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W-B とある清掃員の日記/12

やれやれ、徹夜しちまった。
まったく社員名簿に一つ一つ目を通すなんて容易いことでは無い。

僕は一晩かけてもう一度社員名簿を見たのだ。

だけどやっぱり、盗聴器を仕掛けれそうな社員はいなかった。

「.......それにしても腹減ったな。」

僕は居住棟を出るとスヌーピー推し婆さんの食堂へ向かった。

相変わらずそこまで混んでいなかったが、僕は食堂へ入った途端、僕の視線はある人物の顔に釘付けになった。

「!?」

その女性はオムライスをムシャムシャ食べている最中だったが、その顔は見覚えあった。
何とあのバイトだったのだ。盗聴器を仕掛けた。そして何だ?!!あの皿の量は?!!

彼女の隣にはオムライス用の楕円形の皿が5枚ぐらい積み重なっていた。

僕は彼女の顔を今一度見つめた。

年は20、30代ぐらい
メガネをかけて、シュッとした輪郭が特徴的だ。

もう確信だ。アイツが僕に盗聴器を仕掛けた張本人。

そして僕の前では壮絶な飯テロが起きていた。

しかし奴の顔は社員名簿に載っていなかった。ひとまず彼女がワールドブルー株式会社の人間では無い。なら何処から?何者なんだ?

突然、彼女が僕をチラッと見た。
僕の視線に気付いたのだろう。
その目は何でも見通せそうな賢そうな瞳だった。

僕はビクッとすると、腹が減っているのも忘れて急足で食堂を後にした。


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