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W-B とある清掃員の日記/18
僕はメイドカフェからトボトボ、ワールドブルー社への帰り道を歩いていた。
僕の頭の中は後悔とアイディアでいっぱいだった。
「何で同意したんだ?!!」
「香子先輩が危ない!!」
「それで、どうする?!」
「まったく......バカだな?!」
僕は依頼人が言った言葉を一字一句思い返した。
「…今から一週間後にムルス国防軍の技術者が“The Thing”の視察の為にワールドブルー社を訪れる。最初のステップとして、奴を捕まえて“The Thing”が何処にあるか吐かせるんだ。」
「拷問ですか?」
「いや。こっちの方が手っ取り早い。」
依頼人はそう言うと彼の上着のポケットから油紙の包みを取り出し、僕の方に渡した。
「開けてみたまえ。」
僕は言われた通り油紙の包みを開いた。
中には一つの小さなスプレーと小型ピストルが一丁入っていた。
「だけど.....僕銃なんて撃ったことありませんよ?」
「なに、安心しろ。これは脅し用だ。肝心なのはスプレーだ。」
そう言うと彼はスプレーを持った。
「これには“なんです果”のDNAを使って作った果実“いじょう梨-Green”の成分を調合した薬品が入っている。そしてこの薬品を人に吹き付けると、一時的に昏睡状態になり、その昏睡状態になる10分前の記憶は綺麗さっぱり無くなっている、と言う代物だ。」
僕はスプレーを依頼人から受け取った。
「こんな物で本当に記憶を消せれるんですか?」
「ああ。この調合方法は南野教授の発明の一つなのだが....。」
ここで彼は腕時計をチラッと見た。
「もう面会は終わりだ。引き受けたからには頑張ってくれたまえ。」
そう言うと彼は席を立って個室から出て行ってしまった。