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W-B とある清掃員の日記/10
「ワールドブルー株式会社に潜入できるか?」
こうマッシュルームの依頼人に言われた時は流石の僕でも戸惑った。ワールドブルーに企業スパイが入った事なんて一度もないのだ。
大体僕はオファーする金によって行くかは決める........。
その時は僕は金額次第で断るつもりだった。
「一億円でどうだ?これを押せば君の口座に振り込まれるのだよ?」
依頼人は端末を取り出し、その画面を見せた。そこには白い数字で”10000円“と表示されており、その下に“口座振り込み”と書かれた赤いボタンがあった。
一億円!!長い間僕は企業スパイをやっているけど、こんな大金は初めてだ!
チャンスだ!僕!
これはチャンスだ!
結局僕は押してしまった。
「まさかこんな面倒くさい事になるなんてな.......。」
そんな事を思い返しながら僕は社員名簿が載ったスマートフォンを見ていた。
マッシュルームの奴らはこれにワールドブルー社内全ての社員の名前、年齢、経歴を書いたはずだ。
しかしもう一回見返しても、盗聴器を使えそうな技術を持つ社員は一人もいない。
しかし、あの付けられた位置。
アレは明らかにプロが設置している。
しかも盗聴器もかなり良く作られていた。
そこで僕が達した結論は
「外部から雇われた者。」
という事だ。
外部から企業スパイをスパイする者を雇えばいいのだ。そうすれば社員名簿に載っていない事にも納得がいく。
巧妙な手口だからプロってことは間違いない。
そして多分ソイツはもう既に僕が企業スパイである事を勘付いているだろう。