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W-B とある清掃員の日記/2

今日の昼飯はご飯、味噌汁、焼きシャケだった。ワールドブルーの社食は美味いとは聞いていたが、ここまでとは思っていなかった。

今の所、“The Thing”の情報を聞き出す事には成功していない。
まあ確かに清掃員が社員に話しかける事なんて滅多にないからな.....。

僕はシャケの肉片を口に放り込んだ。香ばしい味が口内に広がる。

とにかく話しかけるチャンスが必要だ。
これが1番重要。
でないとタダでさえ機密が物凄い会社だ。単独で下手に動くとバレてしまう。

味噌汁を啜り終わると僕は食器を下げに行った。
感じの良いお婆さんが奥から出てきた。例えるなら動く化石というぐらいの年頃だ。しかしエプロンやマスクは全部スヌーピー柄だった。

「美味しかったかい?」
スヌーピー推しお婆さんは僕に話しかけた。

「え...はい。」
慌てて答える。

「ふふ。そうかい、そうかい。」
お婆さんの顔は笑うともっとしわしわになってまるで梅干しのようだった。

「じゃ、僕はこれで…。」
そう言うと僕は足早に食堂を後にした。

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