治療の初日だった。1クールの初日は抗がん剤の点滴を入れる日になる。それから、別の抗がん剤を2週間服用する。そして、必ず3週目には抗がん剤を持ち越さない。7日間の回復期間が設けてあるからだ。それで、2クール目に入ることができる。
もし、抗がん剤を飲み忘れても、最終週には決して服用してはいけない事を、薬剤師から念を押されている。
これが、何クールつづくのかはわからない。なるようになるだろう、としか言えない。

で、早速副作用がでている。手足と口のしびれだ。どんなしびれかというと、宮崎駿監督の『未来少年コナン』を思いだしてもらいたい。コナンが高所から飛び降りて着地した時、ビリビリっと足下からしびれが身体全体に伝わる見事なシーンがあったと思う。
ラナ(少女)を抱いていたかも知れない。リアルタイムで作品を見ていた訳でもなく完全なうろ覚えなのですが、なんとなくアレです。

冷蔵庫からとりだした野菜ジュースを飲んだら、喉がしびれて、歯がキーンとなってガクガクブルブルします。常温のチョコレートの一口目も、ガクガクブルブルします。二口目から慣れていきました。基本的に冷たいものに触れるとしびれます。この副作用は数日で治まるそうです。
私はこれを『未来少年コナン』になったつもりで、『現代中年男せいの』として、堪える事にしました。

私は、49歳の未来少年コナンです。このガクブルを、『未来少年コナン症候群』と胸に刻みました。『ピーターパン症候群』である私は、『未来少年コナン症候群』にもなった訳です。忙しい私だ。
痛み、しびれ、倦怠感、吐き気、等々の副作用が抗がん剤治療にはつきものなのです。

前回のように、私の頭の中身に副作用が及ばなければ、私は抗がん剤とそれなりにうまく付き合っていけるはずです。それこそが、『ピーターパン症候群』の美質なのです。しかし、『ピーターパン症候群』であるからこそ、初期のがんの兆候を見逃したとも言えます。

くどい説明をしましょう。不安神経症とむずむず脚症候群を掛け合わせると『鬱々不安頭』になります。私はまだその方面の薬も服用しています。
『ピーターパン症候群』は一生治らないでしょう。『未来少年コナン症候群』もあります。抗がん剤にもネーミングが必要でしょう。抗がん剤はがん細胞だけを攻撃する訳ではありません。ときに過剰に正常な細胞も攻撃します。

まるでそれは、『天才バカボン』の本官(お巡りさん)のようです。やたらめったらパンパン銃を撃つ、血走った目の、あの、本官です。抗がん剤を、仮に『本官パンパン剤』としましょう。
あ、そうなのか。
私は、『ピーターパン症候群』というより、『バカボンのパパ症候群』のほうなのではないか。そのほうがしっくりくる事に、たった今気がつきました。これからはそれでいきましょう。
文章がとっちらかっています。これは、『本官パンパン剤』のせいです。
「これでいいのだ」

朝からキーボーがピリついている。
『キーボー』の機嫌が悪い訳ではない。キーボーは漫才師でもない。『ピリ冷』のパソコンのキーボードの事だ。『本官パンパン剤』の副作用は、まだそこにある現実だ。

昨日、薬剤師から『ソフトサンティア』で目を洗うかんじで一日、5回くらい点眼するよう指示があった。私の目は、むっくむっくにむくんでいる。私の控えめな二重まぶたが消えている。
私は、もともと手頃な値段の『ソフさん』の愛用者でもある。愛情を込めて『さん』付けで呼んでいたほどだ。
「開封したら、10日で捨ててくださいね」とも言われた。それは守っていなかった。ソフさんごめん。ソフさんはデリケートなんだね。ソフさんは私の目と相性がいいから愛称までつけて一月くらい点眼していたよ。

因みに、点眼を怠ると涙が止まらなくなる『流涙』という副作用が起こるそうだ。鼻の骨にドリルで穴を空ける羽目になるとも言われた。薬剤師の話しぶりから言って『鼻ピアス』で済むような事ではないのは解った。
「一定数、鼻血がタら~と出る」、そんな副作用もあるという。
私は子どもの頃、朝起きたら枕が鼻血でまっ赤に染まっていることが度々あったので、鼻血には慣れているからこれは大丈夫だ。
そう、昨晩から鼻血ではないが、鼻水が止まらない。枕元はティッシュペーパーの山だ。花粉なのか、風邪なのか、本官パンパン剤の副作用なのか。

昨日から数回、指もつっている。バイクで走るときには特に気をつけなければならない。『グーパーグーパー運動』をしたほうがよさそうだ。グローブは1シーズン暖かめのものがいいだろう。グローブだけではない。防寒対策は念入りにしたほうが良さそうだ。

半年前に癌が見つかってから、8㎏体重が増えている。これをなんとかしなければと思っていたところで、肝臓へのがんの転移があった。1クールの本官パンパン剤の治療にも入った。これでダイエットをしたらどうなるのだろうか。私は十代の頃と比べて20㎏太っている。悩ましい。無理のない運動は推奨されている。本官パンパン剤の影響で体重が落ちたと疑われないように、上手く説明をしなければならない。

しゃっくりが止まらないのです。
今日だけで、数百回のしゃっくりが出ています。ややこしいのですが、これは抗がん剤の副作用の吐き気を抑える為の薬の副作用なのです。
明日の朝も一錠飲むことになっています。
この4行書く間にも、数十回のしゃっくりがありました。夜になってからのしゃっくりの傍若無人ぶりに驚いています。

いや、これは、千回を超える勢いのしゃっくりです。
私のしゃっくりは「ふぐっ」とか「んぐっ」とか鳴ります。タイミングによっては鼻にかかりすぎるせいか豚鼻音も漏れ伝わります。
「ふぐっぶひ」「んぐっぶひ」となるのです。『豚鼻しゃっくり』と名付けましょう。「三月十三日は豚鼻しゃっくり記念日です。」いま、10秒に一回しゃっくりが出ています。何かを飲みましょう。

水を飲んで、スクワットを50回やってみました。あいかわらず、『豚鼻しゃっくり』は止まりません。これは、睡眠薬を服用して眠りにつくしか解決方法がないようです。
2023年の夏の盲腸がんの手術から、宇多田ヒカルの曲(とくに渡英後)がどんどん好きになっている。そんなエッセイを書こうと思っていたのですが、それはまた次の機会にでも。



『しゃっくり二日二千回峰行』といっていい。
夕飯を食べた後の追い上げが夜中中つづいていた。そして、今も。
抗がん剤点滴注射の副作用の吐き気を抑える為の薬の副作用の『しゃっくり二日二千回峰行』だ。
たった、1錠を二日間づつ飲めばいいだけの、行だ。ただ、1錠でしゃっくりが千回でる。

昨日の『豚鼻しゃっくり』から、「うぐ、うぐ、うぐ、うぐ、うぐ、うぐ」と、喉に蛙が棲み着いて啼くような違和感に変じている。おはよう蛙さん。
豚と蛙の祟りか。とも、おもったけれど。(大袈裟に言うと)二千回の吐き気よりも二千回のしゃっくりのほうがマシなのは明白だろう。しゃっくりはその場でじっと、「うぐうぐ」していればいいのだ。吐き気はそうはいかない。トイレに駆け込んだり、ゴミ袋に顔を突っ込んでいなければならないのだろうから。

断酒した私にはもう一生訪れない、あの『二日酔い』が、『しゃっくり二日二千回峰行』になったと思おう。体に対する負担は後者のほうが断トツで軽い。薬剤師に「男性のほうがしゃっくりが出やすいようです」とも言われていた。私は、『大しゃっくり阿闍梨』になった。しゃっくりと私の異名が止まらない。

抗がん剤治療5日目。しゃっくりが止まった。
それと引き換えにすこしだけ、食事後にむねやけと吐き気が起こる。昨日は吐き気があったので、今日から食事の取り方を見直した。
兎に角、消化のよいものを摂取しようと思う。半年前の抗がん剤と打って変わって私の頭は明瞭状態にある。「前回もこの抗がん剤なら続けられたのでは?」と思わなくもないが、「じゃ、違う抗がん剤でお願いします」の一言を私は言えなかった。半年前の私は『抗がん剤恐怖症』だったからだ。
「抗がん剤の世話には一生なるものか」そんな、心境だった。

もうひとつ、今回は心療内科で処方された薬も頭と心の平安の一助となっているのかも知れない。抗がん剤を服用する患者には心療内科的なケアも必要なのではないかと思う。これから、抗がん剤を身体に入れる方は心療内科的ケアを頭の片隅にでも置いておいてほしい。
手足のしびれは、まだある。このしびれは冷感に酷く反応するものなので、これからの春の陽気も私の味方になってくれる。


「世の中ダルいわぁ」、そんなことを言う若者で、あふれている日本だ。
私も同意しよう。「抗がん剤治療ダルいわぁ」、と。
やっと食生活の見直しに着手した私は、健康食の虜になっているところだ。健康食の虜になりながら、ソファーで横になりながら日がな一日ダルく過ごしていた。私なりに、健康と不健康のバランスをとろうとして、普通の日常を獲得しようとしている訳でもない。ただただ、身体がダルいのだ。
「人生ダルいわぁの」のトー横キッズと『ソファー上ダルいわぁ』の私が独りごちているところに、Amazonから荷物が届いた。

それは、抗がん剤治療をしばらく続けると決めた以上、いつかは来るであろう副作用の脱毛に先んじて、注文していたバリカンだ。
届いてから15分で12ミリのアタッチメントでまるっと刈った。さっきまで、「ダルいわぁ」とぐだぐだしていた私とは思えない早業だった。
「かるいわぁ」、二千数百円のバリカンはお値段以上のクオリティだった。私の気分は上々だ。抗がん剤治療中は、紫外線も大敵であるらしい。日焼け止めも併せて、初めて買った。明日は散歩をしよう。

正直に言うと、健康食についてはキリがない。私は途方に暮れている。そもそも、大抵の食べ物は身体によいからだ。この世の中に、明らかに身体に悪い食べ物なんてないのではないだろうか。安価で、つづけられそうな健康食の取捨選択をしようと思っている。あとは、調理方法次第でどうにでもなるのではないか。


私は、私の丸刈り頭の事を『マルガリッタ』と言うイタリア風のネーミングに定めた。いがぐり頭の事を『イガグリッタ』と言うように、だ。
どちらのイタリア風を選択するかで逡巡もあった。けれど、私の頭の像はすこやかに成長した丸型なので、『マルガリッタ』になったのだ。

話の舵を切ろう。
私はこの度から、暴飲暴食を始めた。ただの暴飲暴食ではない。健康食の暴飲暴食だ。理由がある、私は根っからの納豆好きだった。この十五年間欠かさずに納豆を食べていた。にも拘わらず私は昨夏『盲腸癌』になり、現在、術後転移で『肝臓がん』のステージ4を患っている(転移=ステージ4)。
納豆効果は私に冷たくあたり、どこ吹く風でもりもりと私の身体に癌の山を築くことを防ぐことはなかった(あくまで私の場合は)。

健康食は暴飲暴食してこそ効果があるのではないか。私は手当たり次第にネットをあたり、安価な(これ大事)、健康食をピックアップすることにした。エビデンスは二の次三の次でいい。効果を打ち消しあってもいい。自らの身体を用いた実験だ。良い結果がでても、なにがどう効果的に働いたかわからないほどの暴飲暴食実験だ。

今日一日に飲食した健康食一覧はこうなる。
しじみ汁。黒豆。ふきのとう。黒糖。ブロッコリー。ブロッコリースプラウト。ニンニク。ブルーベリー。納豆。野菜ジュース。クエン酸水。重曹水。ヨーグルト。バナナ。高カカオチョコレート。舞茸。アマニドレッシング。オリーブオイル。鶏むね肉。
ざっと、こんなかんじだ。なんども言うけれど、エビデンスはない。噂レベルの健康食もある。それでもいい。

これだけ手広く食べれば何か効果があるだろう。先日は道の駅のふきのとうを買い占めてしまった。20パックで3500円。スーパーの半値以下だった。勿論、ふきのとうを食べる抗がん効果のエビデンスはない。安価な噂レベルの健康食に踊らされる余生もいいだろう。

抗がん剤治療8日目。
身体はすこぶる調子がいい。副作用も僅かしかない。しかし、明日もすこぶる調子がいいとは限らない。この手の薬には波がある事を忘れてはならない。私は半年前にそれを学んだのだ。

抗がん剤治療とは、ひとつひとつドミノを慎重に並べていくようなものなのかも知れない。ちょっとした気の緩みでどどどどどどどっと、これまで積み重ねてきた治療効果がドミノ倒しのように悪い方へ崩れていくこともある。
いま、私はバイクで遠出に行きたくてうずうずしている。けれど、1,2週目の抗がん剤投与期間は気分転換程度のツーリングに留めて、3週目の回復期間以外はロングツーリングには行かないと決めた。どうだっ(何を偉そうに、それはあたりまえだ)。

また、計画的にドミノを並べきった後の始末の問題もある。
あくまでも、ドミノを並べきった安定状態の維持に努める事をゴールとするのか(終末医療、緩和ケアなど)。それとも一か八かでドミノを倒すのか(手術など)。倒しきった後のドミノは私に何を見せるのか。私は、そんな決断をいつかしなければならないのだろう。

抗がん剤治療中は免疫力がおちているそうで、白血球の値も右肩下がりであるらしい。当然、細菌類の身体への侵入も容易になっている。
先日、私は気の緩みから『マルガリッタ』頭になった。どう考えても、もう1週後にずらすほうがよかった。『マルガリッタ』は悪手だった。
だって、今週寒いもん。風邪ひいて、肺炎にでもなったらアウトだもん。厚着して用心しよう。


私はデジタル庁の回し者ではない。そんな話をしよう。
けれど、マイナンバーカードを保険証として使用している。その患者側の利点について書こうと思う。

『高額療養費制度』と『限度額適用認定証』の手続きが楽。
今のところ、患者側の利点はそれだけだ。けれど、『高額療養費制度』を申請して、『限度額適用認定証』を貰う手続きが、病んだ状態の者にとってどれだけ煩わしくて精神的な負担となるのか、私はそれを昨夏に経験している。私は無知な事に、癌になってはじめてその制度を知った。そして、かなり慌てた。やがてそれがマイナンバーカードで行える事を知り、健康保険証とマイナンバーカードを紐付ける契機になった。
当時所属していた会社の担当者も私と同じようなもので、マイナンバーカードを保険証として利用すれば、自動的に二つの手続きが行える事を認識していなかった。

紐付けてしまえばあとは簡単だった。医療機関のマイナ受付にある端末で、画面の指示に従って「同意する(利用する。だったかも)」をタップすればいいのだ。そうすれば、月額の医療費の自己負担分が昨年度の年収に応じた所得区分(アイウエオ)に分けられた自己負担限度額に調整される。
これが、楽なのだ。これが貧乏人の私にとってありがたいことなのだ。この一点のみでもマイナンバーカードの利点は余り在ると私は思う。

しかし、金銭的に不自由のない暮らしをしている方の、マイナ保険証の利点はおそらくは、ない。確定申告の時期を待って医療控除の申請をすればいいからだ。貧乏人は確定申告まで待てないのだ。

私は現在二つの病院に通院している。先日、医師にマイナ保険証の利用状況を訊ねてみた。心療内科のほうは100人に1人くらいの利用頻度であるらしい。がん治療で通院している病院の方はちらほらとマイナ受付を利用している患者を見かけるようになってきた。

私の抗がん剤治療は数ヶ月続きそうだ。毎月、限度額を突破する事が明らかだ。3週間に一度、数万円の化学療法がある。検査も沢山ある。ぼうっとしてマイナ受付を忘れたら大変な事になる。
貧乏人の方。マイナ保険証、おすすめです。もう一度言おう。『高額療養費制度』と『限度額適用認定証』の手続きが、楽です。



朝から頭痛だ。
これは、抗がん剤治療の副作用ではない。どちらかというと抗がん剤治療の副産物のせいになる。『マルガリッタ』のせいだ。
近頃のイタリアでは日本のアニメ文化の影響で、丸刈り頭の事を『マルガリッタ』と呼ぶそうだ。

私の頭痛は、寝ている間に『マルガリッタ』が冷えたのだろう。
今夜からしばらくニット帽を被って睡眠したいと思う。
抗がん剤治療の副作用は今日もほぼ、ない。「ない」と、すこし物足りなく思うのはなぜだ。副作用があるから、抗がん剤が効いているわけでもないのに。走れば息切れするように、抗がん剤治療には必ず副作用が、「ある」というわけではないのだ。なければないにこしたことはない。あればあるであるようにしかならない。

頭痛のせいで、私のプチ禅問答のような文章が止まらない。
「なるようになりますように」これは、私の人生訓です。そんな人生訓を持った者の文章はあやふやで、霧に包まれてたなびく白布のように明瞭でなくなるときがある。パソコンの画面に前頭葉がにゅいっとインするようなかんじのままキーボードを打つ。
そうだ、もう、ねよう。今日は、嘘偽りなく、嘘をひとつ、ついてしまいました。


鼻血がでた。
これは事前に言われていた抗がん剤治療の副作用のひとつです。
しかし、たら~とたれるような鼻血ではなく、鼻クソ混じりの凝固した鼻血でした。鼻をかむとすこし赤いかな、程度のものです。『骨髄抑制』という副作用だそうです。血液を造る働きに抗がん剤のダメージが蓄積してきたのでしょう。

もうひとつの副作用についても教えましょう。
この副作用は実は抗がん剤治療の初日からありました。最初は半信半疑で様子を見ていたのですが、もう、副作用で間違いないでしょう。
抗がん剤治療をすると『おなら』が臭いです。日を追う毎に確信に変わりました。私の部屋は湯治場なのか。そんな疑問がわくほどの硫黄系とニンニク系とオニオン系の3種が暴れ回る臭いです。『おならPerfume』です。いいトリオです。こいたとたんにプラズマクラスターのランプが赤色に変わります。マッハのスピードで変わります。布団の中でこいても濾過しきれずに一瞬にして部屋の中はおなら臭で汚染されます。

私はそれでも『抗がん剤治療通院組』なので、被害に遭うのは私と家族だけで済みます。でも、『抗がん剤治療入院大部屋組』の方々は大変でしょう。かなり気をつかうのではないでしょうか。おならの回数も3割増しのはずですから。

私の『おならPerfume』対策は珈琲の匂いの線香をがんがん焚く。これ一択です。珈琲の匂いによって『おならPerfume』が整います。トリオのダンスがシンクロするように。

健康食の暴飲暴食に飽いた。
今日と明日は軽めのファスティングを入れることにした。
体調もいいので、週二でファスティングを入れる実験をしたいと思う。
バナナ。デコポン。ヨーグルト。ブルーベリー。野菜ジュース。野菜スープ。珈琲。こんなかんじでいこうと思う。腹が空いたら、黒糖を囓る。あとは、サプリだ。

そう、抗がん剤治療の副作用をもうひとつ。
味覚異常がでてきた。なにを食しても、すこし甘い。私の大好きなキリマンジャロもいつもより甘い。不思議な感覚だ。甘いデコポンは更に甘い。


早起きができた。
というより、腹が減って朝4時に目が覚めた。いいファスティング効果だ。
ファスティング二日目が予定より早くはじまった。ぐうっと腹が鳴り、腹がくのじに凹んでくれたらいいのにな。

『手足がかさかさになる』、これは、もっとも一般的な抗がん剤治療の副作用のひとつだそうです。その為、手のケア(保湿)は万全にしています。『すべすべつるつる』で、抗がん剤治療前よりいいくらいになった。踵はケア不足のようで『からからがさがさ』だ。ヒビ割れたらつらいので早急に水分とクリームを踵に入れよう。

最近は、日記のようにほぼ毎日文章を書くことが出来ている。
抗がん剤治療が何クールか経ったら、『てにをは』を見直そうと思っています。いまは、日毎に、てんでばらばらですから。
そのうち、『抗がん剤治療日記(仮)』のような作品に近いものに仕上げて、一万字くらいに再構築する予定です。


抗がん剤治療13日目から14日目に入ろうとしている。
いまは、身体の中でなにが起こっているのか、誰もわからない。
私の身体の外側は元気だ。2日間のファスティングも何ごともなく終了した。これから毎週、土曜日と日曜日はファスティングの2デイズで行こうと思う。『ファスティングフェス2024』の開催を宣言したい。

これは、医師から薦められたエビデンスに基づいたものではない。
標準治療を順守しながら私なりの一手間を加えてみたくなった、遊び心でもある。『バカボンのパパ症候群』の一種だ。健康食の乱れ食いに、突然ファスティングを取り入れることによって、がん細胞を戸惑わせる作戦だ。

この『せいのほう式人体実験』を日日、発展させていきたいと思っている。
これはあくまでも標準治療のプラスαで行いたい。標準治療はとんでもない副作用などがない限り続ける予定だ。
放っておけば、ステージ4の列車は死のレールをだらだら下り終点に向かうだけだ。あっという間に人生が『完』となる可能性もある。

まあ、それでもいいとは思う。私は、もともと生きることへの執着が極端に薄い。むかしから、『死』を、どうでもいいと思っているところがある。
歯を食いしばって癌に立ち向かうというわけではないのだ。「なるようになるさ」、そんなかんじなのだ。
ただ、私にはとびきりの遊び心がある。せっかくの機会なのだ、自分の身体を使って大いに遊んでみたくなってしまった。

『せいのほう式人体実験』の柱は今のところ『健康食の乱れ食い』と『ファスティングフェス2024』の二本柱しかない。これを三本柱にしたいと思う。
それは、筋トレだ。ひとまず、毎日スクワットを300回しよう。いや、200回に訂正しよう。いやいや、いやいや、300回でいこう。イケるのか私よ。私は私について常に半信半疑だ。もう一度、問う。ギャグや洒落で300回イケるのか私よ。どうなのだ。
「イケーーーーー、る‼」、そうか、そうか、イケるのか。そうと決まれば早速明日から始めよう。

『健康食の乱れ食い』『ファスティングフェス2024』『スクワット300』
これを『せいのほう式人体実験』の正式な初版としたい。
時は来た。2024.3.25。抗がん剤治療14日目から本格的にスタートだ。
日を跨いだぞ。私は今、スクワットを50回やった。

そう、思い出した。私は『がんサバイバー』という言葉がしっくりきていない。なんならダサいと思っている。日本テレビのスポーツ中継くらいダサいと思っている。新しい造語を造らなければならない。
私の文章は今でも造語だらけなのに、どんどん増えていきそうだ。
何が良いのだろうか。『がんサバイバー』を気に入ってる方には、本当に申し訳ない。さらに、昔の話で申し訳ないが、キン肉マンがアニメ化したときの名前の改変が酷すぎて、そのトラウマかも知れない。
ああ、それも、日本テレビだったな。


『スクワット300』は、ぬるっとできた。
なんなら、50回を10セットくらいした。むかしもこんな事があったのを、いま、思い出した。スクワットを調子にのってやり過ぎて、膝を痛めたのだ。翌朝の私の膝は無事なのだろうか。つま先より膝が前に出ないような正しい姿勢で行ったつもりなのだが。

私にふさわしい、がんと共に過ごす言葉は見つかっていない。
ダサくないのがいいのだ。いっそ、『がんばるまん』でいいか。頑張るつもりがないので却下だ。私が愛して止まない、サニーデイサービスの『スロウライダー』から拝借した、『スロウ•ガン•ライフ』とか、どうだろうか。一見するとダサくはない。けれどなにか『サライ』感が滲んでいるようにも思う。一世代上の団塊の世代の言葉に思えてしまう。やはり、これもダサいか。

『スロウ~』は入れたい。
『スロウ•ガンシップ』、なんだそれは。『スロウ•ガン•ライダーズ』、そもそも私はまったく英語を知らない。しかし、英語と『がん』を混ぜたい。無理筋なのだ。
『ディストラクション•スロウ•ガンズ』は、どうだろうか。ロック感が出過ぎかもしれない。楽器ひとつ弾けやしないのに。保留としておこう。

くだけたかんじもほしい。くだらなくもありたい。難題だ。
『むずむずディストラクション•スロウ•ガンズ』、長いか。くどいな。しかし、私の文章は時にくどいときがあるからこれでいいのかもしれない。『•』は要らないな。口にだして練習してみよう。
「はじめまして、『むずむずディストラクションスロウガンズ』のせいのほうです」、悪くないな。これでいこう。私のセンスには私以外立ち入れないのだ。

話をかえます。
日本人の二人に一人がいつか癌になる時代です。ステージ4でnoteに文章を書いている人もそんなにいないだろうと思うので、たまに、抗がん剤治療中に私が何を食べているのか書こうと思います。
いつの日かくるそのときのための参考と、反面教師にしてください。

朝。バナナ。ブルーベリー。ヨーグルト。黒糖パン。
昼。しじみ汁。黒豆。デコポン。
夜。煮魚。納豆。ブロッコリースプラウト。アボカド。野菜スープ。鶏肉。ふきのとう。
合間に、黒糖。珈琲3杯。クエン酸水。野菜ジュース。
サプリは、ビール酵母。マルチミネラル。アントシアニン。

いまは、揚げ物は一切口にしていません(イカフライが食べたい)。サラダ油、キャノーラ油からオリーブオイル、アマニ油に変えました。生魚も控えています(イカ刺しが食べたい)。赤身肉、加工肉も食べていません(アメリカンドッグが食べたい)。
これはあくまで、私『せいのほう式』の実験なので、真に受けないでください。エビデンスはわかりません。
これが、『せいのほう式』の生活、『むずむずディストラクションスロウガンズ』です。

1クール目の抗がん剤服用期間が終わった。
初日に抗がん剤の点滴。14日間の抗がん剤服用期間で、計15日だ。
これから、6日間の休薬期間に入る(7日間ではなかった)。次の血液検査で問題がなければ、しばらくはそれの繰り返しになる。何クール続けるのか。それは決まっていない。

1クール目の抗がん剤治療の副作用は大した問題にはならなかった。
すこしの便秘とダルさ。血混じりの鼻糞。胸やけ。手足のしびれ。こんなところか。前回、5日目でリタイヤしたのが嘘のような副作用の軽さだった。
心療内科で処方された薬の服用も、副作用の軽さの一助になっているのだろう。

今日、父の故郷の新潟の山奥の山村から、大量のふきのとうが届いた。
わざわざ山に入って収穫してくれたという。熊も出そうなのに、ありがたい。冷凍保存をすれば一年間は持ちそうな量だった。感謝。
その、届いた荷の中に、ひとつの瓶に入った謎の果実を漬けた謎の水があった。全くもって謎謎しい水だ。

父から聞いたところによれば、新潟の山奥の山村のどなたかが、この謎の果実水で癌が治ったという。そういう謎の水であるらしい。
謎が多すぎて面白い。新潟の山奥の山村とはそういうところなのだ。大好きだ。私は、この謎の水を『アーガ秘水』と名付ける事にした。

私は早速、野菜ジュースに大さじ一杯の『アーガ秘水』を混ぜて飲んでみた。つうんとする『アーガ秘水』の味わいが舌に感じられた。「これなら続けられる」、私はそう思った。
それから私はトイレで20回は排便している。たった、5時間の間にだ。まるでそれは、ノロウイルスに感染したときのような症状だった。
『良薬、腹を下し尻がピリつく』、そんな諺が今日うまれた。

私は、『アーガパワー』に驚いている。子どもの頃からよく腹を下しているので、下痢には慣れているはずの私がトイレから出られなくなるなんて。『アーガ秘水』は面白すぎるではないか。これからも量を調整しながら飲み続ける事にする。明日は小さじ一杯にしよう。

抗がん剤治療中は、私にとって生まれてはじめての便秘気味の期間でもあった。それが『アーガ秘水』によって一気に解消された。久しぶりに腹が軽い。尻も痛い。二週間分の宿便が消え失せたのだろう。『アーガ秘水』はデトックス効果が高い。そういう事にしてみよう。

抗がん剤治療中は専用の手帳に、血圧や排便回数の記入欄があるのだが、いきなり排便回数が20回に跳ね上がったらめんどくさい事になる。これは過少申告でいこう。当初、「お猪口で一杯飲むといい」、そう言われていた。それを信じなくて良かった。大さじ一杯でこれなのだから。しかし、『アーガ秘水』はこれからも飲み続ける。
これこそが、『せいのほう式』の『むずむずディストラクションスロウガンズ』なのだ。


健康食の乱れ食いは続行中だ。
ブロッコリースプラウトの水耕栽培を家の中ではじめてしまった。
Amazonでスプラウト用の種を買い。朝晩水やりをしている。
そのほうがお得なのでは?という理由から栽培しているのだが、近くのスーパーで1パック百円程度で売っているようだ。
東京あたりではもっと値段が高いのだろうか。正確な費用対効果は計算していないけれど。ここ、群馬ではスーパーで買い求めたほうがいいのかもしれない。

ただ、家の中での水耕栽培は新鮮だ。この、新鮮さの一点だけは負けていない。それでいい。それだけでもいい。あと、育っていく過程がかわいい。私に食べられてしまう運命なのに。健気な奴らだ。すくすく成長していく。
当初は、キッチンペーパーの上に種を蒔いて栽培していた。
育ちはいいのだ。しかし、収穫のときにスプラウトの根がキッチンペーパーに絡みついてしまう。取り分けるのに難渋している。

そんなこともあり、『キムワイプ』を購入してみた。キムワイプは毛羽立ちも少なくて丈夫だ。衛生面の問題もない。バイクを拭いたり、眼鏡レンズの手入れなどにも使っている。取りあえずは、適当な容器の底にキッチンペーパーを敷き詰めて、その上にキムワイプを敷こうと思っている。果たして成功するのだろうか。

『アーガ秘水』を今日は小さじ一杯飲んでみた。
腹の調子は上々だ。何の問題もない。昨日の下痢の原因は違うところにあった。よく見たら『アマニドレッシング』の消費期限が2019年の7月31と印字されていた。冷蔵庫で保管されていたとはいえ、これはない。私の凡ミスだった。『アーガ秘水』、ごめんなさい。うちの家族はすべからず、『ローガンズ(老眼)』なのだ。

抗がん剤は服用が終わっても3日くらいは、身体の中に残留しているそうだ。ただ、私は体力もあり、膝も壮健だ。『スクワット500』でいけそうだ。来週の月曜日で休薬期間は終わってしまう。その前に、天気がよければ、カワサキW650で半日くらい走りたいものだ。


昨年の晩夏から服用している眠剤に耐性ができたのだろうか。
夜中に目が覚めることが多くなった。夜中に目覚めても、寒さに凍えて布団を頭から被ることもなくなった。
ほんとに今日から春らしい陽気になるのでしょうね。お天道様よ。ぽつりぽつりと雨音がしますが。それでも、天気予報士が言うには昼過ぎには24°になるという。信じてみようじゃないか。

今年はベランダでゴーヤを育てようと思う。兎に角、スタートダッシュを決めて、猛暑をゴーヤカーテンでしのぐのだ。しかし、このところの寒さのせいなのか、ホームセンターを毎週覗いているのだけれど、ゴーヤの苗をまだ見ていない。
『節約の夏。日本の夏。むずむずディストラクションスロウガンズの夏』

ところで、私のnoteでの『エッセイのほう』は100を超えた。たまに読み返すのもいい。私の本質は『ユーモリスト』であることがわかる。けれど、そのユーモリストぶりを実社会で披露したことはない。私の頭の中で、私に披露して、私が頭の中で嗤う。そんなユーモリストが此処の文章に生き生きと住んでいるいる。
『むっつりユーモリスト』といっていい。誰も知らない、私の本質だ。そして、抗がん剤治療に変わる語を見つけた。『がんかわいがり』だ。相撲界の悪習から頂戴した。ぴったりだと思う。ニヒリズムとユーモアとパンクが混淆している。

もうひとつ、はっきりしたことがある。
『ガンかわいがり』をはじめてから、おならが臭かったのはいつかのエッセイで書いた。それは事実だった。『がんかわいがり』の服用期間が終わった途端、通常運転のおなら臭に戻った。「やっと会えたね」、私は鼻で息をすいながら、そう『なじみおなら』に語りかけた。
火曜日には、また『ガンかわいがり』がはじまり、『なじみおなら』とも、お別れだ。

突然、意味の解らない言葉が乱れ飛びますが、そんな時の為にこれをどうぞ。


二日連続で夜中とも朝ともつかない3時に起きてしまった。
で、トイレ掃除をしてしまった。これは、私の癖で、時々あることなのだ。
それに飽き足らずに、トイレブラシセットを魔改造してしまった。

それなりにデザインのいい、ウェットティッシュケースがあった。お気に入りであったのだけれど、中心のウェットティッシュ取り出し口のシリコンの劣化で、一枚二枚とバトンタッチするはずのウェットティッシのリレーが途切れがちで使用していなかったものだ。

半田コテで中央部のプラスティックを溶かし穴を広げた。トイレブラシが、ケースの中で宙に浮いて底つきしない工夫までした。カッターナイフでバリとりをした。部屋中がプラスティックの溶けた臭いで充満していた。

『ガンかわいがり』中は、細菌やカビに近寄らない生活をしていた。不衛生の可能性がある場所の掃除をやりたくても出来なかった。取りあえず、今日と明日は大掃除が出来る。あくまで、身体に傷をつくらない範囲内でだ。まだ、若干の鼻血もある。風呂上がりで鼻血が出る事が多い。のぼせるほどの長湯はしていないのだが。身体が温まると血流がよくなるからだろうか。

いつの間にか、朝がきた。ああ、いい天気だ。予定変更だ。
大掃除を捨てて、バイクで走りだそうか。



本日の文章は大変悪趣味なものであり、がん罹患者。その家族におかれましては、あらぬ誤解をうむ可能性があります。当然、愚弄するものではありません。私とがんの付き合い方のひとつのあらわれではありますが、人によっては読むに値しません。ですから、他者様のマガジンには載せません。
二十年程前に『さわやかにかけぬけるようにあきらめる』という言葉が、ぱっと私の頭のなかで花開いたことがありました。その、『さわやかにかけぬけるようにあきらめる』の灰汁(悪汁)だけををすくいとったような文章になってしまいました。中身のないくだらない花です。勢いだけで書いてしまいました。それもまた、私です。そんな私を私は否定したくありません。そんなことから、前文を書くことにしました。それでは、短い文章ではありますが、ものずきな方だけお読みください。いっきにどうぞ。
春のパン祭りではない。
『春のがん走り』をしてきた。それは、『春のがん散歩』でもあった。私は「嫌なるくらいがんに夢中~」なのだ。宇多田ヒカルの『君に夢中』を「がんに夢中~」と口ずさみながら、『がん走って』きた。さあ、悪趣味でしょう。これは、自虐的にがんを連呼しているわけではありません。ただの、さかなクンリスペクトなのです。私は、「みなさん、おはようがんさいぼうございます」、という私のキレのよさに惚れ惚れしています。我ながら、パクリながら、見事というほかない。私はセンスの人なんだなと、改めて思う春の一日でした。さかなクンが『半ギョギョ人』ならば、私は『半ガンガン者』だ。これは、センスがない。ひねりが足りない。面白くない。『ガンバリ』が足りない。もっと『ガンセンス』を磨かなければならない。
「おはようがんさいぼうございます」を超えるなにかを見つけたい。
「おはようごがんさいます」でもいい。しかし、私のセンスでは前者のほうが、くだらなくてくどいので圧勝なのだ。さかなクンが『ギョ文体』を完成させたように、私に残された1000日足らずの間に『ガン文体』を完成させて、世の中を戸惑わせたい。「ギョギョッ」にあたる言葉も欲しい。いまのところは、「んがんがーん」なのだが、これはさかなクンに完敗だ。「がーん。死ーん」だとさすがに憚れる。いや、『がん敗』だ。そして、私の『ガン黒い』未来に『ガンパーイ』だ。しかし、私は禁酒中。アルコールは『ガンマン』だ。因みに私は癌細胞に『ガンサインボーヤー』と『がんさいん坊や』という擬人化を試みて、日夜語りかけている。「がん坊や(ガンボーヤー)なんの為に君はうまれてきたのだ」と。
この文章は問題作だという自覚もある。でもやめられないとまらない。
門外漢ではなく、『門癌漢』の無名の私だから辛うじて許される『ガン文体』だ。『ごめんがんさい(ごめんなさい)』


土日の『ファスティングフェス』をすっぽかしてしまった。
完全に忘れていた。春の陽気のせいだ。
『春うらら』では心もとない。足りない。
これは、『春うらららん』でいいでしょう。よい風だ。
久しぶりに布団からでて文章を書いている。
白状すると、この冬はずっと布団の中から文章を書いていた。身体が悪いからでもない。身体はたしかに悪いはず、なのだが、なにせ自覚症状も『ガンかわいがり』の副作用も、ほぼない。ただただ寒かっただけだ。
「だったら暖房をつければいいじゃないか」という声が聞こえる。私の部屋は二階にある。暖房器具は石油ファンヒーターだけだ。しかも3リッターしか灯油が入らない。つまり、灯油の入れ替えがめんどくさい。たったそれだけの理由だ。

石油ファンヒーターの出番は一日、寝る前の一時間と決めていた。
そのせいかもしれない。『布団書き』がはじまった途端に書きかけの『空生講徒然雲|《くそこうつれづれくも》という小説が止まったままだ。
エッセイは布団で創作出来るのに、小説はそうはいかなかった。『布団書き』では登場人物が動いてくれなかった。
拙い小説ではあってもなんとか秋頃までには完成させたい。そんな意地もある。その反面、私のいのちは後1000日足らずはあるはずだから余裕じゃん。楽観的な私もいる。

そうはいっても、そろそろ断捨離を始めつつある。とっくにオーディオ機器は処分していたのに。アンプもCDプレイヤーもスピーカー(echoはある)も、数年前からもうないのに。サブスク一辺倒の生活なのに。お気に入りのCDだけはタンスの引き出しで眠っていた。それを、手放すことに決めた。
せっかくだから、地元の某店ではなく。東京に住んでいたときに買ったり売ったりよく利用していた音楽好き(ロキノン)御用達の『ディスクユニオン』のオンラインストアで手続きをした。

明日には、100枚ぶんのCDが収まる梱包セットが届くことになっている。
すこし、悲しい気分もする。すこし、すっきりした気分もする。完全に青春が終わったような気分もする。万が一、数パーセントの確率でも、がんが完治したらどうしよう。そんな心配もすこしある。それはそれで、私の予定がよいほうに狂うことになり、すこし面倒くさい気分もする。
昔、二十年程前の東京の中古CDの買い取り相場は、一枚500円から1000円くらいだった。今はどうだろうか。サブスク全盛時代なのでさっぱりわからない。まあ、ロキノン系のCDは東京のほうが需要があるだろう。群馬に需要がないのは明らかだ。供給しても無駄骨に終わる。

順調にゆけば、明日から2クール目の『ガンかわいがり』がはじまる。
血液検査の結果次第。もしくは、MSI検査(DNA)の結果次第となる。
MSI検査で解ることは、遺伝性のがんであるかどうか。遺伝性のがんであった場合に効果的な薬の適応があるかどうか。簡単にいうとこんな説明でいいと思う。


この3週間で私の食生活は激変した。
ほぼ、和食になった。ほぼ、野菜になった。ほぼ、味覚異常の副作用で料理の甘みが3割増しになった。甘加減のバグり。『甘の舌』、『スウィート•タン』だ。
私がいま関取であれば『甘の舌関』であり、近しい者からは『甘関』と呼ばれている事だろう。
私がいまアイドルであれば『あまのしたクン』であり、ファンからは『アマタン』と呼ばれている事だろう。
私がいまロックバンドのギタリストであれば『ギター•タン』であり、次のアルバムは『スウィート•タンリズム』だろう。

どうあれ、明日は長い一日になる。
朝イチから、おやつの時間くらいまで病院に拘束される。『ガンかわいがり点滴』は長い。ちなみに『ガンかわいがり点滴』は、自由な時間に、もぐもぐしていい(軽食)。私は『ソイジョイ』を持参してゆく。
私がいまトッテナムホットスパーズのプレイヤーであれば『ソイジョイ』であり、ファンからは『ソイー』、または『ソニー』と呼ばれている事だろう。










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