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W-B とある清掃員の日記/16
僕は黙ったまま机を眺めた。
どうする?
企業スパイが”戦争を止める“ことなんて出来るか?
「あの.....。」
僕は口を開いた。
「昏睡状態になった社員とムルス連邦の話は関係性あるんですか?」
「まだ我々には分からない。分かっている事とすれば、あの社員がCitrusから派遣された事だ。」
昏睡状態のCitrus からの社員。
まず昏睡状態にさせられたのは口封じの為と見て間違いないだろう。
だけど誰がどうやって防音室に入ったのかが分からない。
「この依頼を引き受けてくれたら、我々は倍の報酬を君にあげよう。」
依頼人はまた金で釣ってきた。
しかし僕の問題は金額ではなく、戦争をただの企業スパイが止めれるか?という事だ。
「分かりません......。」
そう答えるしかなかった。
「考えてみたまえ。第二次世界大戦では
約8500万人が犠牲になったのだ。そして今始まろうとしている戦争は西側や東側も構わず巻き込み、これまでの戦争とは比べ物にならない人数が犠牲なる。」
依頼人の言った内容は僕と今回の仕事の距離をどんどん遠くした。
「なら他の方に聞いたらどうですか?僕よりいい人はいますよ?」
僕はそう言うしか無かった。
そりゃあ当然だ。
仕事があまりにも大き過ぎる。
僕1人では持ちきれない。
「本当は香子さんに頼むつもりだったのだ。
しかし、このまま誰も止めなかったら”The Thing“が投下され、罪のない人達も巻き添いになるのだよ。」
そして依頼人は最後に追い討ちをかけるように
「もちろん、香子さんも一緒にな。」
と言った。